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青いキリンを作ったあの日。紙が私のすべてだった。

子どもの頃、私は**「枠にはまる」** ということがどうにも苦手だった。

折り紙は嫌いだった。
きれいに折れなくて、角がずれるのが許せなかった。
塗り絵も好きじゃなかった。
広い面積をざかざか塗っても、思ったようにきれいにならなかった。

決められた形をなぞる遊びは、どうにも窮屈で面白くなかった。

でも、紙を切るのは好きだった。
自分で形を決められるから。

青いキリンと、私の創作の原点


私の原点は、父が会社から持ち帰る製図用の大きな紙だった。

その紙を使って、私は「ももいろのきりん」という絵本に登場するキリンを作った。
本当なら桃色の紙で作りたかったけれど、家にあったのは青い紙。
だから、私のキリンは 「青いキリン」 になった。

紙を広げ、ハサミで切る。
でも、紙が足りなくて、足が短いキリン にする。
絵本のキリンと同じに。

そして私はその青いキリンと一緒に部屋の中を駆け回った。
頭の中では、完全に絵本の世界に入り込んでいた。
紙でできたキリンが動き出すことが、何よりワクワクした。

「これで遊ぶ」じゃなくて、「これが世界の一部になる」 という感覚。
それは、折り紙や塗り絵では味わえなかった楽しさだった。

枠にはまらない子ども、大人になって気づいたこと


私が子どもの頃、「枠にはまれない」 ということに、親はきっと苦労していたと思う。
私も私で、大人になった今、「枠にはまらない自分」に苦労している。

決められたやり方をきちんと守れる人は、きっと生きやすい。
枠に沿って歩ける人は、迷うことなく進んでいける。

私は今、デザインの仕事をしている。
自分で考え、創り、形にする仕事。
結局、子どもの頃と変わらないことをしているのかもしれない。

でも時々、思う。

「このままじゃダメなんじゃないか?」

子どもの頃は、「枠におさまらないのが個性だ」 と思っていた。
でも、大人になった今、「枠におさまったほうが楽なんじゃないか?」 と思う瞬間もある。

それでも、私はやっぱり「青いキリンを作る側」なんだろうなと思う。
普通の折り紙では満足できなかった子どもが、いま普通の働き方に満足できるはずがない。

そう考えたら、このままでもいいのかもしれない。
このままでも、どうにかなるのかもしれない。

…いや、やっぱりどうにかしないといけないか?(笑)

枠におさまらないまま、生きていく


「ももいろのきりん」をAmazonで注文した。
週末には届くらしい。

今読んだら、どんな気持ちになるんだろう。

「枠におさまらなくても、大丈夫」
そんなふうに、もう一度思えたらいいな。

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