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#私が選ぶ20世紀名盤アルバム


これはまたツイッターの企画。

私が選んだ20枚はこちら

  1. Duke Ellington - Hi-Fi Ellington Uptown 1952

  2. Augustus Pablo - King Tubby Meets Rockers Uptown 1976

  3. Thelonious Monk - Solo Monk 1964

  4. Jimi Hendrix - Band Of Gypsys 1970

  5. James Brown - Sex Machine 1970

  6. TLC - CrazySexyCool 1994

  7. Grace Jones - Nightclubbing 1981

  8. Miles Davis - Get Up With It 1974

  9. Marvin Gaye - What's Going On 1971

  10. Boogie Down Productions - Criminal Minded 1987

  11. Robert Johnson - King Of The Delta Blues Singers 1961

  12. Nina Simone - Silk & Soul 1967

  13. Funkadelic - One Nation Under A Groove 1978

  14. Dr. Dre - The Chronic 1992

  15. Peter Tosh - Legalize It 1976

  16. Moodymann - Silentintroduction 1997

  17. Fela Kuti - Zombie 1976

  18. Chuck Berry - Berry Is On Top 1959

  19. Aretha Franklin - Amazing Grace 1972

  20. Muddy Waters - The Best Of Muddy Waters 1957

で、これは流石に悩むだけ悩みましたよ。
まず20世紀という括りをどう捉えるのか。次にアルバムとは何か。そしてそれに該当する数多の候補の中から、どうやって私が選ぶのか。
なんとなくというわけにもいかず、選ぶにあたっての基準を考えることにしました。
もしかしたら20世紀を代表するアーティストで20枚揃えるのもアリかなとか。
デューク・エリントンとか

Duke Ellingtonの10枚(例)

マイルス・デイビスとか

Miles Davisの10枚(例)

JBとか

James Brownの10枚(例)

でも20枚となると世間の名盤定義から外れるものと私の愛聴盤から外れるものもチョイスすることになるので、それはなあ、と断念。そもそもジミヘンで20枚とかどうやって選ぶんだよ、みたいな(いろいろ合わせればいけないことないかもだけど、それ意味あるのか、とか)

ただしこの辺りで、やっぱり20世紀は「黒人音楽」(※1)だよなあ、という感じはしてきました。ジャズやブルース、ソウルやファンクやヒップホップ、レゲエはもちろん、ロックもテクノも「黒人」アーティストが常にイノベーティブな役割を果たしてきたことは間違いないわけで。
20世紀は「大衆音楽の世紀」なんだけど、それって「黒人音楽の世紀」と言ってしまってもニアリーイコールではありませんか、と。ここは「黒人音楽」で20枚を選んでしまおうと、そういう方針で行くことになりました!

さて、で、アルバム。長時間収録(片面30分程度)が可能になったLPレコードが発売されるようになったのが1948年。ただし曲が複数入れられるというだけでは、今日のアルバムの定義(というか感覚)からすればまだ不十分で。やはり1つのまとまった作品としてのアルバムは1967年の『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』からということになるのかな、と思う。もちろんそれ以前にジャズやブルースでは作品としてのアルバム、特にブルーノート・レーベルはジャケも含めたアートとしてのアルバムを多くリリースしているので、例外は枚挙に暇がないとして。いずれにしてもLPレコードが登場して以降の「大衆音楽商品」(※2)をアルバムと呼ぶことにはまあまあ合意が得られると思います。ざっくり50年代から。20世紀の約半分がアルバムの時代。

なお、この手の企画ではオリジナル・アルバムでない編集盤(ベスト盤等)はオミットするのが「お約束」ですが、上記のように60年代以前の音楽に関しては編集盤しか存在しないという場合もあり、また本企画では特にその点での但し書きもないので、選んでもOKなことにしました。(とはいえ、結果的にはロバート・ジョンソンくらいか)

そして、20世紀の「黒人音楽」で20枚、というコンセプトが決まったとて、ここからも大変。欠かすことのできない名盤が何枚あると思ってんだ!
なのでまず以前選んだ #私を構成する42枚 とは違うアルバムをチョイスすることにしよう、と、しようと思ったのですが...。
パブロ『King Tubby Meets Rockers Uptown』やニーナ『Silk & Soul』、ファンカデリック『One Nation Under A Groove』、アレサ『Amazing Grace』はそういう主旨で選びましたが、マイルス、エリントン、ジミヘン、モンク、ムーディーマンに関しては他のアルバムだと、どうにもしっくりこなくてあれこれ試した結果(もちろん他にも名盤は沢山あるアーティストですからねー)、「私が選ぶ」なんだからしかたないじゃん、ということで5枚は同じ盤になりました。

