別れ
みなさんこんにちは、まっつんです。
みなさんは大切な人、大切なものと別れてしまったことはありますか?私はあります。それは飼っていた愛犬チビとの別れです。去年の夏毎年のように家へ帰るとチビの様子はいつもより少し違和感がありました。しかしほんの少しの違和感だったため結局普通に接していました。しかし夏休み中に行われる授業のため大学がある方へ戻って間もなくして父からチビが余命宣告を受けたことを聞かされました。私は最初父が何を言っているのか理解できませんでした、いやもしかしたら理解したくなかっただけなのかもしれません。1人暮らしをしている家から実家までは車で8時間以上かかるほど離れていたのですが、余命がわずかだったため私はすぐに帰ろうと思いました。しかし父からは逆に私自身の心配をされ、帰るのを止められました。余命が伸びることもあるからと、前よりかは少し元気そうだし多分まだ大丈夫だとそう言われました。しかし現実は甘くなく実際チビは余命宣告された日よりも早く息を引き取りました。その連絡を受けたのは夏休み中私が学校で授業を受けている最中でした。涙が止まりませんでした、自分があの時反対を押し切ってでも変えれば良かったと後悔しました。そして誰か大切な人が危険な時自分の悔いが残らないような選択をしようと決意しました。
タイトル【君に振られたあの夏】
君はいつも笑っていた。僕にはいつも君の笑顔が眩しすぎた。
新田明人(にったあきと)はいつも教室の隅で1人でいるようなくらい人間だ。声をかけられても何を話していいのかわからずいつも会話を続けることができなかった。そのためコミュニケーションは苦手だった。そんな僕に君はいつも声をかけてくれた。別に席が近いわけでもない。部活が一緒なわけでもない。同じクラスというだけだ。君がなぜ僕をそんなに気にかけてくれていたかはわからない。でも君と仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
「海に行こ!」君は夏が好きだったから夏になるといつもより活発になっていたね。「嫌だよ、人は多いし暑いし。それに僕は泳げないよ。」僕は汗っかきという事もあり昔から夏は好きじゃなかった。「わたしと一緒なら楽しいって。」君はそう満面の笑みで言った。最初は嫌がっていた僕も彼女とならいいかと思い海に行く予定を計画した。
しかし海に行く1週間前、彼女が事故に遭ったことを知り、急いで搬送された病院へ向かった。幸い命に別状はなかったが、彼女は発声ができなくなる体になってしまった。それからというもの僕は毎日お見舞いへ行った。彼女は手話で下手なりに一生懸命会話をしてくれた。声が出なくなったのにも関わらず彼女はいつも笑顔で話をしていた、まるで声が出ないなんて夢のことのように。いつものようにお見舞いに行った日、彼女は手話で「約束 日 海 来て」と伝えた。やっぱり行きたかったんだなと思い当日、君が待つ海へ向かった。
海へ着くと彼女は僕に向き合い手紙を渡した。そこには「別れましょう」とだけ文字があった。唖然とした僕は彼女の顔を見た。彼女の目から涙が溢れていて、急に逃げるように走りだした。すぐに追いかけ彼女の手をつかんだが、頬を掌でビンタされ転んでしまった。立ち上がって周りを見回すと彼女の姿はなかった。明日もう一度お見舞いに行って理由を聞こう、そう思った。しかし次の日彼女は他県にある大きい病院に移動してしまっていた。結局振られた本当の理由をしらないまま卒業することとなった。
大学4年生の夏、僕はやはりあの日の真実を知りたいと思った。きっかけは大学進学を機に上京して1人暮らしをしている自宅にある1通の手紙が届いたからだ。それは影山好夏(かげやまこのか)、君のお葬式の招待状だった。