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SILENT ANGER SEASON 1 全曲解説

初めまして、2002年生まれ、兵庫県川西市出身、ラッパー/ビートメーカーのSiX FXXT UNDXR(シックスフィートアンダー)と申します。

今回は私が6/12にリリースした1st Album 「SILENT ANGER SEASON 1」の全曲解説記事です。
元々やろうかなと思ったり渋ったりの繰り返しで書けていなかったのですが、アーティストの書く読み物とかインタビュー記事ばっかり最近読んでいることに気づいたので自分もやってみようと決意。

さて、私が主にやっているジャンルは「PHONK」と呼ばれる90年代のメンフィスラップに影響を受けたヒップホップのサブジャンルになります。最近はEDMやハウスぽいものが有名でPHONKという名前を聞くとそちらが先に思い浮かぶ方が多い方とは思いますが、正直私はそちらはあまり好みではないです😂
と言いつつ、良い物は良いので聴かず嫌いせずちょくちょくDigってはいます。

前置きはさておき以下解説↓


TRACK1. 「SERIOUS」

ビートのサンプリング元はアメリカ、クリーブランド出身の超OG、Bone Thugs-N-Harmonyの「Strength & Loyalty」から「Gun Blast」

さらにメンフィスの伝説、Three 6 Mafiaの「Mysitic Stylez」から「Back Against Da Wall」


のさらにサンプリング元、

Lafayette Afro-Rock Bandのベスト盤から「Darkest Light」を使用
かなり有名なネタというかよく聞くサックスなので大ネタ使い感は否めないけどかっこいい物はかっこいいし日本人で使ってる人聞いた事ないから(いたらすみません)やってみようという事でサンプリング。ドラムスのミックスがかなり上手い事いったのもあってビート完成した時のアドレナリンは過去一やばかった。
歌詞の内容とかはこの曲に限らず全編通して割と内省的であったりとか啓蒙ぽいことばっかりラップしています。その点1番啓蒙ぽいのがこれかも。実はこの曲もアドリブでFreePalestineって言ってたり細かいギミックもあり。


TRACK2. 「BLACK GOAT SPIT」

ライブでのアンセム的なアレです。初めてメンフィスを意識しながら作った曲なのでこの曲をレコーディングした時はまだビートメイクもできず、慎重に選んだビートをBeatstarで買ってました。Devilish Trioのタイプビートとかだった気がする。この辺のDevilshytはBandcampにかっこいいのがゴロゴロあるのでぜひ同世代のリスナー/プレイヤーの皆さんにはDigってみてほしいです。リリックは過去の事をそのまま書きました。音楽初めてから友達はめっちゃ増えたけど結局長い事一緒に音楽できる人間ってすごく少ないんだよな。


TRACK3. 「I AGAINST I」

アルバムで1番最後にできた曲です。フィーチャリングには西東京を拠点に活動するラッパーのOROCHI君に入ってもらいました。マジクソかっこいい。彼とは私の恩師であるEMPTYBOY君経由で知り合い、データのやり取りをして制作を進めました。
ビートはカウベルフォンクを一曲ぐらいやった方が敷居が広いかなという思いと、一筋縄じゃ行かないものにしようという事でカウベルに思いっきりディストーションをかけてギターみたいにしたら結構かっこよかったので採用。コードはsukekiyoというバンドの「斑人間」という曲のリフを参考に耳コピ裏サンプリングしました。絶対ばれないっしょ。
リリックはタイトル通り自分と戦って勝て!ということです。敵は己の内にありっちゅー事や!


TRACK4. 「DON'T YOU THINK SO?」

1番ドープ系の曲かも。実はちゃんと一番最初に完成させたビートがこれで、ストリングス使いたいと思ってテキトーに打ち込んでたらこうなりました。ベースもバカでかくした。
フィーチャリングには大阪/奈良を拠点に活動する同い年のラッパーの$eaBoseに入ってもらいました。同世代で一番ラップ上手いと思う。自分のSwag持ってる系ですね。この前久々にライブ見たけどやっぱりかっこいい、ILLなヤツです。
歌詞は商業主義思想のDisです。全然別に良いとは思うねんけどね。自分に嘘ついてまで売れ線行くのはちゃうんちゃう?


TRACK5. 「SWERVIN'」

耽美系エレピのビートはドイツのビートメーカー、Smoosher, 昔彼のタイプビートを使ってSoundCloudに曲を上げたりしていたんですが、ある日DMですごいラップを気に入ってくれたらしく「ビート言ってくれたらなんでも作ってやるよ!」と言ってもらえた😭ので連絡して作ってもらいました。
歌詞はかなり内省的な内容。結構精神的に不安定な時期に作ったのでネガティヴな単語が多いですね。フロウはすごい裏拍意識でメンフィスって感じを目指しました。


TRACK6. 「PAIN」

ビートのイントロの荘厳なアンビエンスはアメリカのプログレメタルバンド、Peripheryの「Periphery III: Select Difficulty」から「Marigold」のアウトロを逆再生して使用

そしてメインの上ネタはUbisoftのFarCry6というゲームのからサンプリング

正直一番このアルバムで好きなビートですね。サンプリングからエモを抽出し切った感やべい。アンビエンスの雨音とかも入れて大正解だったと思います。
ラップはパンチなし頭から最後まで一発録りなので10テイクぐらいした記憶があります、辛かった。歌詞も決意とかそういう話してます。


