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ドバイの公共交通機関の使い方

2024年の年末にドバイに寄ってきましたが、公共交通機関について事前に情報を収集するにあたり、いろいろ思うところがあったので、練習がてら記事を起こしてみました。

実際使ってみてそこまで難しいものではないですが、ドバイへの旅行を検討されている方は、参考にしてみてください。

なお、実際に渡航される場合はRTA(ドバイ道路交通局)のサイトや外務省が発表する危険情報など、最新の情報を併せてご確認ください。


通貨・公用語について

ドバイの通貨はUAEディルハム(AEDまたはDhsと表記される)で、記事内では現地通貨にて記載します。参考までに、2024年12月31日時点での為替レートは1AED=約43円でした。

ちなみに、一応現金を少しだけ用意しておきましたが、使いませんでした。1日程度の観光であればおそらく不要かなと思います。

また、ドバイの公用語はアラビア語となっていますが、英語が通じます。案内などもだいたい英語が併記されています。これは、住民の約9割が移民であることが大きいかと思われます。

公共交通機関利用に必須の「nol card」

ドバイでメトロやバスなどを利用するには「nol card」という、日本でいうところのSuicaやICOCAに似たようなものを用意する必要があります。下車時に現金やクレジットカードでの精算といったことはできません。

nol card(シルバーカード)

nol cardの種類

ここでは観光で利用しそうなものをいくつか紹介します。

Single Trip(片道乗車券)

最初に購入する場合は、運賃のほかにチケット代2AEDが追加で請求されます。2回目以降は先にチケットを所定の位置に差し込んで運賃分だけチャージ(Top Up)する方式で、チャージは10回まで可能です。有効期間90日。

利用可能なのはメトロ・バス・トラムのみで、ドバイ・クリークの渡し舟やパーム・ジュメイラを通るモノレール等は利用できません。渡し舟を利用する場合は、桟橋にあるチケット売り場で乗船券を購入してください。

Single Tripは赤色のカードで、いわゆる「レッドカード」と呼ばれているものです。余談ですが、RTA(ドバイ道路交通局)のサイトでは赤色のカードだけ「nol card」ではなく「nol ticket」と表記されています。

Daily Pass(フリーパス)

1日乗り放題のチケットを購入できます。最大5日分まで購入でき、一度チケットを利用すると、その日の終電・終バスまで利用可能です。実際に使用した日数分のみカウントされるため、5日分買っても連続する5日で使い切る必要はありません。Single Trip同様、赤色のチケットが出てきます。有効なのはメトロ・バス・トラムのみです。有効期間90日。

金額はチケット代2AED + 20AED x 日数です。1日券であれば22AEDです。

Regular(シルバーカード)

通常のICカードのようなものです。メトロやバス・トラムのほか、ドバイ・クリークの渡し舟(片道1~2AED)やタクシー代の精算などでも利用できます。特に指定しなければ、最初にカード代6AEDとチャージ分19AEDの合計25AEDを支払います。有効期間5年。

nolカードの買い方

買い方は簡単で、空港に到着したらメトロの駅に向かい、自動券売機または有人窓口で購入するだけです。エミレーツ航空便で到着した場合、通常はターミナル3の到着になりますが、メトロの駅への通路(階段)は到着ロビーに出たらすぐに見つかると思います。
購入には現金(UAEディルハム)のほかクレジットカードが利用できます。

補記1:自動券売機で新たにnol cardを購入する場合、3台あるうちの、一番改札に近い券売機でしか発行できないっぽいです。
補記2:Airport Terminal 3駅のホームは行き先ごとに改札が分かれていますが、基本的にすぐ近くの改札を通過すれば問題ありません。反対側(centerpoint方面)は基本的に観光で行くことはないと思います。

実際の自動券売機での購入の流れ

本当であれば購入画面を写真撮って上げたいところですが、こういう場所での写真撮影はお咎めを受ける可能性もあるので、文章で説明します。

  1. 言語の選択
    「English」と「العربية」が選択できるので基本的には「English」を選択。

  2.  カードの種類を選択
    Single Trip(片道乗車券)またはDaily Pass(フリーパス)を購入する場合は「Nol Tickets」を、Regular(シルバーカード)を購入する場合は「Nol Cards」を選択。

  3. travel classの選択
    「Nol Cards」を選択した場合は、「Gold」か「Regular」かを選択しますが、基本的には「Regular」で良いです。「Gold」はメトロの運賃がRegularの2倍になりますが、Gold Class車両(混雑回避などを目的とした車両で、JR東日本の在来線グリーン車みたいな位置づけ)を利用できます。

  4. top-up(チャージ)の選択
    「Nol Cards」を選択した場合は、チャージするかどうかを選択します。nol cardをもっていない場合は「No」を選択。

  5. 精算
    表示された金額を現金またはクレジットカードで精算し、完了です。

運賃について

ドバイは「ゾーン制」

日本ではあまりなじみがありませんが、ロンドンやパリなどでも見られる形態で、駅やバス停ごとにゾーンが設定されています。どのゾーンを行き来するかで運賃が決まります。

主な路線と主要駅のゾーン分け
頑張って自作した(笑)

運賃は下記の通りです。

  • 同じゾーン内の移動…4AED

  • 隣接するゾーン間の移動…6AED

  • 上記以外…8.5AED

なおRegular(シルバーカード)はそれぞれ1AED安くなります。

乗り換えについて

各公共交通機関の乗り換えは、30分以内であれば同一行程とみなされ、1回利用分の料金が請求されます(タッチは乗降時、都度必ず行ってください)。ただし、同一行程とみなされる乗り換えは2回まで、かつ、全行程が180分以内であることが条件です。

乗り方

メトロ

乗車前と下車後、改札を通過するときにタッチするだけです。日本のように素早くは動いてくれないので注意してください。

バス・渡船

乗車(乗船)時と下車(下船)時に、端末にタッチしてください。Al FahidiとDeria Old Souqを往復する船には、左舷後方に端末がありました。

結局どれを買えばいい?

