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満漢全席を食べた人生になった

満漢全席という中華料理の中でも特に豪勢なコース料理をご存知でしょうか。

中国 清の時代に存在した、満州族と漢族の料理の中でも選りすぐったものを数日かけて食す、宴席料理のことを指します。

詳しくは「🔍満漢全席 とは」で検索していただいた方が正確かと思いますが、平たく言うと超豪華な中華コース料理です。

実際にあった満漢全席は三日三晩お芝居のような見せ物を挟みながら100種類ほどの料理を食す宴ですが、この度は現代版の食材、調理法に一部変換しつつ、また数時間でいただけるように縮小編成された新満漢全席コースをいただくことが出来ました。

この感動を少しでも残しておきたい気持ちから、取り急ぎ所感を残しておきたいと思います。

宴の開催まで

高校の頃に世界史こそ選択してましたが、歴史が特別好きで詳しい訳でもなく、授業の中で雑談が面白い先生がチラッと触れていたなあ、とぼんやり満漢全席の存在を知っていたくらいでした。

そんな私が何故食べてみたくなったのかというと「漫画の影響」というミーハー極まったものです。

私が特に好きな漫画に「魔人探偵脳噛ネウロ」という作品があります。
この物語は魔界の住人「謎」を食う魔人ネウロが、魔界にある「謎」を食い尽くしてしまったので人間界に探しにくるところから始まります。
「謎」を探すのに、探偵役の人間の相棒がいると合理的だということで、ひょんなことから超大食い女子高生の弥子を担ぎ上げ、一緒に数々の事件に挑む、ファンタジー要素のある探偵ものです。(最高のバディものです😭)

弥子は病的なくらい食べることが好きなのですが、作中にとある社長が満漢全席を用意して、ネウロと弥子をもてなすワンシーンが存在します。

これを初めて読んだのは中学生の頃なのですが、大人になってからも何度となく読み返しており、たまたまある日ネットで見かけた満漢全席を現代日本でも食べられるという情報を得て、頭の中で紐付いて思い出しました。

グルメな弥子が焦がれる中華料理を食べてみたい!
大人になった今なら頑張れば捻出出来るかもしれない!


そんな気持ちで都内近郊で食べられるお店を探し始めたのが開催のきっかけでした。

いくつか提供しているお店はあるようですが、今回お願いしたお店では2024年現在、私にとっては並々ならぬハードルがありました。

※いずれも2024年7月予約時点の情報のため、予約をお考えの場合は必ずお店へ確認ください!

▼その1
一人あたりお料理だけで最低5万円(税抜)からの提供


一人あたりご、ごま…………ん!???????

これはもう食べた今なら納得、というか結構、いやかなりお得なのでは?という金額なのですが、予約前は純粋に自分のお財布事情と金銭感覚で考えていたので一食に費やす金額としてはかなり抵抗を感じました。

何しろ私が一食にかけたことのある最高額はグッチオステリアのランチコース2万円。
その倍を優に超える金額。

しかも私だけではなく参加者全員が各々払う。
そんな有志一体何人いるんだ???

▼その2
最低決行人数は10名

単に10人集めるならどうにか出来るかもしれないけど、全員が満漢全席に費用に見合う価値を感じてくれる人じゃないといけないのに、それを10人も?????

これはちょっと私の場合はとても知り合いだけで、どうにか開催できるようなイベントじゃないな🤔

その3
予約確定後はキャンセル不可、人数変更不可


どう考えても普段お店が扱う食材の仕入れじゃないので当たり前なんですが、参加者からすると予約確定後はどういう事情でキャンセルすることになっても、キャンセル料100%というリスク。

金額が金額だけにそれをのんでもらえる人、本当に私の周りに10人以上いる?絶対いない………😱

もちろん私自身も高熱を出したり事故に遭ったり身内に急な不幸があったりすれば同じリスクがあります。

という訳で去年の12月に考え始めてから、お店に問い合わせをしている計画段階では「諦める」「とりあえずやってみる」を行ったり来たりしました。

しかし知的好奇心が旺盛で、己のファッションを自問自答することが共通点にも関わらずグルメ情報が行き交う、自問自答ファッションの自問自答ガールズたちならば………?
ひょっとしたらひょっとすることも………???

