【小説】フラッシュバックデイズ 33話
この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。
33話 伝説の夜 前編
ユウヤから話を聞いた時は信じられなかったが、1Fの行きつけのクラブの最後の夜の人で溢れかえっている様子を見ると本当に終わってしまうんだなと感じた。本当に急遽CLOSEせざるを得ない状況だったようで、予め予定されていたレギュラーパーティーに、関係者や最後と聞きつけた客が駆け付け、名残り惜しそうに踊っていた。それが1Fの最後の夜となった。
何とも味気ない最後だと落胆していたが、数日後、嬉しいニュースが入った。
このレジャー施設でPARTYを最初に始めたオーガナイザー達が一か月の準備期間の後、地下で最後のお祭り騒ぎの場として2夜連続のPARTYを行うらしい。
これは伝説の夜になるに違いない。そう確信した俺はこのPARTYの為に張り切ってホフマンのシート、MDMA、等ネタの調達に余念がなかった。
こんなPARTYが待ちきれない日はなかったが、遂に当日がやってきた。
待ちきれず、早めに到着してしまうが、既にレジャー施設の地下へと続く螺旋階段は龍のようなデコレーションが施されOPENを待ちわびる行列が出来ていた。
俺だけではなく、皆、何かすごい事が起こるような期待感に溢れていた。
遂にOPENするといつもの地下はアシッドによく合うお馴染みのデコレーションが一面に施されていた。やや低めの天井にはこれほどかと言わんばかりにミラボールがつるされていた。vjブースのオブジェ、乱雑に積み上げられたtvモニター等、これはLSDが効いてくると本当に持っていかれそうだ。後方壁面にはpartyの名の由来となる幾何学模様にダビンチの有名な絵が描かれ、ローソファが無数におかれ、チルには最適なスペース。DJブースはまるでガラクタに埋もれた宇宙船のコックピットのようだった。
皆のはやる気持ちをよそに緩いバックトゥバックからPARTYはスタートした。
いきなり全開ではいかないタイムテーブルは主催者側の余裕を感じた。
気合を入れて一枚放り込んだ舌下のホフマンの紙片が効き始めるのに丁度よい。
人は止まる事なく、どんどん増えていき、このpartyでしか会わない顔見知りと乾杯をしながら、話していると、マキが目の前に現れた。
「久しぶり」「久しぶりやな」
マキは相変わらず可愛かった。むしろさらに可愛くなったように感じた。
マキと一緒にこの日を迎えたかったと素直に思った。
たわいもない近況報告をしたが、彼氏とどうなっているのかは聞かなかった。「また後でね」マキは女友達とdjブースに向かっていった。
いつの間にか照明は暗くなり、バックトゥバックは終わり一人目のdjがプレイしていた。
マキせいで少しセンチメンタルな気分だったが、これから始まるお祭り騒ぎにこんな気分は持ち込みたくない。
俺はトイレの個室で苦い錠剤を舌下の紙片を飲み込まないように注意しながら酒で流し込んだ。
準備は万端だ。さあ踊ろう。
つづく
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