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著作解説③TRICKYS 3巻/初版©スクウェア・エニックス/復刻版©小学館
今日は春分、暦のうえでもとっても良い日みたいですね。3冊目の著作紹介はTRICKYS3巻目、復刻版の第2巻目となります。
それでは、いってみましょー!
TRICKYS③
【出版社】
初版2003年/スクウェア・エニックス「ガンガンWING」連載
復刻版2010年/小学館(ジュディーコミックス)
【著者】
新井さち
【あらすじ】
「もう“殺し”はしない…」暗殺のエキスパートでありながら、現在は何でも屋「トリッキーズ」で活躍する一成(かずなり)・竜三(りゅうぞう)・零美(レミ)。その壮絶な過去がついに語られる…? 罪を背負いながら普通の生活を始めようとする3人と、特殊暗殺組織「TRUMP(トランプ)」の最後の戦いが始まる! 描きおろしエピソードも収録した、ドラスティック・クールアクション完結編。
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1.2巻の「ファニーでスタイリッシュなクールアクション」から「ドラスティック・クールアクション」になりましたね。ほんと、ただただ思いをぶつけて描いた作品に、いつもこうして漫画にキャッチコピーやあらすじをライティングしてくださる編集部の皆様へは感謝の念がたえません。
3巻目は主人公一成たちの過去が明らかになる一冊となります。
Lead. 11 ビーチボーイズ
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隣国との領土をめぐる争いが激化した王国の双子の王子がお忍びで日本へ来日。何でも屋の三人に護衛の仕事が入ります。
王国の大使から王子二人を開放的な場所で過ごさせてあげたいと、一行は海へ。
人の強さについて海辺で二人で話しているシーン、第一王子アルのセリフで
「人によって何が正しくて何が間違っているのかなんて、誰にも決められることじゃないと思うから」
という一節があります。戦争ってそれぞれの正義がぶつかり合って起こるものだと。20年前の自分も考えていたんだなと、そして今現在も紛争は絶えない。なんだか考えさせられるワンシーンでした。
Lead. 12 ランページ
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ビーチボーイズの後編。王子たちの敵対国からの刺客がやってきて、一成や王子たちの命が狙われます。刺客は一成たちが所属していた暗殺組織「TRUMP」スペード部隊No.2のキング。部隊長No.1は一成でした。
ガンアクションシーン多めの回でしたね。
いやしかしキングの中二病選手権優勝できそうなキャラクター造形、すごいわ。私の趣味趣向がギュッと凝縮されてしまったツンデレキャラですね(デレてはいない)ちなみにキングは二丁拳銃使いです。
Lead. 13 マイ・ウェイ
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何でも屋とそれぞれの仕事でお金も貯まり、組織への上納金もそろそろめどがつきそうになって、やっと組織から正式に足抜けできそうな三人にそれぞれの新しい道が見えてきた回。
めどがつくという事は、何でも屋の解散も近いという事。組織にいた頃から長い年月一緒に過ごしてきたので寂しい一成。
一成はあれですね、ギャップと感情の振り幅が一番激しい。すっぽ抜けてるところとか、この後の話でも出てきますが融通が利かないところとか…。色々描き手新井の要素がふんだんに盛り込まれているキャラクターだなぁと改めて感じました。
Lead. 14 トリプレット
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いやー、漫画描きなら一度はやってみたいじゃないですか。キャラクター達の過去編。1巻でチラッと過去の三人を出したのですが、当時はまさかここまで連載を続けさせてもらえるかわからなかったので、なぜ「何でも屋」を始めたのか?組織をなぜ抜けたのか?過去編が描けて嬉しかったですね。
ちなみにスペードのエース・一成、クラブのキング・竜三、ハートのクィーン・零美はそれぞれの部隊長でした。
一成も零美も昔はカタブツだったので、だいぶ大人になってやわらかくなりましたね。一成は色々あって反動が大きすぎてネジ1.2本ゆるくなっちゃった感じですが、いい方向にゆるくなったねと。
46歳になった私は、ゆるい方が物事に柔軟に対応できて良いという事を20年かけて学んできたんだね、と、この話を読んで客観的に感じました。
Lead. 15 フォー・カード
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過去編三部構成の第二話目。ダイヤ組部隊のNo.1卯月と組織の均衡を保つジョーカーが登場します。
前話で、スイッチが入ってしまうと冷徹な殺人マシーンになってしまう一成が落ち込んだり組織の掟に葛藤していく話ですね。
読み返してて思いましたが、育つ環境や教育、幼少期の過ごし方って本当に大事だなと。大人になって人格形成にすごく影響しますよね。
TRICKYS③まとめ
2巻とのギャップがすごい3巻目でしたね。
なんだろう、デビュー作ではありますが、楽しいパートは思いっきり楽しく、シリアスなシーンはぐっとシリアスに振り切っているストーリー作りは、そういう話が好きだからなんだなと感じました。
自分自身のことになりますが、幼少期から30歳になるくらいまでは、自分の融通のきかない、頑固で真面目過ぎる部分が好きじゃなかったので、「真面目過ぎる」「かっこよすぎる」話やストーリーに抵抗があったのも覚えています。
今もどこか抜けているキャラクターを描くのが好きですね。完璧そうに見えても、どこか愛嬌があるキャラクター造形が好きです。良いところもあれば悪いところもあるのが人間だと思いますから。
もし何か気になった方は、TRICKYSも読んでいただけましたらとっても嬉しいです。
次回はいよいよTRICKYS最終巻です!
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