たーちゃんとアメリカと夢 4 たーちゃんアメリカにいくの?の巻
たーちゃん高校2年生になりました。英語の授業もだんだんと難しくなり、授業について行けてるのか、いけてないのか良く分からなくなってまいりました。そんな折、学校から、
アメリカホームステイ参加しますか?
というお知らせが来ました。母に、ホームステイ行きたい?と聞かれ、何故かたーちゃん、
「行きたい。」
と言ってしまったのです。言ってしまったものは引っ込められません。英語が話せようが、話せまいが一度行くと言ったら、行きたい自分に持っていくのが、たーちゃんです。絶対英語が話せないと分かっていても、アメリカに行ってしまう方向へと話が進んで行きました。
飛行機はユナイテッドエアライン。乗務員の方々は皆さんアメリカ人。たーちゃんの海外旅行は飛行機に乗った瞬間から始まりました。
でも言えたよ。
「チキン プリーズ」
「コーヒー プリーズ」
そんな事で、ちょっとした自信になっていました。でも、トイレと間違えて乗務員さんのカーテンを開けてしまい、タバコを燻らせている2人の乗務員さんに英語で捲し立てられ、何も言えず棒立ちでカーテンを閉めました。
そしてアメリカ到着。ロサンゼルス空港から小型機でフレズノへ。
フレズノ、そこは牛の香りがするのどかな町。そうです。ど田舎だったのです。(フレズノにお住まいの方がいたら、ごめんなさい。)
空港までホストペアレンツが迎えに来てくれていました。車の中で、
「家に着いたらジャクジーに入れるよ。」
と言われたので、
「ジャクジーって何?」
と聞くと、
「プールのようなもの。」
と言うではありませんか。庭にプール。想像しただけで、ニヤニヤが止まりませんでした。家に着いてすぐ水着に着替えて、急いで庭に出たのですが、広い芝生のお庭。
「プールどこ?」
すると、庭の隅っこにある、お風呂に案内されました。たーちゃんはジャクジーがプールではなく、お風呂だという事を初めて知りました。昼間からお風呂に入り、リラックスして旅の疲れもすっかり取れました。ジャクジー最高!!
その夜、レストランに連れて行ってもらったのですが、車の窓から見える景色は、どこまでも真っ暗で、遠くの方にちらほら電気の光が見えていて、何となくおばあちゃんの家の、海の対岸に町の光が見えているのを思い出して、そこには海か湖が広がっている。と思い込んでいました。
そして翌朝、お母さんが車で学校まで送ってくれる道で、ふと窓の外を見てびっくりしました。海か湖かと思っていた、どこまでも続く暗闇の正体は、
どこまでも続く荒野
だったのです。どこまでも続く荒野。どこまでも続く空。アメリカは広い。地球は広い。
その後どうやって過ごしたのか、思い出せませんが、最終日にホストファザーが、たーちゃんの唯一苦手なメロンを買ってきて、絶対美味しいよ、と満面の笑顔で振る舞って下さり、
「たーちゃん、メロンが嫌いなんだよー」と心の中で叫びながら、笑顔で食べたのは今でも鮮明に覚えています。