旅程により最適解は異なりますが、下記にいくつか例を挙げます。

例1:空港からブルジュ・ハリファやドバイ・モールへの往復のみ

Single Tripを都度購入してください。なお最寄り駅はどちらも同じBurj Khalifa/Dubai Mall駅ですが、駅から少し歩きます。ドバイ・モールまでは空調完備の歩道がありますが目安として、駅からブルジュ・ハリファ展望台への入口(ドバイ・モール内にある)まで、迷わず行けても徒歩20分はかかります。

また、At.mosphere(世界で最も高い場所にあるレストラン)に行く場合は、入口が異なります。アルマーニ・ホテルからアクセスするようですが、場所が全然違うので、時間ギリギリに来て間違えると致命的です。わからない場合は、タクシー移動を推奨。夏場も、めっちゃ暑いので短距離でもタクシーで行ったほうが良いです。日本よりは安いしね。

例2:例1に加え、ドバイ・マリーナとイブン・バットゥータ・モールも行って空港に戻る場合

1日でまわるなら、Daily Passの購入を推奨。
2日以上に分けるなら、Single Tripを都度購入。
これよりも多くの場所をまわる場合は、運賃の安いRegular(シルバーカード)にしたほうがいいかもしれません。

例3:バスを利用する場合(特に行程の最初がバスになる場合)

Daily PassまたはRegular(シルバーカード)を推奨。
特に行程の最初がバスの場合、バス停でチケットにチャージする方法がありません(バス内も不可)。バスターミナルのような場所であったり、あらかじめ駅などでチャージしておけばSingle Tripでも利用できるかもしれません(注:未検証)が、割高でもDaily PassまたはRegular(シルバーカード)にしておけば、余計な心配をせずに済みます。

例4:ドバイ・クリークの渡し舟を利用する場合

これはちょっと判断が分かれます。
まず、Single TripやDaily Passは利用できません。乗船券を買う場合、時間帯によってはチケット売り場にも列ができていますが、Regular(シルバーカード)を持っていればその列はスキップすることができます。公共交通機関の利用が1、2回程度であれば乗船券はチケット売り場で購入でもいいかもしれませんが、少しでも時間を無駄にしたくない場合はRegular(シルバーカード)があると便利です。

注意点など

  • 飲食や居眠りは罰金対象(飲食:100AED、居眠り:300AED)です。ガムや水もルール上はNG。

  • メトロの先頭車両および最後尾車両はGold Class車両または女性専用車両です。乗り間違いに注意してください。

  • 日本からエミレーツ航空便で来てすぐメトロに乗る場合、通勤ラッシュ時間に被ります(特に羽田発)。空港では閑散としていても、途中のUnion駅またはBurjman駅で一気に人が増えます。本数はそれなりに確保されていますが、次の列車を待つ必要があるぐらいには混みます。

  • 夕刻から夜にかけて、ブルジュ・ハリファおよびドバイ・モールの最寄り駅は混雑します。この時間帯に空港へ戻る場合は、時間に余裕をもって行動してください。

  • バスでは前側が女性、後ろ側が男性という暗黙のルールがあるようです。状況を確認しつつ行動しましょう。

  • バスの時刻表は始発と終発の時間が書かれていて、それ以外は○○分おきといった感じです。一部のバス停には到着時間を知らせてくれる電光掲示板があります。

  • ラマダーンの時期は運行計画が変わるかもしれません。2025年のラマダーンの時期はおおむね3月のほぼ全日です。

  • Regular(シルバーカード)は残高が一定額未満だと弾かれる仕様になっています。利用時は残高に注意してください。メトロの場合は最低7.5AEDの残高が必要です。

便利なアプリ

S'hailというアプリがあり、iOSおよびAndroid端末で利用可能です。
日本語には対応していませんが、英語で行き先などを入力、または地図上で選択すると、公共交通機関(徒歩含む)またはタクシーを利用したルートを案内してくれます。RTAアカウントなるものを登録すればnol cardの残高照会、チャージ、タクシーの配車なども行えるようですが、自分は使いませんでした(タクシーについては、UberやCareemという選択肢もあります)。

App StoreまたはGoogle Playからダウンロードできます。

注:公共交通機関利用時に表示される運賃はRegular(シルバーカード)を利用した場合のものです。Red Ticketは1AED高くなります。

さいごに

中東はなじみの薄い地域かもしれませんが、少なくともドバイの観光地や公共交通機関に関してはおおむね英語が通じますし、整備もされていますから、ひとりで海外旅行を経験したことのある方なら事前に調べなくともなんとかなると思います。

ぜひドバイでの旅を楽しんでくださいね!

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