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海を見ながらとりとめもなく豊島を考える

穏やかな高松港は凪がスタンダードです。風が吹いてちょっとでも白波が立つと、普段見慣れた凪が特別なことのように感じます。今日は、お日様が海面に反射して眩しいのに、白波が立って冷えます。そんな高松港で、豊島をめぐる四方山話。

初夏から豊島へ行く観光客は徐々に増え、島内で民泊が営業を再開したからか、観光客がくるから営業再開なのか、共依存の観光業は世間の動向と同じです。高松豊島を結ぶ高速艇も、連休は臨時便をだすほどです。そんな観光の島へ、社会事件の視察で訪れる人はいるのでしょうか。

豊島(てしま/瀬戸内海)の産業廃棄物不法投棄事件跡地は、視察ができます。廃棄物対策豊島住民会議(以下、住民会議)に視察を申し込むと、今はたいてい希望日に視察できます。視察対応は、2000年の公害調整成立へ道筋をつけ、処理の現状を厳しく見ている当事者たちです。

秋、視察に訪れたのは中学生。複数の中学校が豊島を校外学習の目的地にしました。旅行会社がツアーを取りまとめたケース、生徒自身が行程を組んだケースを、豊島の人から聞きました。今年は宿泊を伴う校外学習が中止になり、日帰りの学校行事の傾向がある中、生徒自身のプランニングで視察に訪れたケースは、質疑応答が活発。片や、旅行会社のケースは島の規模感や大人数の移動にかかる時間など、想定とリアルの差を当日学ばれたのでしょう。現地30分、事前か事後の学習があるといいなと願わずにはおれません。せっかくの豊島ですから!

先の視察の際、中学生に学習課題を聞いたところ「どうしたら豊島に人がよべるか」というのがテーマだった学校があるそうです。引率の先生もそれはデフォルト。なんら不思議はないテーマなのでしょう。テーマ設定の前提からして、表層の点です。

豊島は太陽光パネルの設置反対運動、ガソリンスタンドの閉店に伴う離島のガソリン供給について、地元メディアがたびたび報道しています。春以降、社会的距離の元に、800人に満たない住民は意見交換の場が持てません。「分裂こそ最大の選択」と言ったのは豊島事件の最中、弁護団リーダー中坊公平(故人)です。住民運動のリーダーの1人、豊島の長老からたびたび聞く話です。今なら、豊島の住民が意見を言わずして、自ら考えずして、行政サービス任せにしては、島が分断されると解釈できます。豊島事件から、わたしは何を学んでいるか。


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