ヒノキを植える、代々で管理する(2 )清水六角庵
清水六角庵の建築には、はるとっちゃんのひいおじいさんから物語が始まります。前史がヒノキを育てる、清水六角庵の設計から建築まで、そして今の清水六角庵と3部構成の予定です。
紙芝居の構想は2018年8月。オリジナルのストーリーを聞いたのがきっかけです。豊島事件を外から応援する市民団体「豊島は私たちの問題ネットワーク(以下、豊島ネット)」の事務局を務める真鍋宣子さんが、原作者。
真鍋さんは、住民運動を介してはるとっちゃんをはじめご家族や豊島の人々と交流を続けています。はるとっちゃんの尽力で豊島に休耕田を借り、棚田くらぶという農作業体験サークルを主宰して、高松などからメンバーが豊島へ通って田んぼや畑を作っています。
(完成した紙芝居より、作画:佐藤拓実さん)
その真鍋さんが、「ヒノキで物置でも作るか」と、はるとっちゃんがいうのを聞きました(2007年)。「それを真に受けて」と真鍋さんは言います。「ヒノキで物置なんてもったいない。小屋を作ろうよ」とはるとっちゃんに持ちかけました。棚田くらぶが作業するときの休憩所ができたら若い人を巻き込めるとひらめき、建築家を紹介。香川県で地元の間伐材を有効利用している建築家の長本朝子さんです。荒れていく山林の回復に務めている長本さんとはるとっちゃんのヒノキがつながりました。
■香川の林業について (長本さん談話 2018-9-18ヒアリング)
「香川県は沖縄県に次いで山が少ない(林業が少ない)。原木市場がない(原木の取引ができないということ)。戦後の植林の時期、香川では松が自然と育っていた。松は杉より強く、ヒノキより扱いやすいが、松食い虫にやられ、杉やヒノキの植林に切り替わった。ところが、香川は痩せ山で、水はない(渇水)、花崗土(かこうど)のため杉っは育ちが悪い(お金にならない)。林業関係の言い伝えで「尾根松、沢杉、中ヒノキ」というのがある。尾根は日当たりのいい松、沢は水分、中間でヒノキを育てよという意味」
「ひいおじいさんの思いで、豊島でも適した場所にヒノキを植えたのだと思う」
「はるとっちゃんは森林問題(一般的に、山の手入れ=間伐ができていない、山崩れになる、水の保全もできていない)と、ひいおじいさんの思いからヒノキを役立てよう! 豊島にもヒノキはある、という思いだったと思う」
続きます