目覚まし時計
”目覚まし時計ってかわいそうだと思わない?“
中学生か高校生か忘れたが、学校から駅まで歩いている時、物凄く真剣に、確かテニスコートの前辺りで友達に聞いた。
なぜ?
だって起こしたら全く!何で起こすんだって怒られるし、せっかく起こしても、勝手に消して寝過ごしたら、どうして起こしてくれなかったかって怒られるじゃん。
かわいそうだと思わない?
え~っ、そんなの思ったことない。
だって目覚まし時計ってそういうもんじゃん。
誰も同意してくれなかった。
仕方なく家に帰って同じ質問をしてみると案の定
“そんな馬鹿なこと考えてないで勉強しなさい”
と即答されてしまった。
まさに星の王子さまの一場面だ。
もちろん私はがっかりした。
だが星の王子さまの様に勉強する事はなく、目覚まし時計はかわいそう説は、一旦封印する事にした。
ただし、あくまで封印しただけで、諦めたりも考えをやめたり変えたりする事はなく大人になった。
そして自分の子供達が中学生になった時、再び聞いてみた。
”目覚まし時計ってかわいそうだと思わない?“
なぜ?
またもや同じ反応をされたので、力を込めて同じ説明をした。
“そんな事考えないよ”
と一人が答えたのだが
“ふぅん。そうかもね、そう言われてみたら。”
と一人が答えた。
あぁやっぱり目覚まし時計はかわいそうなのだ!
やっと安心して目覚まし時計を愛おしく思った。
そしてまた明日の朝、またも目覚まし時計に怒るのだ。