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不妊治療で湧き出る2種類の問題
「不妊治療がつらい」
これはもう現代の一般常識になっていると思います。何がつらいかと言うと、
・旦那が協力的ではない
・仕事の調整が面倒で人目も気になる
・お金がかかる
このような直接的な問題はわかりやすいですが、そこには認知されにくい付随的な別の問題が潜んでいることがあったりします。
想定外のできごとが起きたときに、湧き出てくるのは、直接できごとに影響された問題と、もともと普段からあった問題の2種類です。
前者は、先ほど挙げたような、人間関係やメンタル・仕事・お金の問題、そして一生子供産めないかもという不安など。
後者は、人生これでいいんだっけ?不妊治療を言い訳に現状を我慢していないか?諦めてないか?ということです。
そしてこの後者が、私をこの1年かなり不健康にさせていたことに気付いたのです。
私自身、結婚して1年で本格的な妊活を開始するもダメで、妊活して半年でクリニックに通い出し、1年以上今でもクリニック通いを続けています。
その中で、情緒不安定になったこともありますが、この2種類の問題をちゃんと認知して受け止めたことで今ではメンタルが安定しています。
私自身がちゃんと言語化したい、そしてそれが結果誰かのためになればと思い書いていますが、妊活の悩みで辛いと感じている人は、念のためここで画面を閉じていただけたらと思います。
①不妊治療に直接影響されて出てきた問題
私は結婚する前にブライダルチェックを夫婦で受けており、何も問題が見つかりませんでした。
サウナが趣味の旦那も、先生から「サウナで精子が死ぬことはありません。これまで通りサウナに行っていただいて大丈夫ですよ」の言葉に一安心。
二人が望めばすぐに子供が産まれるものだと思っていました。
しかしなかなかできずに、妊活を始めて約半年。
早めにクリニックで診てもらおうと受診。
あらゆる検査(ホルモンや卵管造影など)を行うも、特に異常は見られず。
(卵管造影検査は本当に痛すぎて悶絶しました、、、二度と受けたくない泣)
その頃はまだ20代というのもあり、病院側も深刻に思ってなかったのか(私の主観です)、診察では卵胞の大きさを確認して排卵の予想をつけるのみ。タイミング法をしばらく行っていました。
しかし数ヶ月も何も起こらず。
その後、子宮内ポリープ切除術を行ったり人工授精を開始しましたが、ほとんど私から提案したからできたことで、もっと早く病院を変えていたらと思った時期もあります。
その後転院しましたが、今通っているその病院では、28日周期でちゃんと生理が来るように薬を出してくれました。(私は何もしないと35日くらいの長い周期なので、次の生理を待つしんどい期間が長いです)
クリニック通いをしているだけでメンタルが削られていくので、なるべくそれを短縮できるような方法を一緒に考えてくれるクリニックは神ですよね。
そんなこんなで人工授精を計6回行い、今はステップアップして体外受精に挑戦中。
クリニックに通い始めて、私は鍼灸や整体にも行き始めました。肩こりがひどかったり全身が凝っているので、それをほぐした方が血の巡りも良くなり妊娠に繋がるのではないかと考えたためです。
ここでお分かりかと思いますが、妊活には際限がないです。妊娠しやすい体になるために、あらゆるサプリを買ったり、鍼灸や整体に通ったり、ジムやピラティスに行くなど、、、。
「これをすれば少しでも確率が上がるのではないか?」そう思って手を出し始めると、当たり前ですが毎月膨大な出費になりました。
不妊治療に直接影響されて出てきた問題
それは主にお金とメンタルです。
【お金】約1年不妊治療をしてかかった費用は…
病院通いでかかった費用は33万円、鍼灸や整体にかかった費用は27万円です。
今改めて計算して、総額を知って驚愕しています…恐
子供の養育費にお金がかかるのは知っていましたが、正直子供を授かるのにここまでお金がかかるとは知りませんでした。
ここまでかけても、未だ妊娠検査薬に線が入ったことは一度もありません。
【メンタル】精神病むと周りに人がいなくなる
