ねぇ、生きててたのしい?2
お兄さんがしたかったことはわかる。
私が死にたく見えていたから、引きずりたかったって。
死にたそうだから死にたいでしょ?って
だからわたしに
「しにたいです」
って言わせたかったんだ
おとしたかった
ただ私がわりとたのしいなんていうから相当意外だったんだろう。
お兄さんはいつも笑わない。何日か一緒に働いているがいつも、常にイライラしているように見える。
人と話していても、笑っているけど笑ってない。
思ってないことをその時思えるように自分を信じてる人種。
だから嘘をついているわけじゃない。その瞬間瞬間は本当なのだ。
お兄さんは出店で女の子を引っかけるのがうまい。
お兄さんが近寄って少しコソコソ話すと、女の子は、
じゃあ、買おうかなあ……
なんて、焼き鳥の種類を選び出す。
お兄さんが、よかったらかき氷、焼きそばもあるよ。
と営業する。
私はこんなふうに人の生き方を見て勉強している今がたのしい。
このバイトだって無職の中、楽しそうだなあなんて始めて、割りのいい仕事では全くない。
巡回するお祭りのスタッフの日給とさほど変わらないと知ったのは、仲良くなったスタッフの男の子に聞いたからだ。
のちに、ウロウロしながら机を消毒したり、ゴミを拾うスタッフのギャルに話しかけたりした。
かわいいピアスやキティちゃんのタオルをみて声をかけたり挨拶をした。
別にわざわざやっているわけじゃない。私はこういうサガなのだ。
それをたまに嫌われたり不思議がられたりするが楽しくてやっていて恋愛に発展させたいとかでもない。
よくわからないんだろう。わたしもわからない。
ただ私もその瞬間は本当に本当だ。興味があるから聞いている。話しかけている。
前世はホステスではなく、ホストだったのではないかと最近思う。
自分が男だったらもっと楽しかったんじゃないか。
とか
周りがあつかいやすかったのでは
援交もできなかったんじゃないか
など
でも過ぎたことだ。
今私がしたいのはどうすれば自分がたのしい感覚になるかなのだ。
私は2日か3日ほどこのバイトをしていて、
周りが恐らく触れないことがある
私は頭が金髪であるがそこは別にどうでもいいだろうし
痩せていてろくな食生活を送っていなそうだと思われてもいるだろうし
なによりフラフラよくわからない働き方をして、
左腕にたくさん傷跡がある。内側はデコボコに断面がえぐれていて、表には煙草の押しつけの跡がたくさんある。
それでもこの店の中ではかなり真面目に働いており、雇い主にはおまえそんな頑張らなくていい。と言われるほどである。
お兄さんからもなんとなく観察されている気がする。
私はなにがしたいのかわからないがやりたいことを今真面目にやっている。
お客さんは、傷跡が豊富な左腕と、テキパキ動く私をみてかなり違和感だと思う。
別にそれでかまわないし、それが面白いのだ。
なんだかいちいち隠すと手を洗う時にサポーターが濡れて気持ち悪いし
私のことなにか聞きたいなら聞けばいいとおもっている。
ただ聞かれないから言わないだけだし
言ったとこで不幸自慢みたくなるのも反感買うから話さないだけ。
私は高2から精神科に通っている。34の今まで。病気じゃない、といわれてきた。
最近その良い意味でナルシスティックな主治医が知らぬ間に退職しており、頼れる人がいなくなった
周りはそんな医者カスだ、責任感がない、最低だ
というが、私は主治医が好きだった。話していて、楽しかったし、
発見があった。
代わりにみるようになった医者にはとくになにも求めていない
もはやGoogleの方が主治医になっているから。