ダメで元々、もしダメなら手を挙げてくれた人たちで「満漢全席食べたかったね〜〜」って言いながらもっとリーズナブルな食事会でもしよう。
ということで今回は自問自答ガールズを対象に募集をかけることにしました。

結果、たくさんの方の拡散のご協力をいただいたお陰で10人を大きく越える皆様に参加希望をいただき、そこから日程調整の末に最終的に16人で開催することが叶いました🥳

その後は当日までお店とメールで予算と内容について詰めながら調整を重ねていきました。
私の細かい質問にも丁寧に答えていただき、本当に助かりました。

ちなみにメニューは予算と、こちらが伝える希望でお店が叶えられるものに応じて変わります。
今回は参加者が全員女性で胃袋の容量に自信がなかったため、量をできるだけ減らし、その分、食材のグレードを上げるようなご配慮をいただきました。

食べきれないお料理については持ち帰ることができるのですが、殆どの方が取り分けられた量はいただいていたように思います。

16:30頃まで食事していたのですが、私の場合は、翌日の午前中までお腹が空かず美味しいものだけでお腹を満たせてHAPPYでした✌️

この後は当日の様子を私の目線でレポとなりますので、少しでも雰囲気をお楽しみいただけたら幸いです。

宴の始まり

初めて伺うお店だったのですが、個人的には横浜中華街の水族館のすぐ近くで驚きました。

立派な店構えにちょっと緊張しながら、先行到着組と一緒にウェイティングスペースで待たせていただくこと数分。
5階のVIPルームでは?という広間に通していただきました。

荘厳さを感じる内装とテラス部分で子豚の丸焼きを仕込む職人さんにワクワク感が増して、幹事であることを忘れてはしゃいでしまったのを覚えています。

そうだ、高級中華を食べに来たんだと実感する光景
焼き物の職人さんによる仔豚仕上げ中🐖

席に着くと赤いチーフに立派な花の刺繍がされており、黄金で重厚なカトラリーや真ん中に鎮座するガラスの大きな回転テーブル部分に、普段とは違う食事なんだという実感がひしひしと湧いてきました。

椿だと思ってますが芍薬かも?
広げた姿は撮り損ないました💦

飲み物などが手配されると、お店の方から一言。

これからお料理を運ぶ前に銅鑼(ドラ)を鳴らします

銅鑼を鳴らす????????

普通の食事会にはピンとこない話に思わず笑ってしまいました。

大きい音がするので予めお知らせいただいたとのことですが、初めはどこに銅鑼があるのかも分からなくて油断していると、一品目が運ばれる前に腹に響くような音が。

ドォォォォォォォォォォォォォォン

ドゥゥゥゥンの方が近かったかもしれない。
子豚の丸焼き調理中よりもずっとエンターテイメント感がありました。

あと普通に音が大きくて事前に知っててもびっくりする。

戦いの前みたいだ、と同席された方が仰ってましたが正にそんな感じでした。美味しい料理と、ペース配分のために理性を保つ自分との戦い🐲

バチの先端には可愛い布が巻かれている

冷菜の盛り合せ8種

アフタヌーンティーみたいな器できた

左から。

一段目
中華くらげ、生のアワビを酒蒸ししたもの、鹿児島産イケエビの湯引き

二段目
アヒルのスモークのアスパラ巻き、チャーシュー、ピータン。

三段目
大根とにんじんときゅうりの甘酢漬け、皮付きの豚バラ肉

えっとですね………めっちゃ全部美味しくてさ…………
全部想像より美味しくて味わい深いの……
ミーハーな動機で開催するくらいなので全然舌も肥えてないし、食への語彙力も乏しいんだけど知ってそうなのに知らないというか………