お風呂のカビがジワジワ増えていくのと同じように、不妊治療から直接ジワジワと影響を受けたのがメンタル。
私は不妊の原因がわからない原因不明不妊なので、解決策もわからない。どうすればいいかわからない。
このまま一生私は子供が産めないのではという不安に駆られていました。
芸能人の出産報告をわざわざ通知してくるLINEニュースをみる自分の顔がこわばっていたり。友達と久しぶりに会った時に子供の話ばかりで自分が聞きたい言いたい話ができずにもどかしく思ったり。友達の妊娠報告に素直に喜べない自分を自覚するのも嫌で、友達に会いたくなくなったり。
子供がいる友達からご飯に誘われたとき、断り方は2通りを駆使。
久々に会いたいと言ってくれた友達には本当に申し訳ないけれど「仕事で忙しい」と、本当に仲の良い友達には「今子供の話しんどいからごめん」と正直に打ち明け、お誘いを断っていました。
はい、引きこもりの誕生です。笑
でも意外にも、自分の感情を友達に話すことで楽になることもありました。
周りに不妊のことを打ち明けると、同じような境遇の人や、流産を経験された方、第二子の不妊に悩んでいる人など多くの方がいらっしゃいました。
親世代からは「不妊なんて信じられない」みたいな扱いを受けることが多いので、なかなか話しにくいですが、同じ境遇の人の話を聞くと
みんな戦っている。私だけじゃない。
という言葉が、より現実的に思えてきます。
②もともと普段からあった問題
不妊治療の中、私が無自覚にかなり苦しめられていたのは、この「もともと普段からあった問題」です。
もともとある問題を我慢してたり、不妊治療を言い訳にやりたいことを諦めること。
これがかなり不健康です。
私の場合、我慢してしまっていたのは仕事でした。
この職場でやりたいこともない。この仕事で社会の役に立てているとも思えない。この職場で得られることはもうなさそう。楽しくもない。無感情でいることに慣れてしまった。
そんな普通であれば転職するだろう状況で、私が仕事を続けていたのは、
「会社員で産休・育休をとる」
それが当たり前で、そうしないといけない、だって皆もらってるのに私だけここで辞めたらお金ももらえないし損してしまうから。
そんな考えに縛られていました。
いつ妊娠してもいいように、
・会社は変えずに今の仕事を続ける
・海外旅行の計画は立てない
・数ヶ月先の仕事の依頼は、つわりが来ても対応できるようになるべく調整する
そんな我慢を続けた一年間は、私にとって何も残らない一年でした。
ある日ふと思いました。
このまま一生妊娠しないかもしれないのに、いつまで私は我慢する日々を続けるんだろう?
もちろん、今、私の人生の中で優先順位の1位が妊娠だからこれでいいんだという気持ちもわかります。
30代のうちにできることは全部やらないと後悔するから妊活のためにできることは全部やる。
でも、「妊娠したい!」
「だから、今の仕事を続ける」は、
繋がっていないことに気がつきました。
「妊娠したい」が、いつの間にか「産休育休を取りたい」に変わっていたんです。
別に一番望むことは妊娠出産をすることで、産休育休を取ることではありませんでした。
妊活しているから、と、
仕事で挑戦することを避けたり、何かを我慢することは、ただ言い訳にしているだけだと気付き、その自分の考え方の癖を認めました。
そこから全てが変わりました。
産休育休がもらえなくても死にやしない。
それよりも、自分が毎日心を動かして生きることが大事だ。こんな死んだような目をしながらしかできない仕事はやめよう。冷静で何があっても動じないことが自分の長所だと思っていたけれど、これからは泣いて、笑って、焦って、困って、人に頼って、できないことはできない、助けてほしいときは助けてって言って、今の100倍感情を動かして生きたい。
ロボットでもできることはやらない。
人間だからこそできること(心を動かすとか考えるとか)を全力でやろうと決めました。
今では会社を辞めてフリーランスになって、海沿いに引っ越す計画もして、収入はもちろん減ったけど、生きるのが前よりずっと楽になりました。
我慢している自分が好きか?
好きじゃないなら、じゃあどんな自分が好きかを考えて、心に素直に従っていきたいものです。