2024年6月・2024年7月インプットまとめ
展示『デ・キリコ展』
生き生きしてなさそうな絵を描いてて好きそうと思って見に行った。閉塞感のある絵を描く人だなあという印象だった。古典的な絵も展示されていたが、あまり興味を引かれなかった。
舞台美術をやっていたのは納得だった。遠近感の狂った絵というのは舞台の背景としてはぴったりなので。
個人の画家をテーマにするのに、時系列に絵を並べないんだと不思議に思った展示でもあった。
映画『メッセージ』
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【あらすじ】
突如、地球の様々な12の地域に宇宙船がやってきた。宇宙船には7本足の生命体(ヘプタポッド)がいる。彼らが地球に来た目的を探るため、米軍は言語学者ルイーズと物理学者イアンを招集する。彼らとの意思疎通は遅々としており、次第に世界は強硬路線に方向を転じる。
そんな中、ルイーズは独断行動で彼らが「武器」と呼ぶ予知能力を手に入れる。ルイーズは未来でヘプタポッド語の解読に成功しているため、現在でもその著書を覗けばヘプタポッド語の解読ができるようになった。
彼らは、3000年後の未来に、人類の助けが必要になるため『武器』を地球に与えに来たと語る。
同様に、未来のパーティで中国の代表者の電話番号を見せてもらい、その映像を現在から覗くことでコンタクトに成功し、再び世界は協調路線へと舵を切る。
最後に宇宙船は去り、ルイーズはイアンと付き合う。だが、ルイーズには彼と結婚する未来も、娘が病死する未来も、彼と離婚する未来も見えている。
【感想】
面白かった。
冒頭からずっと娘の回想シーンが挟まれるので、亡くなったんだろうなと思っていたら、これから亡くなる予定だというのだからびっくりした。
確かに、冒頭から短い回想シーンを挟まれるので、彼女にも娘にも特に思い入れもないし、感動することもないんだよなあと思っていた。
映画『ヒトラーのための虐殺会議』
【あらすじ】
ラインハルト・ハイドリヒ、ナチス親衛隊、各事務次官が話し合い、ユダヤ人を「最終的解決」する方法を決定する。
【感想】
実際のヴァンゼー会議の議事録を元にしているらしく、極端な誇張はなく静かな会議そのもの。寝落ちしたくらいには、淡々とした、よくある会議だった。それぞれが自分の組織の益になることを主張するが、「最終的解決」をしたいという共通目的があるという、非常に良い会議だった。議題が非道理的なことを除けば。
とはいえ、議題に沿って会議で発言することはできても、議題そのものの是非を問うことは会議という場では難しいのではないかとも思う。ヴァンゼー会議は分岐点ではなく、もっと前にその分岐点があったに違いない。
とはいえ、常に自分が正しくないのでは、と内省することは現実的には不可能だ。
映画『SHERLOCK 忌まわしき花嫁』
【あらすじ・感想】
SHERLOCKは、ベネディクト・カンバーバッチ主演の、現代イギリス舞台にしたドラマシリーズ。
今回は、ホームズが薬をやりすぎて19世紀に思考だけタイムスリップしている。時々、現代に帰ってきてはワトソンに「大丈夫か!しっかりしろ」的なことを言われているが、視聴者も追いつけていなくて全然大丈夫ではない。
現代では、モリアーティ教授が死んだか死んだことになっていると思う。ドラマシリーズもちゃんと見たのだが忘れてしまった。
そして19世紀では、死者の花嫁が蘇って夫を殺す事件が発生している。19世紀でもやはりホームズはホームズとして存在しているので、当然モリアーティが黒幕である。事件を解決する段になって、現代に引き戻され19世紀の事件は有耶無耶になる。そもそも事件自体がホームズの脳内の話なので、問題ないとも言えるが。
とにかく構成がややこしくて、何をやりたいかが分からない話だった。
『オレンジの種五つ』がモチーフになってる箇所があって、そういうのを見つけるのは楽しい。
小説『化鳥』
【あらすじ】
私は母からの教えで、人間とは獣だと思っている。
ある日川に落ちたところを助けられ、助けてくれた人が誰かを母に尋ねると「美しい鳥」と答えが返ってくる。その日から私は美しい鳥を探すが見つからない。
夜に森で探していると、自分が鳥のように思えて恐怖を感じる。しかし、息子を心配して探しに来た母に抱きとめられ安心する。そして、母が美しい鳥であったことに気づいた。
【感想】
だめかも知れない、全然話が分からない。泉鏡花、文体はふわふわしているのに、あるいはしているからこそ、難解。
なんというか、怖い話だなと思った。主人公も一番怖い夜だったと語っているし、伝えたい印象として大きく外しているわけではなさそうに思う。
タイトルの「化鳥」から、美しい鳥は比喩ではなく、鳥が人間に化けていると考えてみる。
私が恐怖に支配されて鳥になりかけ、母に抱きしめられ安心することで鳥にならなかったことから、恐怖に支配されきってしまうと鳥になってしまう可能性はある。母も昔は高い身分だったが、夫の死とともに没落している。完全に負の感情に支配されると鳥になってしまうのだろうか。そう考えると「美しい鳥」と母が言ったのは、鳥になった者が人間の心を忘れずにいるからで、鳥にならない者は「美しくない獣」なのかもしれないと思った。