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空の広さと虹
虹が出た空が好き。
以前仕事をしていた職場へは、川沿いのサイクリングロードを、ノンストップで30分少しだった。
何よりも空が広いと言うのが、一番のストレス解消だった。
もちろん夏は日影なんかないから暑いし、冬は風が吹いたら凍りそうで、ニット帽と手袋とマフラーは必需品。
その中で何よりも一番嫌だったのが、雷の帰り道。
広い空に、それは綺麗に稲妻が走る。
土手の上だから、自分の頭をめがけて落ちてきたらどうしよう。
車道側に転げ落ちたら車に引かれるし、川側に落ちたら真っ暗で、翌朝まで発見してもらえそうにない。
そんな気持ちで、ほんの気休めに、カメのように首を思い切り引っ込めて自転車を走らせた。
お陰で帰宅したときには、上半身がギシギシ言う程になった。
そんな道だから、本当に空と雲の表情が美しい。
朝は時間に余裕がなく走っているのだが、ほぼ完璧な二重の虹を見たときには、走るのを止めて写真を撮った。
朝から素晴らしいご褒美をもらった気がして、一日中いい気分だった。
虹はみるみる薄くなり、一重になり、職場に付く前に消えた。
今の仕事で、帰りに一度くっきりと虹が出てくる所から見えた夕暮れがあった。
それは空とビルに写った二重の虹で、都会の虹としては奇跡の様に美しかった。
こんな都会の虹もいいのだが、やはり広い空があってこその虹が好きだ。
完璧な虹ではなく、ほんの一部だけがやけに鮮やかに見えた虹もあった。
それはそれで何だか感動的で見入ってしまった。
自宅からは見上げる空は、決して広くない。
色々な建物に切り取られてしまっているから。
虹を見るには、どこかまで行かなければならないけれど、見ようと思ったタイミングで見られるわけでもない。
あぁやっぱり空の広さが恋しい。
人は広い空の元、太陽の光を浴びてこそ、心身共に健康でいられるのだろう。
人は自然の一部なのであって、それを忘れておごってはいけないのだとしみじみ思う。