まず中華くらげ。
私が食べたことあるやつより厚くて程よい弾力があって、染みてる味が所謂中華くらげなんだけどその上位互換というか……酸っぱいとか辛いとかそういう味覚が突出している感じではなくて、永遠に食べてられそうな素朴さも少しあって。
派手さはないけど複数皿が並ぶ中には君もいて欲しいなって感じの存在。

アワビの酒蒸しは、もう噛む度に旨みがじわぁ、ジワァッて口の中に広がる感じで絶品。
貝類の美味しさって滋味を感じる系だという認識なんだけど、和食みたいに味は濃くないけど、噛み締める度に旨味で目が開くような一品でした。

イケエビの湯引きは、私がエビ大好きなのもあって期待してたんだけど、それを大きく越える美味しさ。
湯引きってお湯かけて冷やすやつよね?それでこんなに美味しくなるの!?ってくらいエビ本来の美味しさが押し寄せてくる感じ。
ちょっと行儀悪いかなとか思いつつ、エビみそを食べたくて頭をくわえて啜ったら、いつものエビ味噌より上品で美味しくて動揺しました。
お腹に空きがあるなら3皿は食べたかった。

アヒルのスモークのアスパラ巻きは、言われなかったら鴨と勘違いしてたかもしれない。
私は好き嫌いがめちゃくちゃ多いのですが、この場は全部食べると決めていたので苦手なアスパラもアヒルと一緒にいただきました。
アスパラの苦味?とスモークの相性が良いよねって一品なんだと思います。
アヒル肉は鴨よりあっさりしている印象でした。調理法のせいかもしれない。

チャーシューは、大多数の人が想像する味の系統なんですけど、料理詳しくなくて分からないけどなんかもう一段階美味しかったです。
あと肉の柔らかさがめちゃくちゃ最高でした。
冷菜なのでジューシーとかではないんですけど、何もしつこくなくてもっと食べたい!って気持ちになりました。

ピータンは数えるほどしか食べたことないんですが、こんなにクセのないお味だったかしら?と思うほどムチっと食感と食べやすさが最高でした。
直後にすぐ添えてあるガリを食べてしまい、食感を保った生姜が苦手なので印象が薄くなってしまったのはやらかした。

甘酢漬けは、程よい食感と甘酢の程よい酸味がサッパリさせてくれて、これまた想像より美味しかったです。
この後の料理のことを考えると、この小皿だけ手元に残しておくのもアリだなと思ったのですが、次の銅鑼が鳴ったのでいそいそ食べてしまいました。残しておけば良かった………

皮付きの豚バラ肉は、パリパリの皮が最高で、チャーシューとはまた違うシンプルな味付けが豚の旨みを引き立てる一品でした。
美味しくて気づいたらすぐ食べ終わってて「えっもう無い!?」と驚いた。
この後くる子豚の丸焼きの期待値を爆上げさせてくれました。

そうこうしているうちに次の戦いが始まります。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

仔豚の丸焼き

両目が交互に点滅していた

あの丸焼きが遂にテーブルへ登場しました。

写真を拡大していただけると、皿の足の部分が豚の足になっているのが見えるでしょうか。
豚の丸焼き専用のお皿だそうで、この世にそんなに用途が限られた皿があるのかとおののきました。

今回は生後3週間の仔豚でハンガリーから来たとのことでした。
生後3週間で食べられちゃうんだな……とちょっと弱肉強食を感じたり。

テーブルを一周して撮影タイムを経ると、焼き物職人さんの元に一度帰ります。

まずは、こんがり焼かれた皮の部分を削がれ、北京ダッグのように葱などと一緒に海鮮味噌と白い特製バンズに挟んでいただきました。

削ぐ工程はすぐ近くのテーブルでされていて、中華包丁で肉と離していました。包丁で押し切る度に「パリッ」「パリッ」と部屋中に響いて感動。

白くて可愛いバンズ

口にする前からパリパリだと分かっていても、自分の歯でそのパリパリ感が分かると改めて驚きました。

香ばしいけどもちろん焦げているわけではなくて、ネギのシャキシャキと味噌の甘さがバンズの中で一緒になって、あっという間に平らげてしまいました。美味しすぎる。

バンズは長崎の角煮まんで使われるようなものに近かったです。ほの甘くて、つつくとちょっとぷにっとした感じ。
これがきっと甘いタレと肉を合わせるのに最適な炭水化物なんだろうなあ。