あと、狭義のジャンルにはあまりこだわらないようにという気持ちだったんだけど、並んだジャケを見ていると、やっぱりそこら辺のバランスも気になったりとか、大衆音楽の分野では「US黒人」が多くなるのは当然としても、UKや南米やアフリカ大陸の作品も選びたいなという思いもあり(※3)、そこも非常に悩ましく、あれもこれもと選んではやっぱり外したりとか、いろいろ忙しかった。シャーデーとかキング・サニー・アデとかミルトン・ナシメントとかかなり最後まで入れようとがんばったんだけどなあ。

20枚の次点アルバム

それと、女性問題。近年、ローリング・ストーン誌などのランキングにおいて女性アーティストのランクが上昇していることに関して、いろいろと賛否があります。女性アーティストに対して女性であることをプラス評価することは「フェアでなく、逆差別だ」という声もある一方で、「クオータ制」などと同じく「アンフェアだった過去の是正」としてポジティブな姿勢であるという意見もあり、私自身は後者に同意します。
なかなかセンシティブな部分にはなりますが、実際にこの企画への投票でも、「白人」の「男性」の「ロック名盤」が多くの票を集めるでしょう。私にはそれを「差別的だ」と糾弾する気はさらさらなく(実際に私が最も好きなアーティストはザ・ローリング・ストーンズだし!)、さまざまな個人の私選の集積としてそう機能することは極めて自然であり、むしろツイッターでの企画としてそこに制約を加えることの方が不自然だと思います。
なので他人に対してということではなく、自分自身の意識の中で女性アーティストの価値をフェアに評価できているかということと捉えて、女性問題も意識しました。その結果、女性アーティストは20枚中に4枚。なんだよ、偉そうなこと言って、少ないじゃねえか、と言われたら返す言葉もありません。ロバート・ジョンソンでなくベッシー・スミスを、『What's Going On』でなくマーヴィン&タミー・テレルを、BDPでなくソルト・ン・ペパを、という選択肢はあったと思う。ビリー・ホリディやエラ・フィッツジェラルド、ミニー・リパートンやリンダ・ルイスやシャカ・カーンやンデゲオチェロやフィリス・ディロンやジャネット・ジャクソンは、どうした、とか。
「名盤」と「私が選ぶ」のバランスの中で、今回はこういう結果になったわけですが、本当にフェアにセレクトできているのかどうか、それは今後も続く課題だと思っています。

まあ、そんないろいろはあったけれども、この20枚には満足しています。「私が選ぶ20世紀名盤アルバム」はこのリストで間違いないっす、という感じ。
試しにちょっと聴いてみてよ、本当に素晴らしい音楽ばかりなのでね。

※1 特にアフロ・アメリカンの音楽をどう呼称するかには議論があり、黒人も黒人音楽も不適切という意見もあるのですが(そしてそれに私も同意)、ここは便宜上、かっこ付きで「黒人音楽」と表記することにします。

※2 いわゆるクラシックは含まないという意味で使用しました。もちろんクラシックにも数多の名盤があって、レコード文化そのものをクラシック音楽が牽引してきたという事実もありますが、ここは企画の主旨と私の趣味に照らして、対象外とします。

※3 特にUKにおけるインド系とかアフリカン・ルーツではない「有色人種」を「黒人」と括ってしまって良いのだろうか(もちろん良くはない)、というそこら辺りも考えましたし、いわゆるミックスド(「混血」)の場合はどうするのかとかも悩ましく。まあ主に私が単純バカで思慮が浅いという指摘は甘んじて受け入れることにして、でも「人種問題は20世紀の主要な社会問題の一つ」であるという言い訳もかましつつ、ざっくりめで選んじゃいました。20枚だからまあまあ違和感ないリストになりましたが、これが100枚とかだとそういう「思慮浅さ」はきっともっと露呈するんだろうな、と思いつつ。

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