#117 自伝本からわかること
前回、税所篤快さんの自伝を使用させて頂きましたが、自伝本には良い点が沢山あると思います。
その一 主観的時代背景
どんな人も時代の影響を受けて生きています。これは人間が環境に適応することに優れていることで現在の地位を確立したことにも起因するのですが、個人の個性は環境のフィードバックによってその時代に適応するように変化すると思います。
例えば、以前記事にしたテスラのCEOであるイーロン・マスクが大学入学時には、マイクロソフトのビルゲイツを筆頭にした、ITの革命期に入り、シリコンバレーの多くの起業家の影響を受けることとなり、大学をたった2日でやめることになりました。
もし、そのような時期でなければイーロンは即起業という選択はしていなかったのではないでしょうか。
とくに幼少期・思春期においての時代背景はそこに生きる人たちに多くの影響を与えます。そのため、団塊の世代・ゆとり世代・悟り世代などと、世代によって大まかな共通する人種を生み出すことになります。
そのため税所氏も自身の思春期を過ごした足立区に対して興味を持ち、その中にある改善すべき事案に取り組む選択をしたのだと思います。
歴史書のような文献では、大まかなことは分かりますが時代にある空気感を得ることは難しいものです。
また、『公式の過去』は捏造される可能性もあります。勝てば官軍といいますが、歴史の一部は勝者によって都合よく解釈を変えられることはこれまでの公式の過去を見れば明らかです。
そんな中、自伝本では個々人が体験したエピソードを元に過去の日常が鮮明に表現されていることが多くあります。
そのことにより、その時代に生きた人たちのバックボーンを本当の意味で理解することが可能だと考えます。
もっとも、自伝本は少なからず個人の都合で解釈されるのでそこでの小さな捏造がある可能性はありますが、人は必要のない嘘は基本的にはつくことはありません。
「存在しないものを存在する」というためには、必ずそこに意図が必要なためです。つまり、個人にとって自身の評価や思想などが否定されるようなことは捏造する必要がありますが、その時代に起こっている事象は捏造する必要はないのです。
その二 客観的成長と疑似成功体験
自伝本の多くは何かを成し遂げた個人がその成功までの経緯・感想・秘密を記録しています。
税所さんは、学生時代に苦労しそのただ中で、試行錯誤し一定の成功を収め、恩師と呼べるような出会いがあり、活動の幅を広げていきバングラデシュでe-エディケーション(ドラゴン桜プロジェクト)を成功させました。
そのどれもが苦悩と挑戦と失敗のスパイラルでした。
しかし同時にそれらが彼の成長年輪をより太く大きくしたことを間違いありません。そして、彼の成長と成功体験を疑似的に本を通して体験できることは貴重な財産になると思います。
人の人生は有限です。そして、時間もまた然り。
わたしたちは、なにかを成し遂げようとするときに時間という壁にぶち当たります。その際、その壁を乗り越えるまたは破壊するための方法が必要になります。
その方法は、多くの場合、過去のケースから推測し対応することになります。過去に同じケースがありそれを模倣することで解決できるのであれば問題ありませんが、そのではないケースもあります。
では、そのような暗中模索で解決するにはどうすればよいか?
他人の細やかな経験から推測することで活路を見出すのも一つの方法です。
大きな成果は、いくつもの小さな成果の集合体で構成されています。
雪だるまのように、最初は小さなものでも、それを回し続け大きなものに変化していきます。
その三 自伝本からわかること
多くの自伝本の中に書かれている成功の重要な要因として、出会いがあります。
人が何かを成し遂げるためには、ほとんどの場合、自分以外の協力が不可欠です。なぜなら、人はひとりで全てを完結できる力を有してはおらず、そのように生物的にも仕組まれてないためです。
プラナリアのように個体一つで、分裂可能で情報を共有できるのであれば、人は群れる必要は全くない。しかし、そのプラナリアがこの自然界で頂点に立たなかったように、個体同士で情報を共有し、個体変化を生み出し、環境に最適な形で順応することが望ましいようです。
以前の記事で「ズルをしてでもバスに乗り込め」で書いたように、有名になった人物の多くは、その業界で力を持つ人物の力を借りていて、悪く言えば、その人の個人の裁量を利用し大きな成果をあげています。
つまり、正攻法で大きな成果をあげることはとても難しいことがわかります。
コツコツと地道に成果をあげることの重要性はいうまでもありませんが、それと同時に、有力な個人の裁量権をえる偶然やしたたかさも必要です。
そういった、人と人との出会いのノウハウが自伝本には隠されているように思えます。
みなさんも、生真面目になり過ぎず柔軟に対応することが、行き詰った状況下で、状況を変える大きな一手になるのではとわたしは考えます。
最後に、個人的な感想ですが、多くのハウ・ツー本に書かれているやり方よりも、自伝本に書かれている何気ないやりとりに注視し応用する方が、やり方としては優れていると思います。
なぜなら、個々人は個々人に適したやり方でなくてはマストではないためです。
ベターなものを繰り返しても最良のものを生み出すことは容易ではないように、些細なこともカスタムしマストを生み出す努力をすることが人として成長できるのではないでしょうか。
何度も言いますが、人生は有限です。
より効果的な時間をお過ごし下さい。
ファイト。
おわり
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ia19200102さん画像を使用させていただきました。
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