親知らずのこと
2泊3日で入院して、全身麻酔下で親知らずを3本抜いてきた。
匿名ラジオの理想の歯医者を考える回を聞いて、そういえば最近歯医者に行っていないなと思い立ち、近所の歯医者に行った。
レントゲンを撮ったら親知らずが上は斜め、下は真横にそれぞれ埋まって生えている。大きな病院を紹介するので抜くならそこでやってくれとのことだった。
1本(右上)は真隣の歯に虫歯があったのでそれの治療を始めるために3月に予め抜いた。
私は医療行為を施されることに抵抗がなく注射も採血もへっちゃらなのだが、なぜだかこのときはすごいナーバスになった。
治療自体は難なく終わったが、不安定な精神状態だけが残り、友達宅を訪ねるため北海道に行く予定をドタキャンした。申し訳ない。
7月になり、入院前の検査をした。採血だの、心電図だの院内の色々なところに行かされる。看護師面談のとき、専門学校を辞めたことを言わざるを得なく、とても消えたくなった。ちなみに主治医には未だに専門学生だと嘘ついている。
入院する1週間前、麻酔科と口腔外科で診察があった。麻酔科は医師と看護師それぞれ面談して、鼻から挿管するが常に詰まっていたりしないか、とか手は横に広げられるかとかそういうことを聞かれた。看護師の方は少し嫌な思いをしたので思い出してはキレて帰ればよかったと新鮮に怒っている。(キレて帰らない方が良い)
口腔外科の診察は口内を少し見た後、愉快な先生に絶対腫れますから!と勢い良く言われて笑ってしまった。
ついに入院する日。緊張していたらしく4時に起きてしまった。入院は昼からなのだが、散歩に行って荷物の準備をしてもまだ7時で、とても暇だしソワソワした。
入退院受付は大きな荷物を抱えた人たちで溢れていた。
母の厚意で個室を選ばせて貰ったので、個室で構成された病棟に上がることになった。外来がある棟は比較的新しい感じだったので、案外古めの作りに驚いた。同じフロアに小児科病棟があったのだが、「かんごふさんのおへや」と案内板に書いてあって時代を感じた。
入院初日は何もしないが、色んな人が訪室してきた。薬剤師、手術室の看護師、主治医など。大抵体調は大丈夫ですか、とか同じようなことを聞いて去っていった。
4時に起きていたので消灯前に寝てしまったのだが、寝る前の薬を回収に来た看護師がカーテンを閉め、電気を消してくれた。
手術当日。着替えて迎えを待っていたのだが予定の9時になっても迎えに来ない。5分過ぎても来なかったので流石にナースコールを押した。結局手術センターに着いたのは9時10分だった。
手術室の看護師が病棟のナースに「10分遅れですけど何か理由があるんですか」とキレ気味に聞いていて怖かった。元看護師の母に言ったら昔から手術室の看護師は性格がきついらしい。病棟の看護師はマンパワー不足で……としおらしく答えていた。
1番の手術室に行ったら主治医が待っていて、緊張してる?と少し雑談してくれた。
いよいよ入室し、ベッドに上がった。別の手術のレポ配信で聞いていた通り、ベッドが温かかった。服を脱がされたので、冷えないようにするためだと思う。
血圧計やパルスオキシメーターなどをつけ、ルートを取ろうとするがなかなか血管が見えない。元々の冷え性と緊張で手がキンキンに冷えている上、リストカット痕もあるからだ。看護師2人に両手を握って貰って、結局手背から取った。
歳を聞かれて、今年20歳だと言ったら成人式の話をしてくれた。
マスクをしたまま酸素マスクを当てられて、最初は酸素だけが行くらしい。深呼吸していたら勝手に酸素でいっぱいになるから普通にしてていいよ、と言われた。
徐々に麻酔が入っていく。眠剤を飲んだときみたいになり、それを申告したらそうだね〜と流された。本格的に麻酔が行ってから意識がなくなるまで10秒強だった。最後の言葉は「(腕が)痛い」。それまでずっと看護師に手を握られたままだった。
次の記憶は回復室にいるときだ。もう抜管されていて喋れるようになっていたのだが、まだ喋れないと勘違いしていて、指で文字を書いて必死に伝えようとしていたが相手にされない。
私は記憶にないのだが、手が痺れることを言っていたらしく、しきりに手の痺れを確認された。
痛いと言ったら、病棟に戻ったら点滴を入れるね、ということになった。
病棟に戻っているときの記憶が希薄だ。気づいたら自分の病室で酸素マスクを当てられて寝ていた。そこからは2時間半くらい、寝たり起きたりを繰り返す。痛み止めの点滴は割と効いた。
2時間半後に看護師さんが来て、起き上がっても大丈夫かテストした。立ち上がったとき少し血の気が下がる気がしたが問題なく歩くところまでできた。首から下は健康そのものなので当たり前だが。
夕飯から食べられることになった。全粥食ということになっていたが、歯が動かないからおかずが噛めない上に、白い粥が本当に苦手なのでほとんど食べられなかった。
持参した紅茶味の豆乳を飲んでどうにか糖分補給をした。(後から気づいたが点滴が入っていたので別に食べなくても糖分はどうにかなった)
翌朝、起きたら顔がハムスターになっていた。手術当日はそこまで腫れが気にならなかったのに、一気に腫れ上がった。流石に面白かったので写真に収めた。
朝食は気合いで粥以外を食べた。口内の肉が迫り出して歯を閉じることができなかったので薄いレタスが一番食べるのに苦労した。
朝イチでレントゲンと外来診察に呼ばれた。今まであった真横に生えている親知らずが綺麗さっぱりなくなっていて、もはや愛着まで湧いていたので少し複雑な気持ちだった。
外来の医師に腫れも少ないし、口も良く開くね、と言われ、これで!?と驚いた。消毒をして貰って診察は終わった。
病棟に戻って、薬剤師から抗菌薬と痛み止めを、看護師から色々な書類を貰って私の入院生活は幕を閉じた。
術後5日、まだ内出血と腫れがあるが大分落ち着いてきたし食べられるものの幅も増えた。まだ口内の糸が邪魔なので早く抜糸したい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?