
潮が止まるところに魚はいる、獲る努力をせなあかん
豊島(てしま/瀬戸内海)の漁師さんと、土庄から豊島へ向かう船で会いしました。豊島では回船の仕事をされているので、遠めに挨拶するだけでなかなか話をするチャンスがありません。
火曜日は高松豊島間の高速艇が1日3便です。朝の通勤時間帯、昼便、夕方の帰る便。午前か午後で豊島の用事を済ませてるのにはちょうどいい時間帯です。わたしは9時に高松をでるフェリーに乗って、小豆島の土庄経由で豊島へ行きました。
土庄から豊島へ向かう高速艇「ひかり」は、買い出しから豊島へ帰る人が利用します。豊島美術館の休館日に合わせて、豊島の飲食店も定休。仕入れや買い出しに出かけます。手押しカートにダンボールをいくつも重ねて、器用に後ろ向きで船に乗り込みます。
船に知り合いがいたら目で挨拶をするか、隣に座るか。なんとなくわかってきました、島の習慣が。そんな朝、生田さんと一緒になりました。生田さんは「民泊あかり」を豊島で営んでいます。回船の合間に、バイクで地元の港へ戻り、船を出して漁に出ます。
ー瀬戸芸が終わったばかり、お忙しかったでしょう。
「隣、いいですか?」と座ってくださいました。
生田さんは、一人で民泊を運営しています。漁師は通年の仕事。瀬戸芸のあるなしに関係なく、魚の引き合いがきて、漁は大忙しです。生田さんだから獲れるポイントがあると言います。季節と潮目。これを見れば、どこに魚がいるかわかるのです。いきのいい魚は、市場へ卸すことなく直接販売です。予約というか、魚の種類を問わず収穫したらそれを買いたいというリクエストなんだそう。
「魚がとれないって? そんなことない」
魚をとるための工夫と研究に余念がありません。
「瀬戸芸が終わったからね、これからは網を修理ですよ。これを編める人はもういないので、調べたり聞いたりしながら」
創意工夫の前進型。
わたしは豊島からサフランをもらって植えたけれど、今年は花が咲きませんと言ったら
「諦めたらだめ、調べて、次に生かす」と貴重なアドバイスをくださいました。そのことがずっと胸に残っています。
漁師が営む民泊「あかり」は、豪勢な船盛の写真が話題です。漁をする、食事を一緒に整える、漁に出たいとリクエストがあれば船に載せる、お客様を迎える準備もホストも生田さんが一人でまかなってます。
漁業組合があります。3つの集落ごとに港にあり、家浦(いえうら)漁協、甲生(こう)漁協はコンクリート2階建ての建物です(開いている様子はありませんが)。唐櫃(からと)漁協は運営しています。漁師さんは全員いずれかの漁協に加入しているのか、加入数などはこれから調べます。