続いて、肉の部分は切り分けられ、別途いただきました。

足が四方に残されている

前菜にあった豚肉ともまた違って、旨みが凝縮されて噛むほど解放されていくような感じ。
もちろん柔らかくてジューシーなんですけど、肉汁を感じる系ではなくてあっさり寄り。
ローストされたお肉ってなんでこんなに美味しいんだろう。

我々のために専門の職人が数日かけて下ごしらえして朝から焼いてくれて、なんという贅沢。

豚の旨さに夢中になっていると次の戦いが始まりました。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

廣東風壺蒸しスープ(佛跳牆)

お腹から蒸気が出そうなおじさん

あまりの美味しそうな香りに坊主も寺の塀を飛び越えてやってくるほどという名の由来があるとのこと。
この逸話だけはどこかで聞いたことある気がするので有名かもしれません。

乾物メインで煮込まれたスープだそうで、今回はヨシキリザメのフカヒレ、干しアワビ、干しナマコ、牛すじ、干しスッポン(エンペラー)、どんこしいたけ、丸鶏、金華ハム、干しサザエ、干したホタテの貝柱を使っているとのことでした。

でっかいナマコ

これらの具材からまずはフカヒレをいただくことに。

フカヒレか〜〜今までフカヒレ入りとおまけ表記された、細い繊維だけ入ってるようなやつとか、細かく切られたやつしか食べた記憶ないな〜〜〜〜って思っていたところ、一人一皿ドン。

これが1人前

何度も言いますがグルメではないためピンと来てなかったのですが、同席者の方が「このコース、かなりお手頃なのでは」と驚かれているくらいには衝撃の量。

同席者が「フカヒレと自分を撮ってほしい」とツーショット撮影を始めたので、便乗して私も撮ってもらいました。

題名は「フカヒレと私」🦈

フカヒレにナイフを入れてみるとその分厚さに驚きました。
一番分厚い部分はナイフの先がちゃんと身に隠れるくらいある。

口に入れると、滋味の優しい旨いがフカヒレの繊維と一緒に広がって解けていく。

わっ、美味しい

と軽い調子で思わずこぼれるくらいに、私の食べてきたフカヒレってなんだったんだろう?

これが真のフカヒレなんだなあって気持ちと、フカヒレ自体に当然味はないので合わせてあるスープのあんかけ?が美味しいってことなんだろうなあ。

しかも散らばっているオレンジ色。
実はこれ、上海蟹

上海蟹ってコースのメイン級のやつじゃなかったっけ???
トッピング扱いなの????????

予めメニュー表をもらっているのですが、一文字もカニって書いてなかったのに????

すごい…………これが満漢全席……………………

続いて姿煮パート2をいただきました。

左からアワビ、チンゲンサイ、ナマコ

スープから引きあげたアワビとナマコを、ちんげん菜と共にオイスターソースで味付けした一品。

ここで注目を集めたのはナマコ
一人1ナマコ、この大きさで食べたことありますか????

あとスープのお披露目の時から思ってましたが、こんなに大きいナマコを料理で見たことない!

