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透明日記「気づいたら寝る時間」 2025/02/21
墓花屋の店内を垣間見た。入り口が道路と地続きのような空間。片隅に背の低い椅子と机。大きく開け放たれた引き戸。店内の空気が土間に張り付いている。
昔ながらの観光客相手の店と同じ雰囲気。昔ながらの余所者相手の店は、同じような雰囲気になるのかしら。
数秒見ただけの風景が妙に気になる。入りたくないけど、滅びないでほしいような空間。妙にばばくさい空間。古いにおいが目から入ってくる。
イヤホンなしでドラムを叩いて、できた気になっていたドラムは、全然できてないのではないかという疑いが生まれる。なんか、ドラムの音量に圧倒されたようで、自信をなくした。
散歩行こうかな。寒いな。散歩行こうかな。寒いな。と思ううちに日は暮れて、暖房の風に当たって乾燥する。
最近は雲が多い。スズメがずっとベランダで待機している。
絵を描かないとなあと思いながら、ドラマを観たり、雑誌を読んだりする。夜に絵を描く。
絵を描いていると、ケラケラ笑う瞬間がある。描いた絵になにこれと思う。文章でもなんでも、作ってるときに、なにこれと笑うときがある。アレは一体なんなんだろう。
気がついたら寝る時間だ。今日は一体、なにをしていたのか、よくわからない。
そう言えば、夏服のニットをいまになって洗っていた。ぎゅうぎゅう桶の中で揉み、洗えているのか洗えていないのか、洗う必要があるのかないのか、脱水をあまりしないので、なかなか乾かない。
ニットからぽたぽた水が滴る。少し時間を置いて見に行くと、服の下の方に水が移動している。これを見ると、重力やなと思う。洗濯物と重力。意外な組み合わせのように感じて、目が留まる。
重力で、服に含まれた水が、繊維を伝って下へ下へと移動する、その緩慢な動きを想像して、体も少しじわじわとする。水の移動を想像すると、尿意を感じる。尿意を意識すると、実際以上に尿意があるような気になって、下半身がそわそわとする。