TRACK7. 「BLOODTHIRSTY」

一番メタリックな曲。元々私はヒップホップより長くメタルを聴いてきた人間なのでルーツが一番詰まってる曲だと思います。フィーチャリングには西東京を拠点に活動するラッパー、ODDSIX君に入ってもらいました。地声がグロウルボイスみたいでめちゃくちゃカッコいいんだよな。歌詞のデビリッシュな世界観も好き。
ビートは兵庫の先輩ラッパー/ビートメーカーの、JoanMeltt君に作ってもらいました。メタルコアバンド出身という事でギター打ってもらい、まさかのDIR EN GREYの「残」サンプリングに爆沸きしました。(Xで気づいてくれる人いて嬉しかった) 俺はシングル派やし新ver.派。

実はこのフック録ったのも2、3年程前で、ビートも別でやってたんですがビートメーカーがロシア人で送金規制などのしがらみから購入を断念しましたのでリメイク決意って感じです。シャウトラップばっかやってたので当時は英詞めっちゃ書いてました。


TRACK8. 「T.S.D.」

先行シングル曲。ビートは東京を拠点に活動するビートメーカーのAYAKASHI MANEさん。この機械っぽさ、無機質さとヴィンテージっぽいカウベルが綺麗に同居してるのすごすぎる。スクラッチ音とかも渋すぎる。
フィーチャリングには兵庫のガチBro, HighSeに入ってもらいました。4年以上の一番付き合い長い仲間。お互い違う名前の時から活動してきてMiddle Indexというクルーを2人で結成したのもかなり懐かしい。とりあえずフックやってくれ!って投げたらぶちかましてくれた。TSDはそもそもたっくるさりんどーという沖縄の過激な方言の略で「末代まで叩き殺す」みたいな意味らしいです。別に沖縄にルーツとかないのにこういう引用をしてくるのが彼の良さですね。私も彼に合わせる形でグルーヴ重視でラップしました。当然今後もコラボリリースしまくりやので絶対チェックしてくれ👍


TRACK9. 「PURGATORIO」

ビートのサンプリング元は、DIR EN GREYの「UROBOROS」より「RED SOIL」のイントロリフ。

この発想はなかっただろ!って作った時思った。
フィーチャリングには恩師EMPTYBOY君に入ってもらいました。
元々別の曲で一緒にやってもらっていたバースを切り取ってBPMを上げる形でリユースしました。
私は元々彼のファンで、一方的にずっと曲を聴いてただけだったのが彼も私の曲を気に入ってくれたみたいですぐ仲良くなり、アルバムには絶対入って欲しい!という話をしてた矢先に彼が急逝。
彼の意思や想いはかならず引き継いでいきたいと決意するのに少し時間がかかったが、きっとどこかから見守ってくれていると思う。
最後のブレイクダウンはスクリュードも兼ねてかなり新しい切り口だと思う。ぶっといグロウルかっこよすぎる。
歌詞はスキルフルにフロウすることを前提にライミングと文脈が通ったbarsが降ってきたのでバーーーっと書いた。これはエンプ君も喰らってくれてるっしょ。


TRACK10. 「DEMON WALK」

ビートは70年代のシンガー、石川セリの「FEMME FATALE」より「永遠の誓い」のイントロをサンプリング。歌謡曲サンプリングは神曲確定演出。

フィーチャリングには西東京を拠点に活動するラッパー、ガチPosseの042ghxstに入ってもらいました。名義変わってからは彼の作品のミックス・マスタリングエンジニアリングもしてます。彼のラップは誰が聴いてもかっこいいよね。東京で何度か共演したけどマジで音楽やるために生まれてきたんだなーって思う。頼りになる兄貴です。色々今後もコラボ作品出すので要チェック👍
ラップはスキルフル前提にライブ想定のバイブス曲という感じ。また商業主義Disってます。


TRACK11. 「TRYNA BE OG」

唯一のメロディあり曲。OGになりたい思いで書いた歌詞は言わずもがな地元川西出身の尊敬するOGのネームドロップもしてます。(非常に悲しいことにラッパーはいない)
ビートは昔買ってたストックのタイプビート。このヴィンテージ感やばすぎるやろ。
オートチューンあんまり好きじゃないんですがこの時期は近年のトラップ曲をよく聴いていたので一曲ぐらいこういうのがあってもいいでしょ!という感じで作りました。


TRACK12. 「REQUIEM」

RIP EMPTYBOY
ビートは同じクルーのMiddle IndexのOGDOAD (FKA IC4 ish)から。そもそも彼と繋がったのもEMPTYBOY君がきっかけだったし、みんなで鎮魂歌を作ろうという話はしてたのでこのビートがピッタリはまった。歌詞はとりあえず読んでくださいという感じです。


TRACK13. FANG OF THE HERMIT

この曲が一番作るのに時間かかったかも。こりに凝った結果出口見えなくなっちゃったから今聴いたらMixとかおざなりだけどローはめちゃくちゃ出てる。
上ネタはPlagueTale Innocenceというサバイバルホラーゲームのメインテーマをサンプリング

サブメロディは音叉のサンプラーを使いました。多分誰も使わないっしょ。
歌詞は一番思いがこもってるし、自分でもだいぶspitしたと思います。あんま人気ないっぽいけどこの曲がアルバムで一番やばいだろ!と思ってる。Ima隠者 num sayin


以上、全曲解説
今後もノリでこういう記事書くかもしれないのでチェックしてくれたらモチベーションになります。8月に出したYUNG RIZLAさんとのコラボEPも是非聴いてみてください!

今年はあと一枚アルバム出そうと思ってるので、引き続きよろしくお願い致します。

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