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2023秋アニメ最終感想 ラブコメの季節過ぎたら


別にどこも行きませんが。

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時は大ラブコメ時代。
インフレしていくヒロインの設定、負けヒロインの扱いにごたつく終盤、そもそも主人公への好感度のほうが大事、いろいろな障壁をあの手この手で躱そうとした結果、世界はさっさとカップルをくっつけてその後のイチャイチャを見せるだけか、恋愛は置いてけぼりにしてギャグに全振りするかのどちらかに二分された!!!!

雑語りはそこそこにして、2023年も終わり(嘘だろ?)、アニメも終わる。
ということで2023秋アニメ感想です。

今季見たラインナップはこちら。

『アークナイツ 冬隠帰路』
『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』
『カノジョも彼女 Season 2』
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』
『葬送のフリーレン』
『でこぼこ魔女の親子事情』
『範馬刃牙 2期』
『星屑テレパス』
『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』

〜感想のルール〜

  • 評価に応じた順位付けをする。

  • 視聴中のモチベーションの多寡を、タイトル横に補足する。

  • 評価の順位とモチベの高低は必ずしも一致しない。上位であっても視聴モチベが低いここともある。逆も然り。

  • 上記3項に則り下位作品ほど感想が多かったり、上位作品がさらっと済まされることもある。

※評価の基準
基本、映像重視で評価。作画より演出や画面設計が面白いかどうか。
ストーリーに関しては、シナリオの巧さよりキャラクターの動機に沿ったドラマが展開できているかどうかを重視。

〜モチベーションの内実〜

  • 特盛 (本編を繰り返し集中して見た)

  • 大盛 (1回は集中して見た)

  • 並盛 (内容を覚える程度には見た)

  • 小盛 (だらっと流し見した)

  • 虚無盛 (ほぼ見てない)

今季はわりと評価とモチベが一致した感はあります。
7、8、9位はほぼ同率と言っても良いくらいです。
今回かなりボロクソ言ってるので、該当作品が好きな人は注意。



9位『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』モチベ:小盛


そういやこの前の中途感想に書くの忘れてた。

演出を悉く外していくのすごい。
アニメーションもまぁまぁ動いてるはずなのに、構図とかカメラワークで全部台無しになる。
極め付けは劇伴で、いまはそれ流す感じちゃうやろってBGM、変なタイミングで鳴るSE、もう意図がよく分からない

2クール目のOP、スカパラの無駄遣いすぎる。
サビでボーカルとホーンセクションが邪魔し合ってて、どっちもうるさく感じるのが本当に残念。

極め付けがED。
曲自体はいいけど、絶対に最終話の本編ラストに被せて入っていい曲じゃない。
剣心と薫の惜別のシーンにあんなご機嫌なミュージック流すのおかしいって。



8位『星屑テレパス』モチベ:虚無盛


今季の微妙にノリが古いやつ。

きらら版ユーフォニアムみたいなことをしようとして中途半端に終わったという印象。最後の方とかほぼ見てないのでめちゃくちゃ当てずっぽうな感想になるが、そもそもそれは、それほど画面に集中させなかった作品に非がある、という態度でいかせてもらう (俺はめちゃくちゃお客様根性でアニメを見ているぜ!映画はもっとだ!!)。

繊細なお話をしたい割には、従来のきらら的な、キャラの設定と心情をセリフ (モノローグでも会話でも)で全部言わせる作劇が、コンセプトと噛み合っていない。

宇宙人設定いるか?主人公をウジウジさせすぎでは?あれはギスらせるためだけに投入したキャラでは?外との関わりで生じる成長物語にしたいのか?単に本人が納得すればそれでいい的な自己解決型にしたいのか?時代は庵野シンジではなく、貞本シンジ、いやもっと言えばRE-TAKEシンジでは?うんぬんかんぬん…。

川島緑輝がガチャを回す前に手を合わせて祈る癖があるのを、久美子と葉月が会話してる横目に描写するといったような、日常のしぐさをさりげなく演出することで、キャラクターのパーソナリティを視聴者の中で想像させてほしい。全然キャラクターに関心がわかない。感情移入とか共感以前の問題。なのにキャラクターに感情移入しないとドラマを理解できないような展開をするから余計に置いてけぼりをくらう。

