とっておきのものに、出会えたと思っていたんだけどさ
今年の春にエレキギターをお迎えした。
畏まった理由は無いけれど、自分の好きな季節、多趣味になってみたいという漠然とした理由から。
でも全然練習してないし、誰かに聴いてもらおうなんてこれっぽっちも思ってない。ギターを眺めるだけで、肩から掛けるだけで、心躍ってしまう。
だから私は周囲の友達にも、どんなに仲が良くても伝えることはなく、自分だけの秘密というか心の中だけでウキウキしているだけで十分だった。
でも、11月。卒業式での校歌練習といって音楽の先生が学校に来た。その時に今更、自己紹介(?)といわれ、クラスの皆は音楽に纏わる話をしていた。着々と私の番が近づいてくる。私の番が来てマイクを渡された。
つい私は「まだ、誰にも言ってないんだけど……」とクラス50人を前に明らかにしてしまった。
それから「びっくりだよ〜」「今度聴かせてよ」など言われ、全然練習してないから下手だよ〜ごめんねと言いその場から立ち去った。
その日から、心の中での密かなウキウキといった感情。大事なもの、宝物に似たようなものが無くなってしまったような気がしてならない。
自分にとって心躍ることは、自分自身だけで大事にしていく、それで十分だったじゃん……隣の家がピアノの教室なんだ〜とか言えばよかった。
と思った、思ってしまった。
私にとっての宝物って
とっておきのものって、なんなのだろう。
これだ!と思うものに出会えたら
すごくすごく大切にするのにな