食べたことのあるナマコはよく前菜で小鉢に入ってる細長いのを輪切りにしたやつ。

このナマコでっか!!!!!!!!!!
お店のこだわりで切らずに一匹丸々出しているとのことです。

ナイフを入れると弾力があるプリンやババロアを切っている感じでとにかく逃げる。
フォークでしっかり押さえていないといけないし、押し切らないと刃先からいなくなる。

口に入れるともちっとした食感のソースを味わう感じ。面白い。干したものを戻してるからヌメヌメ感はあまりなく、同席者の表現を借りるとわらび餅をおかずにしたのが本当に近い。

また、アワビは前菜のものよりも旨味の凝縮具合がすごくて、ついでに弾力も凄くて、ナイフで押し切って口に運ぶとソースのインパクトに負けない滋味の我みたいなものを感じました。

俺が!!アワビの!!!!うまみだ!!!!みたいな。

そして、最後に残った具材とスープをいただきます。

茶色で伝わりにくいですが、そりゃ坊主を飛び越えてくるというお味

サザエ、牛すじ、どんこしいたけ、スッポン、ホタテの貝柱などが入ってます。

このスープは塩でしか味付けしていないそうで、他は全て素材の味とのこと。

口に入れた途端、広がるのは特定の具材の味ではなくて、全てが一つに溶け合った奥深い滋味。

日頃ニンニクや糖質と脂質のインパクトで美味いと言ってる人間にとって、それらが無くてもこれだけの旨い料理があるんだ………と常識が覆るようなスープでした。

というか美味しすぎて、この後のこと考えなくて良いなら何杯でもおかわりしたかった。本当に。2杯しか飲めなかった(おかわりはした)

スッポンは初めて食べたのですが、サザエよりも柔らかくて、エリンギよりも繊維質ではなくて不思議な食感でした。

牛すじもドゥルンドゥルンのトロトロで美味しすぎるし、椎茸はスープ自体の旨みも吸ってこれより最高のものあるのかって感じでしたが、何よりも貝柱。

噛むと繊維が解けていくのですが、これが噛んでも噛んでも無限にホタテの旨みが出てきて、こっそり口の中に残したまま帰りたかった。
時々奥歯で噛んでこの美味しさににっこりしたい。

塀を飛び越えた坊主に感情移入していると、また次の戦いが始まります。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

熊の掌の特製煮込み

右手だったかもしれない✋

満漢全席といえば!熊の手!!!!!
高級中華といえば私でも聞いたことある珍品!!!!!!

下処理がものすごく大変らしく、毛を抜いたり臭みを抜いて味を入れるために何度も蒸す工程だけで5〜7日はかかるそう。

手間がとんでもなくかるので、権力者が自分の力を誇示するために代々食べられてきた食材のようです。
またコラーゲン部分が多いので漢方の効果を期待されていた点もあるそう。

事前に料理系YouTubeで熊の手を調理している動画を見ていたので、これが噂の……!と楽しみにしていた一品の一つです。

指の部分、肉球の部分、手のひらにかけての部分でそれぞれ食感が違うので、縦に切り分けられた状態でいただきました。

臭みは思ったより感じられず、同席者から同意は得られませんでしたが個人的に焼いたレバーに近い野生み?があると思いました。
肉の部分はとても柔らかくて、超柔らかい牛みたいな感じ。でも弾力があるのでその点は鶏のもも肉のような感じもあり……
滅多に食べられない料理をどう伝えたら良いのか考えれば考えるほど、身近な食材での例えにしかならなくて難しい。

ちなみにブロッコリーの周りの丸いのは肉団子ではなく、うずらの卵を素揚げ?したものでした。これも美味しかった。

ちなみに皿の右側に並べられているのは下処理の過程で外された爪の殻です。希望者は持ち帰れました。

下処理の過程で外された爪の殻🐻

今回は円卓が2卓だったので、1卓に片手分。
合わせて両手の熊の手が提供されました。
ちなみにどちらの手が特に美味しいとからはないらしい。

大分満漢全席を堪能しているぞと、満足度は9割、お腹の容量も7割はきたところでまた次の戦いが始まります。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

和牛の黒胡椒炒め

おしゃれなバッテン

ここまでで一番親しみやすい料理かもしれません。

所謂黒胡椒炒めの味付けですが、使われているのは国産サーロイン。

ここまでで最も味の想像をつけることができました。

が、ここはやはり良いお肉。
柔らかくて脂がうまくて、なんていうかやっぱり越えてくる。

ここまでの料理の中では比較的パンチ強めの味でしたが、そろそろお腹が満腹に近くなってきたぞ?と焦っていたのも忘れてペロリでした。
量もちょうど良い。ご配慮いただいているのを感じました。

