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手入れのいらない持続可能なエネルギーを目指しても島民がいなくなったら?

犬島にある「くらしの植物」へ行ってきました。犬島は高松からの直行便がないので(https://benesse-artsite.jp/access/)、海上タクシーです。余談ですが、タコタコ海上タクシーさんにお願いすることが多く、今朝も「そろそろ時間ですね、今日はお世話になります」と確認の電話を入れたら「ちょっと待っとってよー、今行くかんね」と、おおらかな社長さん。島時間のゆとりですね。

さて、犬島に着いてチケットを買い、てくてく歩きだします。島の人が暮らす路地を抜け、くねくねと細い道を上がり、作品のある庭を手入れするおっちゃんに挨拶をして写真を撮り、チケットにある地図を見ながら約20分。迷いようがないほど、ぐるっと島を1周して全部のアート作品を見ても帰りの船までは大丈夫そうな規模感。島に暮らす人は26人と聞きました。

無造作風に手入れされた道は歩きやすかったのに、違和感がありました。管理されすぎているのです。ゴミひとつ落ちていない、クリーンな路地。港から聞こえる船のエンジン音がずっと低く続きます。鳥の鳴き声がしなかったのです。いえ、トンビは鳴いていました。サギも水辺で見ました。でも小鳥がいない。チュンチュンが聞こえない。畑がない。家の庭に家庭菜園はあったようだけれど、それはアート作品の一部。そんな集落を抜けた先のくらしの植物園。ひっそりとしていて、人の気配がないのです。鶏が鳴いて、植物は色をつけ、野菜畑もあるのに、登場人物がいない違和感。イノシシが掘り返した跡を見つけてちょっとホッとした自分を、今になって感じます。ガラスの植物棟は「マイノリティーレポート」の植物ハウスのようでした。奥のテーブルに朝摘みの野菜がパックに入って置いてありました。無人販売です、バターピーナッツ250円、食べられるマーガレット150円を買いました。監視カメラがあったのかな?

植物園の「自然演出」がギリギリを超えて映画のセットのようでした。ハーブ畑と野菜畑がきっちりと手入れている状態の方が、いっそのこと潔よい。鶏がずっと時を刻み続けているのは人恋しいからだったのかも。バイオトイレ、水や太陽エネルギーの循環システムは、人がいなくても回り続けます。島民減少でいつか人はいなくなる、その状態を先に展示しているかのようなくらしの植物園でした。


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