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【小説】フラッシュバックデイズ 3話
この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。
3話 玉とファットボーイスリム
ダイサクからメールが入った。
「玉入ったからバイト終わりに持っていくわ」
心の中でガッツボーズをした。
「本当はクラブで使うのが一番だけど、たぶん我慢できないと思うから」
とファットボーイスリムのCDと玉数錠を置いて「なんかあったら電話して」と告げ、ダイサクは用事があるとのことですぐに帰っていった。
週末のクラブまで我慢できるわけがなかった。
ダイサクのメールが来た瞬間から準備を整えていた。
空腹が良いということであえて夕食を抜いて、大量の水を買っておいた。
何色かは失念したが、毒々しいカラフルな錠剤に刻印があった。
期待とともに水と一気に流し込む。
苦みは感じたが錠剤なので飲みやすかった。
効き始めるまでBURSTやドラッグ関連の本で予習をした。
多幸感。幸せを感じる?ラブ&ピース?
イマイチピンと来なかった。
一時間程すると急に胸が熱くなってきた。
「来た」
効いてきたのがすぐに分かった。
心臓の鼓動が早いのを感じる。
落ち着こうと呼吸を深くする。
ため息に近い深い息を吐くと顔がニヤけてくる。
笑いたくないのに笑顔になる。
胸が熱い。胸がいっぱいだ。
はぁーーーーぁーー、幸せだ。
正に多幸感。こういうことね。
呼吸をするだけで満たされた気持ちになる。
体全体が幸せの膜で包まれている。
触覚が敏感になっている。
タバコがうまい。
幸せをかみしめるかのように、歯ぎしりをした。
とにかく幸せだ。生きててよかった。
ダイサクに感謝を伝えようと電話した。
「どう?」
「ダイサクありがとう。お前おかげで俺は今幸せだ。最高だ。本当にありがとう」
ダイサクは爆笑していた。
「それは良かった。CD聞いてみ。それじゃあ楽しんで」
そうだ、ファットボーイスリムのCDを聞くのを忘れていた。
じっとしているだけでも十分気持ちよかったのだが、
なんとかCDをコンポに入れる。
ファットボーイスリムは天才だった。
おれの今の気持ちをすべて把握していた。
身体がうずく。踊りたくなった。というか踊らずにはいられなかった。
俺はクラブに行ったことがなかった。
踊る事の何が楽しいのかも良くわからなかったが今ならわかる。
思うがままに家で踊った。
気が付けばあっという間に数時間が過ぎていた。
抜けが悪いと知っていたし、ダイサクからも聞かされていた。
しかし、あまり気にならなかった。というよりも、
とにかく玉の衝撃に感動して余韻にふけっていた。
玉の威力は想像をはるかに超えていた。
こんなものが世の中に存在するのか!
これを経験せずに人生終わるなんてクソみたいな人生だ。
ある種の優越感を感じた。
週末。
俺はダイサクと大阪のクラブへと向かう電車にのっていた。
つづく
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