エスカレーターの端っこは昔のインターネットの話
エスカレーターに乗る時は、片側を開ける。昔はそれがマナーだった。
急いでる人がエスカレーターを駆け上がれるように、右か左(地域によって異なる)を開けておくのだ。
しかしそれは、片側だけ重量負担になって故障しやすいとか、そもそもエスカレーターで駆け上がるのは危ないとかの理由で、今は両側乗りが推奨されている。
それを知っていたボクは、片側開けエスカレーターにはいつも開いてる方に乗っていた。
どちゃくそに並んでるエスカレーターを、ファストパスを使うかのように悠々と乗るのは実に気分が良いものだった。
今は両側乗りが一般になってしまい、どちゃくそ並ぶエスカレーターは両側ともどちゃくそ並ぶようになっている。
自分だけが知っていた秘密ルートをみんなが使うようになり、今までの快適ルートがなくなっちゃったのである。
ボクが今なんの話をしているかわかるか?
そう。インターネットの話をしているんだ。
昔はインターネットは息がしやすかった。
2ちゃんねる、ニコニコ、ツイッターにそんなに人がいなかった頃、自分とその周りにいる人くらいしか知らないミームやネタで内輪ノリを楽しんでた時期は、居心地の良いものだった。
今はどうだろう、人が増え過ぎて詰まってしまい、身動きがしにくくなっている。
どこにもいけないわけではないが、自分だけが知ってる道はなくなって、居心地の良さを感じないのだ。
じゃあ昔のインターネットに戻りたいかと言うとそうでもない。
今の感性で昔のインターネットを浴びたら、自身のコンプラ意識が爆発してどうにかなりそうな気もする。
ふるさとの思い出は懐かしいけど、戻りたいわけではないし、戻れるものでもない。
つまりボクはカントリー・ロード状態なのである。
この歳になると、「耳をすませば」の良さがわかってくる。
昔は「ジブリアニメなのにアクションがないなぁ」とそんなに好きではなかったが、今は観ると普通に面白い。
しかしどうしても、聖司と雫が互いに下の名前を呼び捨てになるタイミングに馴染めない。
相手を呼び捨てにするときは、1話使って信頼を確かめてからするものだとプリキュア(初代)から教わっているからだ。
結局ボクは、カントリーロードにすら立てていない、ただ荒野に立ちすくんでる迷子なのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?