短歌 大学短歌会会誌2024
Je prie l'ange.
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助手席にのせてきた夏蜜柑 亡き祖父の絵はがき あの夏がくる
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ストリートピアノの中に棲みたいと思う 公共性を無視して
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あなたの形の入道雲のまぶしさで 往年の8月は真っ白
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割れんばかりの喝采の一瞬の 無音 ばかりが思い出される
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感光体 イオンがまだダイエーだった頃 ふいに振り向いた大菊
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光り輝いて秋刀魚の美味い時期 水泳だけは人並みにできた
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ルネサンス期の天使の祈り 新雪をたゆまず歩むように白鍵
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トンビにカメパンぬすまれました その隙に僕の心も盗まれました
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だんだんと所作が上手になっていく 焼香台の香炉 いつかは
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街路灯からあふれる淡雪ではなくて はらはらとただ一面に花
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連作を作るのは初めてで大変だった部分はあったが、それ以前に自分は寡作なので10首作るのに苦労した。というのは嘘で、授業で作った分を差し引くと実際作ったのは7首くらい。でもキツかったのは本当。なかなか納得のいくものが作れなくて、年末が提出期限の中、先生にお願いして何とか年始の週に提出した。載せられるクオリティじゃないだろ、みたいな歌も数合わせで泣く泣く載せてもらった。
連作の部分について言及すると、かなり発想が安直だった。その反面、余裕のある人は連作の中に何かしらの意味を持たせている中で、自分は短歌を作ることに精一杯で、意味合いなど考えずに連作を作ったことを考えたら、これで正解だったとも思っている。
この連作は自分が思っていた何倍も短歌会の仲間から褒めていただいた。
そして初めて参加した歌会でも高得点を叩き出し、最初こそ調子も良かったが、徐々に色々な人から歌の意味を取ってもらえなかったり、歌会で最低得点(0点)をとったりして所謂ビギナーズラックかよ、と思ったりした。
なんにせよ、また頑張ります。深くは言及しないでおきます。
ここまで読んでくださりありがとうございました。