決して感情移入できない「から」ダメということを言いたいわけではない (そういう感想は封じている)。キャラクターの一挙手一投足に「こいつは何を考えているのだろう、次は何をしでかすのだろう」という関心を持たせてほしい。そしてそれを担うのは脚本よりも演出だと思う。

アニメに何を求めているか諸要素で異なるが、ことキャラクターに対しては、そういったしぐさが見せるちょっとした驚きを求めている。その積み重ねがキャラクターに奥行きを持たせるし、結果的にストーリーの面白さにも貢献するはずだ。

まぁ、根っこのところできらら的なものと相性悪いのが露呈しただけかもしれない。登場人物全員がどうでもいい感じに終わった。



7位『アークナイツ 冬隠帰路』モチベ:並盛


これもだいたい『星屑テレパス』と似たような感想。

作劇が一辺倒すぎる。
シビアな設定が走っているのはわかるが、どいつこいつも同じような表情、リアクションばかりで見分けがつかない。辛気臭いやつA、B、C…みたいな感じで、演技にバリエーションがない。

これ映画の尺でまとまった一本のパッケージで出したほうが良かったんじゃね?
キャラクター・ストーリー・世界観の3要素(by押井守)を適用するなら、これって世界観を押していきたかったんじゃないの?って思っちゃうぜ。
すごくでかい状況があって、背景に複雑に混み合った文脈があってっていうのは、テレビシリーズ1クールでのパッケージングには合わないと思う。TVアニメって良くも悪くもキャラクターとストーリーだけになりがちというか、ならざるを得ないところあるじゃないですか。    

たかだか20分ちょいの尺に詰め込める物には限界があって、そもそもパッケージ全体の流れを1話ごとにぶつ切りにするんだから、次の話数に興味を持たせる構成にしなきゃいけない。世界観に浸らせるにはまとまった尺がやっぱ必要で、それがなかなか難しい。

対して映画はそれ単体が一つのまとまりだから、2時間あったら2時間の中で起承転結を完結させられるうえに、見てる側を映画内の固有の時間に釘付けにできる(劇場で見た場合は身体的に強制される)。

でもこのアニメシリーズだと、どうしてもキャラクターの方にばかりフォーカスが当たって、本来とてつもなく大きな状況に対峙しているはずなのにその背景がいまいち伝わってこない。

これが映画だったら発展した都市と荒廃したスラムの対比なんかはロングショットでじっくり舐めるように撮るだけでも、「ああこういう世界なんだな」と一発で悟らせることができる (エスタブリッシングショットっていうらしい)。リドスコとか、最近だったらヴィルヌーヴとかが長大SF映画でやりそうなやつ(メガストラクチャーをめっちゃなっげー時間撮るやつ)。それをアニメ1話の尺でやられるとダレるけど、映画なら話は別でしょう。

押井曰く「世界観を見せることができるのは映画の特権」だそうだ。
これ俺はスクリーンの「大きさ」と劇場という拘束空間があってこそ成り立つものだと理解してるんだけど、これ劇場版でいっちょやったらいいんじゃないですか?

だってアス比をわざわざシネスコにしてたし、明らかに映画っぽい画作り意識してたじゃん。まさに築き上げたソシャゲの資本力の見せ所ですよ。少なくとも俺は見に行きますよ。映像だけはほんとすごいんで、映画のパッケージサイズでやったら絶対すごいことになる。ともかく作劇をどうにかしてくんろ。

最後に、ドクターって呼ばれてる人は結局なにがやりたいんですか?というよりこのキャラで何をやらせたいんだって感じか。多分ゲームだとプレイヤーのアバター的キャラだから、独立した人格としてドラマに参加させるのが大変なんだろうな。

