#102 Win-Winの条件
こちらは「#101 敗者をつくらないために」のつづきです。
Win-Winの条件
Win-Win以外の方法は、経済的に許されても倫理的に首をかしげてしまいたくなります。敗者をつくるアプローチは短期的には良くても中長期的には利益が出なくなる可能性が高くなります。
なぜでしょうか。
簡単な話です。
継続したお付き合いをしたくなくなるからです。
プライベートだけでなくビジネスにおいても人間関係は非常に重要です。自分一人だけの利益しか考えていない人間はいつ裏切るかわからず信頼できません。
そのため、短期的な付き合いは良くても長期的な関係を維持するのは難しくなります。
では信頼の重要性は、どの程度優先されるべきものなのでしょうか。ビジネスにおいて、他人(他社)より先に何かを始めることは優位性が高いのは言うまでもありません。
日本の検索エンジンの先駆けであるヤフー(ソフトバンク)や、個人向けPCを販売したアメリカのマイクロソフト、Amazon・apple・Facebook・GoogleなどのGAFAMや、100円均一のダイソー、コンビニ大手セブンイレブンなどをみればわかります。
ならば他社を出し抜き、先手を行くことの恩恵によって優位性を維持し、利益を上げれば信頼など不用な気がします。
しかし、そうではありません。
社会活動を行うには不特定多数の他者の存在が不可欠です。それはビジネスにおける協力者だけでなく消費者も含まれます。
隣国韓国では、反日感情が高まると日本製品の不買運動がよく行われます。商品の価値や価格以前に、嫌いな相手からは商品を買わないことで愛国精神を示すわけです。
また、逆のケースで昨年2021年の年末に生乳が5000トン廃棄の可能性になり(社会的疫病の影響)、全国の酪農団体などでつくるJミルクが企業や一般人に消費(購買)をお願いし、それに社会の人たちが応えるかたちで年末の牛乳の消費が爆発的に増え、廃棄を免れることになりました。
どちらのケースも、社会・企業・国などに対する信頼のレスポンスに他なりません。
以前、「#45 最大限のコスパは信頼」で触れましたが 、過去でいえば海賊、現在でいえばマフィアなど反社会的な活動をしている組織で重要視されるのが信頼なのです。
つまり、信頼とは商取引や人間関係の土台となるもので、その上に6つのアプローチがあるわけです。
Lose-Loseでいえば、互いに信頼せずに自己主張を押し通した結果、互いに敗者となったり、互いの利益を優先するものの、消費者を無視することにより、消費者との信頼を構築できず、両者が結果敗者となるなどが起きます。
Win-Loseでいえば、立場を利用し相手を力技で押し倒すことで、自分が協力者や消費者に対して勝てても、その度合いが大きければ、出し渋りや不買運動など反感運動が起こり、良くない結果を招くことになります。
また、Lose-Winのように自分が負けることにより相手を勝たせ取り繕うのは健全な関係とはいえず、単に相手側に依存しているのと変わりません。相手のふんどしで他の相手に勝とうとするのならばそれは下策になり、虎の威を借りる狐です。
お気づきでしょうか?
Loes-Loseは、交戦の結果、敗北する。
↓(交戦をしない行動する)
Win-Lose、Lose-Winは、依存状態によって交戦を免れる。
↓(依存状態を回避するために行動する)
Win-NoDealは、自立した状態で勝てないなら交戦しない。
↓(互いに勝てるよう努力する)
Win-Winは、自立した両者が交戦し、両者が勝利する。
このようにLoes-LoseからWin-Winまで下層から上層へと状態が上がっているのがわかります。
つまり①-⑥は横並びではなく、階段状になっています。
最下層であるLoes-Loseでは、互いをまったく信用していません。隙あらば相手を出し抜き自らが優位なポディションをとろうと虎視眈々とうかがっています。
そこで見事に相手より優位な立場になってマウントをとった状態がWin-Loseですね。自分は思い通りで愉快ですが、相手の腹の中はさぞ煮えくり返っているでしょう。
また、勝ち目のない相手に服従することで身の安全を確保するのがLose-Winであり、相手の気持ち次第で振り回されてしまいます。
それではまずいと誰もが思い考え最良の手を模索します。
それによりWin-NoDealになり、勝てずに服従するくらいなら戦わず相手にしない、または、互いにとって良い状態を探り、その最適な選択がみつかるまでは、互いに選択はせずに保留しましょうと交渉するのです。
やがて両者の努力によって、最良の落としどころが見つかり、互いがそれを了承しWin-Winに至るのです。
つまり、Win-Winには前提条件があります。
①相手が信頼できなければならない。
②自身が自立(依存状態ではない)していなければならない。
③両者にともに有益でなければならない。
最低限以上の3つを兼ね備えていなければWin-Winにはなりません。
これは人間関係も同じです。
①は相手に求め、②は自分に求められ、③は互いに求められます。
全てを叶えてはじめて良好な人間関係になりますし、それを維持できます。
何かに迷ったら一度立ち止まり、以上の三点をクリアできているか自分に確認するのが良いかもしれません。
そうすれば、問題の本質がどこにあるかも自身でつかめるはずです。
それでは皆さま、良い人生をその手に!
おわり
参考文献「7つの習慣 スティーブン・R・コヴィー著」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
灯さかすさん画像を使用させていただきました。