そしてバッテンにズラすと食材の盛り付け美味しそうに見えることを学習した。

そろそろ後半にも突入し、フードメニューも終わりが近づいてきます。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

赤ハタの蒸し料理

めちゃくちゃ立派なハタ

九州から来たハタ。
白身のお魚のふわっとした口当たりとあっさりした旨み。

すぐに口の中からいなくなるのでこれもすぐに完食しました。
好き嫌いの多い私ですが、そもそも煮たり蒸したりした魚が好き過ぎるのもあるかもしれません。

皮はプリプリで弾力があって、身の部分とは違う食感で美味しかったし、かかっているタレも本当に美味しくて、これがメインのコースなら白ごはんにかけて一緒に食べたい。

肉や貝とは違う美味しさが魚にもあって、この世の贅沢を全てさせてもらっている気分。

お頭はお腹に余裕のある人が頬肉などを削いでいただきました。
私は頭のてっぺんをすくっていただいたのですが、どの身も柔らかくて本当に美味しい。

口の中に意外とギザギザの歯があって、テーブルを回してみんなで触った。
後で調べたら魚の他に甲殻類も食べるみたいで、立派な歯が生えている理由に納得しました。

厳ついお顔をしている

そしていよいよフードメニューの最後を迎えます。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

地鶏のもち米詰めごはん

蓮の葉で包まれている

メニューを見た時に、丸鶏の中身を出してもち米を詰めたものを想像していたのですが、中華ちまきでした。

蓮の葉の香りがふんわりと漂って、落ち着くような和やかな気持ちになれる素敵な一皿。

どう見ても美味しい。

中国ではめでたい時に食べられるちまき。
満漢全席にも入ってくる一品だそうです。

中華ちまき大好きなので嬉しい!と結構お腹いっぱいなのも一瞬忘れて食べると、鶏よりも干しエビの風味が海風みたいにブワワワァァッと押し寄せてきて目を見開きました。

モチモチを噛み締めるたびに出てくる干しエビの香ばしさと旨み。
蓮の葉の香りも味わいも、かなり素朴な感じなのですが、文字通り少しずつ口に入れて噛み締めて「もったいない」って泣きながら完食してしまうような美味しさでした。

本当にめちゃくちゃ美味しくて、お土産とかに(ないけど)あるならめちゃくちゃ買っていきたい。マジでしょっちゅう食べたい。

名残惜しさはありつつも、ちょっとずつ、でも確実に口に運んで完食してしまいました。
美味しいものってなんでいなくなるの早いんだろう……寂しい…………

そしてこの後はデザートに入ります。
もちろんお茶とちょっとしたお菓子などで終わらないのが満漢全席。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

パパイヤの器入り燕の巣の甘味

メニュー名を見て全然想像がつかなかった一品。
疑問符が一番浮かんだ一品と言っても過言ではありません。

パパイヤの器って何………?と思っていたところ、パパイヤの器が来ました。

一人一個ずつパパイヤの器

一人一個ずつで結構ボリューミーな提供でした。

パパイヤ自体、人肌くらいの温かさで戸惑う一同。

私はパパイヤ自体を食べたことがそもそも記憶にない上に、更に知らない状態で来たので大混乱。

ギザギザに切り分けられた蓋になっている部分を取ると、中がくり抜かれており、甘いシロップと燕の巣がたくさん入ってました。

大量の海燕の巣

シロップは結構甘かったのですが、蓋や器自体のパパイヤを削って、浸けて食べると丁度良い感じでした。

燕の巣もフカヒレと同様に繊維をちょっとおまけで入れたくらいの量のスープくらいしか口にしたことがなかったのですが、こんなにたくさんいただけるとは。

ちなみに燕が唾液を出して作った海燕の巣が食されるようです。酸化をすると赤くなるらしく、赤ければ赤いほど高級なものとのことでした。

中華で燕の巣はよく聞くものの、どうしても身近で見かけるのは軒下に泥混じりに作られた巣なのでいまいちピンと来てなかったので、これで堂々と燕の巣を食べたことがあると言えます☺️