ソシャゲのアニメ化で控えてるのって、あとブルアカくらいかな?
多分これも似たような感じになるんだろうなと思ってます。ゲームはやったことないんで分からないんだけど、世間の反応を見るにめちゃくちゃキャラクター依存型のコンテンツっぽいので  (推し文化と相性の良い)、とりあえずいっぱいキャラクター出してまとまんなくなって終わるんじゃないか。

まぁ良かろうと悪かろうとソシャゲはすぐ飽きるのでやりませんが。



6位『範馬刃牙 2期』モチベ:並盛


正直、これを最下位にしても良かったんだけど、でも下位3つよりは飽きずに見れたので…。どうせ親子喧嘩も似たように止め画バーン!!!の連続でしょうね。格闘技アニメとは…。



5位『カノジョも彼女』モチベ:並盛


2股する方のラブコメ。

4人目のヒロインからめたエピソード要ります?

いちおう2股はいいけど (よかねぇよ)、3股はさすがに… (だから2股でアウトだよ) っていう自己ツッコミを含めた倫理観綱渡りをするギャグだったと思うんですけど、4人目ともなるともういいじゃん3股だろうが4股だろうが、はよハーレム築けって感じです。

だってもう100股しちゃう (予定) のが罷り通ってるんですよ?いやあっちと比較するのはちょっと違うかもしらんけど、でもヒロイン増設は3人目までにとどめたほうが作劇に緊張感出たと思うんですよね。

2股の時点でヒロイン同士が和解したとみせかけて、実は抜け駆けの可能性もあるよと示唆したところに、まさかの二股そのものを破壊して彼氏を奪い取ろうとする第3勢力現る!!っていうので充分ドライブできるのに、4人目に関しては2人目の子が諦めた(と見せかけて実は諦めてない)パターンでしかないじゃないですか。

そこで発生する葛藤なりのドラマってもう2人目のエピソードで完遂してますよね?案の定2人目の子がまぁまぁ空気になってます。

再放送を本編中に見せられてるようなもんで、4人目に絡めたエピソードは引き伸ばしのためにやってる感がすごいです。とりあえず4人目が吹っ切れて以降の展開でどこまでぶちかませるかに期待します。



4位『でこぼこ魔女の親子事情』モチベ:並盛


今季のめちゃくちゃノリが古いやつ。

真っ当に面白くてびっくりした。

個々のエピソードの筋書きもきっちりしていて、作劇に貢献しない余計なキャラクターもいなくて、ちゃんとオチもついてて(しかも子育てとか家族の在り方についての教訓もある)、これめちゃくちゃ堅実に作ったんだなって思った。

でもやっぱりギャグのノリは古いから、正直滑ってるとこもちょいちょいある。

でも全然今季のなかでは図抜けてまとまりがあるので、本当にこれくらいまとまった作劇とあとはDIYのレイアウト、アニメーションが合体したようなアニメを見たい(DIY見ろよって感じ)。

アニメーションは他のビッグタイトルに比べれば、そりゃあ高級感には劣るけど、省エネの効いた適度にコミカルな芝居は見ていて飽きない。画面への集中力を途切らさずに見ることができた。



3位『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』
モチベ:並盛


俺は結構好き。

ちょっと中盤からダレたけど、2期の挫折からの復活劇に対して、ピークを過ぎた者が有終の美を飾るってなかなか渋い話をするじゃない?

まぁでもこれ以上続けても似たような展開を繰り返すだけで終わりそうなんで、ここらで打ち止めでいいのでは?と思ったら劇場版が出るらしい。これは別に見に行きません。



2位『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』
モチベ:大盛


100股する方のラブコメ。

かーっ!!やっぱ美少女!!ハーレム!!ドタバタギャグは最高だねぇ!!!!

もう最近は婉曲的な読解を要求されるような、示唆や隠喩まみれのインテリアニメみたいなのより、こういうおら!!!ソース!!マヨネーズ!!ラー油!!みたいな、シンプルに味の濃いやつのほうが良い(インテリアニメに期待して損することが多過ぎた)。

テンポ良し!画も良し!演出もギャグ大盛り!キャラクターも可愛い!サービスシーンも盛り盛り!文句ありません!!

