Tokyo 縁結び利用レポート

 掲題のサービスをご存知でしょうか。東京都が2024年9月20日から提供を開始した、官製マッチングサービスです。10月末から利用を開始し、一月で心を折られた私が、その経緯と理由をお伝えしようと思います。あくまで男性目線からの意見であることは、ご承知おきください。

 まず、利用開始までが長く、そして利用料が高いです。身分証明書の提出はさておき、独身証明書や収入を証明するものの提出が必要で、入手から提出、提出後の事務局側の確認完了までに一月程度時間を要しました。
 さらに2年間の利用料として11,000円が必要になります。Pairsは3ヶ月の利用で9,900円なので安く見えるかもしれませんが、出会える人数が全く違います。

 当サービスは自身からの交際申込(いわゆる「いいね」)が、月3人にしか送ることができません。さらに当サービスからの紹介も月4名が上限となっており、月に合計で7人にしかアプローチできません。しかも、マッチするのが7人という訳ではなく、相手が断ればそこでおしまいで、一ヶ月何も身動きが取れなくなってしまいます。
(参考に、Pairsは一日に最低でも10いいね送れるので、月に300人にはアプローチできます)

 また、交際が始まれば当サービスは利用を停止するわけで、先の見えないパートナー探しにおいて2年分の先払いというのは、その性質と支払い方法の間に大きなギャップが生じてしまっています。

 とはいえ、私は上記の内容をポジティブにも捉えられると思っていました。なぜなら、月の紹介人数が制限されているということは、競争相手が少なく、交際に至る可能性が高まるのではないかと思っていたからです。

 しかし、実際に利用してみて、その思惑は全くの間違いであったことに気付かされました。どういうことかというと、競争相手が少ないことはマッチングの可能性を上げるが、交際の可能性はあまり上げないということです。
平たく言うと、女性側は、当サービスでは月7人としか出会えないので、その7人からなんとか相手を選ぼう。とはならないのです。結局は女性のお眼鏡に適う相手でなければ、交際はできません。また、女性は当然に他のサービスも並行して利用しており、結局は大量の競争相手が当サービスの外側にいます。

 また、当サービスの機能に起因する精神的な辛さについて、実際に利用してみてわかった事があります。それはNoを突きつけられる辛さです。当サービスは3回、相手との交際を進めるかどうか意思決定するタイミングがあります。具体的には、1.紹介を受けた後マッチングするか、2.マッチングした後初回面談を行なって、マッチングを継続するか、3.最後に複数回の面談を経て、真剣交際を行うかの3回です。
これは特徴的な機能だと思います。一般のマッチングサービスでは、初回のマッチングのみお互いのいいねで成立し、その後真剣交際を行うかどうかはサービスの外側で、相互間で決められるもので、言い換えればサービス内の意思決定のタイミングが1度しかありません。
他のサービスであれば、どちらかが交際の可能性を閉じた段階で、閉じた側は連絡を取らなくなるし、閉じられた側は連絡が取れなくなった時点で察します。しかし、当サービスは明確にNoと言われるし、明確にNoと言わないといけないのです。
 さらに、月7人という制限の中で、少ない可能性からNoと言われることは、自身の価値を大きく貶められたように感じてしまいます。大量にばら撒いたいいねがスルーされることは納得できても、少数の心を込めたいいねをスルーどころか、明確にNoと言われてしまうことには、傷付かずにはいられないのです。

 不誠実に聞こえるかもしれませんが、最終的に生涯大切にしたい一人を見つける、という目的は大前提として、少なくとも男性側にとって、交際に至るまでの基本戦略はとにかく手数を増やすことだと改めて思いました。その意味で、当サービスの提供する出会いは、その基本戦略から大きく乖離してしまっています。

 女性側も有料であり、真剣に交際したい女性が集まっている可能性が高いこと、独身であることや、記載された収入の正確性が担保されているなど、メリットもあります。ただし、当サービスを利用する際は、必ず他のサービスも並行して利用した方がいいと思います。でないと心が持ちません。

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