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【祈願上手】758文字 ⑭

カフェからの帰り道、夕暮れの街。
私と二階堂くんは街路樹の下を歩いている。梅雨前の不安定な天気のせいで晴れているのに霧のような雨が降っていた。

突然、目の端に白いものが現れた、猫だった。タタタタッと目の前を通り過ぎて路地裏へ消えた。

「猫!今の三毛猫だったよね?」

「あぁ、三毛だった」

「私ね、三毛猫を見るたびに小さい頃飼ってた猫思い出すんだ」

猫じゃらしではしゃぐ姿。あったかい肉球。ゴロゴロと甘える姿。少しでも思い出すと勝手に目が潤んでしまう。

二階堂くんはふいに立ち止まって空を見上げた。

「山本さん、上を見て」

私は二階堂くんと同じ方向を見上げた。夕暮れの少し彩度の落ちた空に、うっすらと七色の虹が架かっていた。

「虹だ、綺麗だねぇ…。そうだ!二階堂くん、虹に願い事しようよ」

「子供みたいだなww」

「いいから、いいから」

私は目を閉じて虹に向かって手を合わせた。

「ミーちゃんに夢の中でもいいから、会えますように」

「ニャ」

私はハッとして目を開けた。辺りを見回して猫の姿を探す。

「今、ニャって聞こえなかった?」

二階堂くんは左右に首を振った。

「なにも」

「気のせいかな?」

私は再び虹に向かって祈った。

「ミーちゃん、夢の中に出てきてね」

「ニャ~」

「二階堂くん、やっぱり聞こえたんだけど!」

「俺には聞こえない。もしかしたらミーちゃんかもな。山本さん祈願上手だから、虹が願いを叶えてくれたんじゃない?」

「祈願上手?そうなのかな?じゃ、もう一回」

目を閉じて真剣に祈る。

「また私と一緒に遊んでね」

「ニャ」

私はもう一度願い事を繰り返した。

「私と一緒に遊んでね、猫の二階堂くん」

「あ、、」

二階堂くんはイタズラがバレた子供のようにニコッと笑った。

「あははは、さすがにわかるよ。ミーちゃんと鳴き声違うもん」

「ニャぁ」

私と二階堂くんは驚いて顔を見合わせた。




今回はあまり時間がなくて一日で書きあげました✨
実はいつも3~4日かかってるんですよ。
1日目、ざっくり書く
2日目、文章の追加、漢字のチェック
3日目、客観的に読んでみる
こんな感じ
サクッと書けない不器用な人間なんです💧