「Cool jewelries! 004」松永涼のカバー曲に「Mela!」(緑黄色社会)という選曲があまりにも素晴らしいという話
アイドルマスターシンデレラガールズのアルバムシリーズ「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER jewelries!」から、最新作「Cool jewelries! 004」に収録される各アイドルのカバー曲が発表されました。
この「カバー曲」という企画、アイマスシリーズの中でも765ASの時代から連綿と続く日本コロムビアのお家芸で、投稿されたプロデューサー諸氏のリクエストの中からCDに収録されるカバー曲が決まるというもの。
アイドルが歌う曲を実際に自ら提案することができるという、プロデューサーにとって非常に特別な意味を持つ企画です。
今回の「Cool jewelries! 004」も、三船美優の「レイニー ブルー」(徳永英明)や森久保乃々の「空想フォレスト」(じん)など、世代・曲調ともに幅広くバラエティに富んだ構成で、シンデレラガールズらしさが存分に発揮されている選曲だと思います。
その中でも、個人的に強く感銘を受けた選曲があります。
それは、松永涼の「Mela!」(緑黄色社会)。
選曲の感銘度合でいえばアイマスシリーズ通して考えても一番の衝撃だったので、ぜひこれは多くの人に聞いてもらいたい!と思い筆を取りました。
まぁ曲自体は俺もまだ聴いてないんですけどね!(2023年3月1日リリース予定)
※2023年2月8日放送の「CINDERELLA PARTY!」にて音源が初オンエアされました
とはいえ、カバー曲はサブスクリプションサービスでも原則配信されないですし、ライブでの披露もサプライズのご本人登場でもない限り見込薄。
だからこそ、聴いてもらいたいのであればオリジナル曲以上にデカい声でダイレクトマーケティングしていく必要があると思うので、かなりのフライングですが選曲に対する感想を書いていきたいと思います。
私が松永涼にリクエストした曲
本題に入る前に、私が松永涼にリクエストした曲をご紹介。
一応、後々本題にも関係してきます。
フラワーカンパニーズの「感情七号線」です。
涼さんにはフラカンの曲が似合いそうだというイメージをメモリアルコミュ1を観た時からずっと持っていて、特にこの「感情七号線」を、松永涼の曲として聴きたいと思っていました。
メモリアルコミュ1で初めてライブハウスで出会った時の、涼さんの鬱屈とした感情と、そこから抜け出そうとする決心する姿。
それがとても印象的で、この曲の歌詞と涼さんの境遇が重なるように感じたからです。
歌詞の口調も、涼さんのそれにとてもよく似ていると思います。
華々しくデビューを飾るもメジャーレーベルから契約を切られ、「ライブを届けに行く」をモットーに自ら機材車を運転しながら年間100本を超えるライブを行い、単独ライブで日本武道館を超満員にし、メンバーチェンジも活動休止も一切なく結成33年を迎えたフラカン。
停滞する現状からアイドルという道に一歩踏み出すことで、一度歌う場所を失っても「たくさんの人に歌を届けること」を諦めなかった松永涼。
根柢の部分では、両者は通じるものがあるのではないでしょうか。
「Mela!」という選曲が素晴らしいと思うポイント
本題です。
私が「Mela!」という選曲に感銘を受けたポイントは、以下の3つ。
「今現在の松永涼」をフォーカスした時にぴったり重なる歌詞
可能性を広げるポップで軽やかな曲調
オリジナルのボーカリストである長屋さんの声質との相似性
1.「今現在の松永涼」をフォーカスした時にぴったり重なる歌詞
前段で話した通り、私がフラカンをリクエストした理由は「メモリアルコミュ1」の松永涼の姿と重なったからです。
対して「Mela!」という選曲は、「今現在の松永涼」に着目したものだという印象を受けました。
モバマスが稼働した2011年からもう10年以上が経ち、エピソードも相応に増えています。
宣材写真ではぎこちなかった表情も「Nocturne」の特訓コミュの頃には自然と笑えるようになり、一コマ劇場では自分の境遇を引き合いに路上ライブをしている人に対して内心応援する姿を見せています。
『Mela!」の歌詞が鬱屈とした感情から勇気を持って一歩踏み出した「その後」までを描いているという点で、「今現在の松永涼」をフォーカスした時にピッタリと重なる素晴らしい選曲だと思いました。
葛藤を抱えながらも再び手にした歌う場所にプライドを抱いた「今現在の松永涼」によく似合うフレーズだと、しみじみ思います。
また、メッセージの主体が涼さんであるのはもちろんとして、向けられた先については様々な可能性が考えられるのも良さだと感じます。
前述の一コマ劇場のように「松永涼が歌を届けた人」が最もシンプルな形ですが、同僚のアイドルやプロデューサーという受け取り方もできるんですよね。
様々な解釈が広がるのも、曲の主題が涼さんにパーソナリティとしっかり合致しているからこそではないでしょうか。
個人的に好きなのが「殻を破れずにいる過去の自分」へ歌っているという解釈。
私はこのフレーズに、バンド時代の思い出も引き連れてアイドルという形で同じ夢に向かう姿を想起させられます。
2.可能性を広げるポップで軽やかな曲調
涼さんが現時点で歌唱した主だった楽曲は以下のとおり。
One Life(ソロ1曲目)
夏恋-NATSU_KOI-(MASTER SEASONS SUMMER!)