そして遂に最後の銅鑼が鳴らされます。

ドォォォォォォォォォォォォォォン(銅鑼の音)

甘味甜点心盛り合わせ

アーティスティックな一皿

真ん中の白鳥は、黒胡麻の餡と生クリームのタルト。
下のひよこは、黒餡の焼き菓子。
右上のうさぎは、水晶餅(エビ蒸し餃子の皮)でカスタードを包んだもの。
左上の木の枝に散らばっているのは蓮の実餡のパイとのこと。

白鳥が浮かんでいる緑は恐らく寒天で、皿を動かすたびに白鳥たちがプルプル震えるのが可愛かったです。

奥がぼやけてしまって申し訳ないです

本当になんで幹事やってるんだという感じなんですが、あんこ系基本苦手で、中華料理を食べる時に杏仁豆腐やマンゴープリン以外のデザートをほぼ食べないため、ちょっと気合い入れて臨みました。
とはいえ殆ど一口サイズなので、えいやの勢い付けくらいです。

ひよこは、目になる黒胡麻がちゃんと埋まっていて、外そうとしない限り落ちないくらいにしっかりしていました。大体こういうのってぽろっと片目がなくなっているイメージ。
口に入れた途端サクほろっとした感じであんことの食感の対比と控えめな甘さを楽しむ一品だと思います。

うさぎは、最初白ピクミンを連想したのですが、そんなわけないなと。
宇宙人みたいなのが〜という声が聞こえてきて確かにと笑ってしまいました。うさぎ作るの難しいんだろうなあ。
もちっとした皮に洋風のカスタードが一体になって、食感が好きでした。

白鳥は、ごまあんに対するこれまでの意識を変えてくれました。
ごまは好きですが、ごまあんには特に好きも嫌いもない、という状態だったのですが、確かにごまあんなのに何かすごく美味しい!
生クリームを使ってるとはいえこれ自体がすごく甘いわけではなく、全体のバランスなのか、洋菓子風に食べられたお陰なのかすごく好きでした。
あと白鳥の頭とタルト生地の焼き加減が本当に抜群。

この中で一番好きだったのは蓮の実餡のパイです。
蓮の実と聞いた時は「多分好きじゃないタイプのやつだ……」となったのですが、パイのザクホロ感?と餡が口の中で一体になったときのプレーンな美味しさと言ったら良いのか………
気を衒わないし、万人受けしそうというか、とにかく食感も味も誰の神経も逆撫でしない優しい美味しさで、もう4個くらい食べたかった。

持ち込みで烏龍茶を二種用意しており、二品目くらいからみんなで飲めるようにしていたのですが、これがもうとにかくお茶に合う。
最高のデザートでした。

美味しい料理と最高のサービスをありがとうございました🙇‍♀️

満漢全席以外でもお邪魔したい素敵なお店でした

最後に

ご参加いただいた皆様の勇気と覚悟と好奇心のお陰で、無事当日を迎えることができました。

当日も皆様のご協力に甘える部分もあり、配慮が至らないところも多々あったかと思いますが、温かくフォローいただき最後まで私自身も楽しませていただきました。

本当に関わっていただいた全員に感謝しております🙇‍♀️
誠にありがとうございました😭

また、残念ながらご参加希望をいただいたにも関わらず、ご一緒できなかった方々には大変心苦しかったのですが、こちらの都合で申し訳ございません。

正直募集時点から不安がいっぱいだったので、参加希望の表明をいただいて大変嬉しく思っておりました。
別の機会の募集などでまたご興味等惹かれることがありましたら、その時には是非よろしくお願いいたします。

このような素敵な宴を人生で経験することができ、本当に恵まれた幸せ者だなと。

最高の1日少しでもこのnoteでお裾分けできたらなと思っております。
本当にありがとうございました!