羽々里 (諸悪の根源) が出てきてからが本番みたいなところあるので (俺は育が出てきてからがギアひとつ上げたなと思ってる。羽々里は一個越えなきゃいけない山ってイメージ)、1期はまぁここで落とすのが安牌ですよねって感じ。

でも馬鹿話やってるように見せてこの『100カノ』は、ヒロインがバンバン増えていくのを逆手にとって、10人くらいを超えたあたりから彼女同士の互助的関係を軸にしたエピソードを色んな彼女の組み合わせで出しまくり、なんかハーレムものとは違う味がし始めるのがすごい。それでいて恋太郎もしっかり彼女達の中心軸にいるのもすごい。

『100カノ』ってミツバチ社会のオルタナティブだなと思うことがあって、複数の女王蜂が一匹のめちゃくちゃ頑丈で滅私奉公なオスをシェアしてるってイメージ (実際のミツバチのオスは種付け以外存在意義のないヒモだから、彼女達に常に全力奉仕する恋太郎はオス蜂オルタナティブ)。

かといって恋太郎は彼女達のためならなんでもやるスパダリで終わるかというと (実際スパダリなのはそう)、彼女達の成長や自己変革に対してはあえて強く介入せずに放任するし、恋太郎がカバーしきれないところは、彼女達の中の年長者がサポートしたりもするので、あのハーレムはまさしく恋太郎ファミリー、いや、恋太郎コミューンと言った方が適切な気がする。

まぁそれがアニメで発揮されるのは2期以降なので、1期はちょっと変形のメタハーレムラブコメって感じで終わったと思う (誇張しまくったベタはメタの領域に入る)。

小難しいことはこの辺で終わりにして、とにもかくにもみなさん、院田唐音、院田唐音なのであります。

原作ではそろそろ彼女が30人くらいにはなろうかという頃合いですが、やはり最初の彼女という下駄を抜きにしても院田唐音のポテンシャルがずば抜けていることは明らかであり、今回のアニメ化に際しましても、並々ならぬその片鱗を目の当たりしたことで、やはりこの院田唐音にしか、群雄割拠のラブコメ戦国時代を乗り越えることはできないと、確信を新たにしたのであります。

こねくり回されたヒロイン設定が渦巻く現代に質実剛健と貫かれる「ツンデレ」は、古の暴力ヒロインの意匠を威風堂々と纏い、逆張りとメタ認知のカオスに元気ハツラツの一発をお見舞いしてくれることは間違いありません。

どうか皆さん院田唐音を、友のためならその親であっても、そし友本人に対してさえも真っ向からぶつかることのできる、気高く凛々しい、なにより一途な彼女に、熱き一票をお願いいたします。



1位『葬送のフリーレン』モチベ:大盛


そりゃ1位になるよね。

アニメの見方がだんだん変わってきて、以前はストーリーの描かれ方、結末に納得できるかどうか?みたいなところに重きを置いていたんだけど、最近は

まず映像として見ていて飽きないか (作画よりは画面全体の演出と設計、色彩が好みかどうか)

が先に来て、次に

キャラクターの演技と作劇に不自然さはないか(このキャラはこんな行動をするのか、意図が成立しているのか的な部分)

そして最後に

これってこんなお話だったよね(振り返りまとめ)

チャンチャン♪ってなったらOKみたいな基準でアニメを見るようになってきた。

意識的にそうした部分もあるし、そうでもしないとアニメを見続けられなくなってきたのもある。物語への根本的な関心が薄れてきている。

フリーレンは絵も好みだし、キャラクターも世界観に沿って動くし、1話完結でまとまりのあるエピソードを出してくれるしで、ドンピシャよね。

でも2クール目からは長編バトルものが始まるので(原作のマジでだるいとこ)、テンポよくやってくれないと評価落としそう。

舞踏会のシーン、めっちゃ『タイタニック』。
シュタルクくん若プリオになってるやん。


ショタルク (魔法でショタ化orガチショタ時代) の同人誌、待ってるぜ!

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