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「夏の日のたった一度の合奏が終わった後の無音 今でも」岡本真帆

たまに、高校の最後の試合をふと思い出すことがある。
吹奏楽ではなく、マーチバンドでもない。

たぶん最後の試合は陸上でリレーを走り、会場全体の声援と拍手を浴びていた。




高校2年の頃の新人戦では、例年、県大会に出場できる記録を出しながらも他の人がもっといい記録を出していた影響で出場できずに、競技場のスタンドで人目も憚らず泣いた。

来年は、と意気込んだ最終学年の高校3年生では、感染症の影響で全国大会、およびそれに繋がる大会が全て中止になった。
悔しいという感情が大半を占めた反面、全国大会がなくなったところで正直、もともと全国大会に出場できる自信なんてなかったから、がっかりしなくていいんだ、なんて安堵する気持ちも少なからずあった。

そして、秋頃に代替となる試合が開催された。
個人種目では予選落ちして、残るは最終種目のリレーだったが、ここからの記憶がほとんどない。気づけば時にはもう試合は終わっていて、相変わらずチームとしては中途半端な結果だった。

高校3年8月。気がついたらもうとっくに引退しなければいけない時期になっていて、個人で走る種目もみんなで走るリレーも全部全部最後なんだなって思い知って、競技場のスタンドで1年ぶりに大泣きした。


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