純情Midnight伝説(STARLIGHT MASTER 05)
Max_Beat(『シンデレラガールズ劇場』第4期5月度テーマソング)
アンデッド・ダンスロック(STARLIGHT MASTER 32)
joker(STARLIGHT MASTER GOLD RUSH! 03)
Drastic Melody(STARLIGHT MASTER R/LOCK ON! 02)
認めてくれなくたっていいよ(jewelries! 004共通)
Nocturne(GAME Ver.)
ツバサ(カバー曲)
大河よ共に泣いてくれ(ゾンサガコラボカバー曲)
Driving My Way(CINDERELLA MASTER 3Chord for the Rock!)
Myself(ソロ2曲目)
「認めてくれなくたっていいよ」は共通曲なので例外として、全体的に重厚な雰囲気の楽曲が大半を占めます。
そんな中で決まった今回の楽曲はホーンを取り入れた明るく軽やかな曲調で、キャッチーな間奏のコーラスがとても印象的。
涼さんが今までほとんど歌ってこなかったタイプの曲ですが、不思議と意外性よりもピッタリだという印象の方が先行する取り合わせだと思います。
それはおそらくオリジナルのボーカリストである長屋さんの声質と歌唱力のためだと思ってるのですが、それについては後述。
ある程度実験的な選曲が可能なカバー曲というタイミングでこの曲調を持ってくるというのは、メモリアルコミュ5でもプロデューサーが話しているような、まさに「可能性を広げる」選曲だと思います。
これを機に、こういう曲調をオリジナル曲でも歌ってほしい。
3.オリジナルのボーカリストである長屋さんの声質との相似性
曲調の項でも少し触れましたが、涼さんのCVを担当している千菅春香さんと、緑黄色社会の長屋晴子さんの声質や声域ってよく似ています。
そのため、今まで涼さんがほとんど歌ってこなかった曲調にもかかわらず、「松永涼がこの曲を歌ったらどんな風になるか」がすんなりイメージできるんですよね。
千菅さんがこれ歌ったらもう良くならないわけがないと否が応でも思わせられるような、そんな組み合わせだと思います。
カレーにトンカツのっけてマズいものができあがるわけないなんて、カツカレー食ったことなくても分かるだろ、みたいな。
新鮮な曲調と、親和性の高い声域。
この2つの絶妙なバランスが期待感を大きく高めているように思います。
期待感という話で言えば、緑黄色社会の曲って長屋さんの圧倒的な歌唱力がとにかく印象的で、歌うの結構難しいと思うんです。
でも、難易度の高い曲だからこそ歌い甲斐があると、松永涼なら言うんじゃないでしょうか。
そういう意味でも、とても似合う曲だと思います。
まとめ
というわけで、要素を細かく分解しながらどういった点に感銘を受けたのかを書いてきました。
総じて、今まで歌ってこなかった曲調で可能性を広げる選択にもかかわらず、しっくりくるだろうと思われる声域・声質を選ぶことで安定感を持たせるいう、非常に絶妙なバランス感覚を持ったリクエストではないでしょうか。
マジでリクエストしたプロデューサー、採用した運営共に天才だと思います。冒頭で述べた通り、アイマスカバー曲史上1,2を争う名プロデュースだと。
繰り返しになりますがまだ曲聞けてないので、試聴動画の公開やリリースが待ち遠しいですね。
余談
改めて、涼さんのカバー曲が「Mela!」に決まったと初めて知った時はそれはもう大変な衝撃を受けました。
なぜかというと、いつか南条光がjewelries!に参加したら「Mela!」をリクエストしようと思ってたからです(マジ
歌詞が南条にぴったりだとずっと思ってたんですよね。
ただ、歌詞以外も含めた楽曲全体として要素を細かく見ていくと、やっぱり涼さんが歌うべきだなぁ、と今となっては思います。
こうなったら南条には米津玄師の「M八七」か、OxTの「UNION」か、内田真礼の「ストロボメモリー」を歌ってほしいです。
追記 (2023年2月8日)
2023年2月8日放送の「CINDERELLA PARTY!」にて、「Mela!」の音源が初オンエアされました。
長屋さんのボーカルは芯が太くパワフルさが前面に出ていますが、対して千菅さんの歌唱は伸びやかで透き通るような印象を受けます。
それにより、原曲に比べると爽やかさ・ポップさ・軽やかさがより一層強調されているように感じられました。
MVと併せて聴くと顕著ですが、原曲は明るさの中にもどこか「淀み」のようなものが感じられ、曲の終盤に向かうにつれてそれが晴れていくようなカタルシスがあります。
対して、千菅さんのボーカルからは徹頭徹尾「迷いを振り切った後の姿」の方が強く意識されているような印象を受けます。
Aメロのこの歌詞は原曲との印象の違いを特に強く感じました。
原曲からは憂いのニュアンスを感じるため「本当に50:50で心底迷っている」ような印象を受けます。
一方で、涼さんのカバーからは「言葉では『迷ってる』と言っているけれど、心の底ではもう決まっている」というニュアンスを感じました。
まさに「今現在の松永涼の姿」を表現するカバーではないでしょうか。
また、今まで歌ってきたの曲調や音域のせいもあってシンデレラガールズの中における松永涼の歌声は「パワフル」という印象が強かったのですが、よりパワフルな長屋さんのボーカルと対比になることで「伸びやかさ」「透き通るような繊細さ」という部分を再確認させられました。
この良さを今後ぜひオリジナル曲でも発揮してほしい!と切に願います。
フル尺で聴くのがますます楽しみになりました。
早く3月1日になりますように!
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