VRマックポテト
マックポテトが食える。
エンジニアのジョーから連絡があったのは、一時間ほど前だった。
新作ソフトを作ったから試しに来てくれとの話で、これはまあいつものこと。
「またクソゲーか?VRでリアルに爆死しかけるのはもうゴメンだぜ」
「いや、今度のは間違いなく最高傑作だ!」
ジョーは興奮した様子だった。
「――VRで、マックポテトを食わせてやる」
「何だって?」
百年ほど前に流行った肥満撲滅運動の影響で、肥満要因となる食事はこの国から全て淘汰された。マックポテトはその代表格だ。
「……お前、食ったのか?」
「ああ、最高だった。塩分の暴力。安い油の波が押し寄せてくる」
嗚呼、持つべきものはクレイジーな友人だ!
こうして最低限の荷物だけ引っ掴んだオレは、高揚感をに身を任せてダウンタウンへの路地を駆けているのだ。
RRR……
ジョーから着信だ。
足は止めず、端末を耳に当てる。
「どうした?」
「……逃、げロ」
―― BLAM!
【続く】
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