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トゥレット症(チック症)当事者が語る共生【発症~小学校卒業編】

はじめに

 皆さんはトゥレット症、またはチック症という言葉を聞いたことがあるだろうか。近年インターネットの普及によりかなり認知が広がっていると感じているが、それでも知らない人の方が多くいると思う。
 簡単に説明するとチック症状(過度な瞬き、首振り等の運動チックと咳払い、発声等の音声チック)が1年以上続くものをトゥレット症と呼んでいる。
※詳細はトゥレット症とは?チック症とは? - トゥレット当事者会をご覧ください。

 そんなトゥレット症を患えてから現在に至るまでの約17年様々なことがあった。トゥレット症を抱える一個人として、この病気がどんなものなのか。この病気を持つ人はどのような意識をもって生活しているのか、知ってもらいたいと思い、この記事を書くことに決めた。

 発症~小学校卒業編、中学校編、高校~社会人編の3部構成でそれぞれの時代で何があったのか、どういった症状が出たのか、心境はどう変化したのかを書いていきたいと思う。

小学校生活

 私がチックの症状を初めて起こしたのは、小学1年生の誕生日を迎える1週間前であった。最初に出た症状は、首を振る運動チックであった。私自身この頃は自分がチックの症状をしているという実感がほとんどなく、周りから言われて気づいた。当時、親から「首を振るそのをやめなさい」とよく叱られていた。しかし小学1年生当時の私はなぜ怒られているのかがわからなかった記憶がある。今でこそ自分のチック症状を理解しているが、当時はチックなんて言葉もしらない。また意図して首を振っているわけではない。自らの意思で起こしていない行動について叱られることは当時の私にとっては不快感極まりないものであった。

 首振りの運動チックが治まってきた頃、新たに体をくねくねする運動チックが発症した。脇腹に力が張り、湶骨を体の内側に動かすようなそんな動きである。その他にも小学生当時に発症した運動チック症状は、過度な瞬き口を何度も大きく開ける右腕を上に振り上げる、腹筋に力を入れる等があった。小学生低学年の頃では、運動チックが1つ治まると1つ新たなチックが始まるといったループのような状態が続いていた。

 小学校中学年になるとチックの症状が悪化し、音声チックが運動チックに併わせて出るようになった。鼻を鳴らす咳払いをする、「あっ」という声を出す等が発生するようになり。この頃には運動チックも首振りと瞬きが同時に起きる等、複数のチックが併わせて発症するようになった。周囲から向けられる目線に気づいたり、同級生からも「なんで目をぱちぱちしてるの?」と言われたり、この頃から自分が人とは違うと感じるようになった。親からは相変わらず「癖をやめなさい」と言われていたので、私には人とは違う癖があるのだと感じていた。

 小学校高学年に上がると自分なりに、癖だと思っていたチックの症状が、癖ではない別の何かだと感じてくるようになった。親もこの頃から、私の症状について調べるようになり、チックというものがあることを私に教えてくれた。異常な首振りと瞬き、そして常に喘ぎ声のような声を出している息子に対し、明らかに癖ではない何かだと感じたのだろう。高学年になるとクラスメイトも私も心身共に成熟してきており、普通のチックの子たちはこの頃から陰口や、真似される等のいじめの始まりのようなものが怒り出すころであると思う。しかし私の周りは良い友人たちに囲まれており、特にそんなことはなかった。1度テストのときに音声チックがうるさすぎたのであろうか、「うるさいよ」と言われたことはあったものの、それ以外は特に触れてくることはなかった。田舎の同学年16人しかいない小学校であったのが功をなした気がする。本当に優しいクラスメイトであった。

 その後小学校を卒業するまで音声チックがすごい時期、運動チックがすごい時期、どちらも収まっている時期、どちらもひどい時期の波の激しいチック症状を抱えながら生活した。

 6年間をとおして、チックによって生活に支障をきたすことは1度もなかった。特にこの頃は首振りによる肩こりや、瞬きによる目の炎症等、外的症状も発症することなく、鉛筆を持つ手が震えたことも、誰かに危害を加えたこともなかった。しかし小学生の頃は特に前駆症状(チックをしたくなる)が強く、親から叱られることを恐れ強くストレスをためた時期でもある。私個人的にはストレスというものはチックに対し深くかかわりがあると考えている。そのことについて後日別の記事にまとめたいと考えている。

最後に

 次回、中学生編を書きたと思うが、中学生時代が1番チックがひどい時期であった。私はトゥレット症(チック症)を世界中のみんなに知ってもらいたい。そして当事者である仲間たちを励ましてあげたい。そんな気持ちを持っている。いつかこの病気を完治させることができるようになればいいなと思う。



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