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季節は巡る

ソメイヨシノの花吹雪。

夕方、前が見えないほどの勢いで、桜並木はヒラヒラと舞い散っていた。

それを通り抜け、気が付くといつの間にか八重桜が咲き始めていた。

まだ咲き始めの品種もあったが、八割がた咲いた木は流石にボリュームが違う。

もう夕暮れではあったが、色合いも美しく、思わず写真を撮った。

確か八重桜の花びらは、雄しべが変化したもので、一番花びらが多い品種は、花びらが何と500枚にもなると言う。

河津桜や、山桜、エドヒカンサクラ、ソメイヨシノなどの、すっきりとした姿とは違い、ポッテリと重厚感のある美しさがそこにある。

ソメイヨシノが散っていく姿に気を取られているうちに、車道脇のつつじが咲き始め、ハナミヅキまでもが、早々に咲き始めた。

今年は寒の戻りが少ないためか、あっと言う間に新芽は瑞々しい緑になり、次々と花が咲く。

あぁ季節は巡っていくのだ。

陽射しは強くなり、もう夜よりも昼の方が長くなった。

ボッと立ち止まっているのは自分だけ。

どんどん植物達に追い抜かれていく。

ほらもうこのキヌサヤは収穫出きるよ、そろそろ土を耕して、こっちも咲いたんだよ見て!

何だかボンヤリしている自分を、太陽も風も皆が声をかけてくれているよう。

おいてっちゃうよ。

ほら一歩踏み出しておいで。

大丈夫。

見守ってるから心配しないで。

力強く、そして優しく、決して強引ではなく誘ってくれる。

自分の中に縮こまっていてはいけないよ。

そっと顔をだしてごらん。

窓から見るこの景色。

昨日咲き始めた羽衣ジャスミンが揺れる。

やっと自分も前へ進み始めることが出来るのだろうか?

あぁ季節は巡る。

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