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なぜ私たちは傷つくのか

と、考えた。眠れない夜に。

なぜ、人間の皮膚は、鎧のようではなく薄くて柔らかくて脆いのか。
なぜ、悲しく切ない記憶ほど、鮮明に体内に残ってしまうのか。

生物学的に正確な答えはわからないけれど、私が思いついた答えは「きっと傷つく必要があるから」だった。

擦り傷がつくことで、次は気を付けようと気を引き締め、準備する。傷がついてから、私は、自分の脆さに気がついて、生き抜くために次は何か別の服を着ようと思いつく。辛い記憶があるからこそ、同じ思いはしたくないと努力したり、似たシチュエーションで以前とは違う言動をとったりすることができる。
傷つかないと気がつけないことがあるから、人間は、柔らかく脆く創られたのではないかということだ。

まっさら、綺麗なままでは、学ぶことができない。

傷つくことは生きること。

手の豆が固くなるのは、その部分の皮膚は、他の場所と比較して外界とより多く触れるからだ。擦れるからだ。それを察知すると、体はちゃんと皮膚を固くしてくれるんだ。

私が傷ついていることは、私がどうにかこうにか、生き続けている証拠だ。



『甘い傷』

眠れない夜に
人が傷つく意味を見つけた
満月になりきれなかった奴の下
ベッドの上
擦り傷の痛み
すべてを見つめて宇宙の中を彷徨った夜
わたしの傷は味を持った

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