#3怯えてんだよお前らに。
「男はおっぱぶに行くもんやねん」
この言葉が忘れられない。
いや、別に夜の店に行ってても嫌いになったりとかはしないんだが、ちょっと引く。
頼むよ。おっぱいくらい無料で揉めるくらいの男であってくれよ。
付き合いでキャバクラいくとか、"男の作法"的なアレは果たして現代でも行われているのだろうか。
所謂昭和界隈であることを象徴している気がしてならない。
私は昔キャバクラとガルバとスナックで一瞬働いていたことがあった。
大学4年生の頃暇だし、就職先も決まっているからいろんなバイトをやってみようと思った中の1つだった。
他にはコンビニ、パチンコ屋で働いた。
1番働きやすかったのはパチンコ屋で、勝手に掃除して、人数数えて、最低限の玉の入れ替えやら修理をしていた。1番楽だったのにすぐ辞めたのは、以前勤めてたアパレル店の店長の女が客としてきて気まずかったから。
「あ、てんちょ、、こんにちは」
みたいな挨拶だけした気がするけど店内がうるさいので聞こえてたかは不明。
そんな感じでキャバクラでもバイトをしていたのだが、私はキャバに来るおじさんが本当に苦手で若干鬱っぽくなった。
「君は可愛いけど君はなんで働いてるの?」
「ブスは引っ込んでろよ!チェンジ!」
私が言われることもあるし、私の仲の良い女の子が言われることもあって、庇うのに疲れる。あと純粋に傷つく。
キャバクラで働く女の子達の中には自称ADHDで、自殺願望があり私に夜中叫びながら電話してくる子や、他スタッフのお客様だった男の子が私に告白してきてネチネチ嫌がらせをされたり、不倫して慰謝料を払うために働いてる女の子が何故か出勤するなり泣いてたりした。あとオーバードーズして出勤できない子もいた。
疲れ果てて辞めた。
夜のお客様は、昼普通に社会人として生きていて、役職がついていたりと、その責任感から夜になると憂さ晴らしで異常にはっちゃける。
かと思いきや大学生の男の子達が冷やかしに来ると、そのうちの1人は必ずと言っていいほど
「俺は大丈夫っす!気を遣わないでください!俺も飲食経験者なんで、大変ですよね」
みたいな。共感してワンチャン狙うboysがいる。
こういうのは1日に1客必ずいるので好感が出るどころか寧ろこっちの仕事がなくなるのでやめて欲しいまである。
ただ楽しんで、酒を入れて帰ってくれ。
夜の店に行くと聞いた時、あぁ、この人たちのこの嘘っぽい笑顔とかロボティックな所作からしてきっと、はっちゃけちゃうんだろうなあ、きもいなあとか勝手に想像してひいた。
私は自分の周りの男の子達がキャバクラやおっぱぶ、夜の店に行った話を聞いたことがなく、勝手にないもんだと思っていたけれどもしかしたら私が知らなかっただけなのかなあと思った。
夜の店に行く文化がある界隈に生きてる人たちは好きなことを仕事にしていると言うよりは、仕事は仕事として割り切って"ちゃんとしなきゃ"と自分を律する才能がある。
普段から笑顔で正しいことを言う人、自分の本心ではなく、社会のためにとか、そういう意識がある人ほどネジが外れたら怖い。
自分を律することができると言うことはつまり、本心を隠して生きることになる。
それは建前がダメだと言ってるわけではなく、建前だけしかない人生は苦しいんじゃないかと思うのだ。
私は怯えているんだよお前らに。
裏の顔だとは思わないけど、本心を言っていない人間の言葉ってのは人に届かない。
人に届かないと、信用してもらえないのだ。
自分を律して会社のために動いて、役職がつけばこれまでの自分が正しかったのだと自分のことを正当化して更に本心から遠ざかった建前が増える。
建前が増えれば増えるほどきっと心の奥底で少年だった頃の自分が悲鳴をあげているのではないだろうか。
自分を律し続けて生きる道は私にはない。
律するのではなく、自分の正しさを模索する。
自分で自分を守るというのはつまり、
過去の自分を抱きしめてあげること。
間違えた自分も込みで許すこと。
愛するというのは非常に難しい。
自分が何を思っているのかと同等に、自分の正しさとはなんなのか。
問い続けて、悩んで、泣いて、悔しくなって、ようやく自分のことを許すのループ
何かを成し遂げてもいいし、成し遂げなくてもいいけど、私みたいな人間は自分で決めたことを自分でやり通すしか幸せになれない。
素直であるというのは、誰かの言うことを聞くとかそう言うことではなくて、自分が何を感じているのか自分で言語化できるように、模索して生きることなんじゃないだろうか。
そうは言っても私もまだ、言語化しきれない感情になったりする。
怒ってるふりして悲しかったりする。
こういうのに、ちゃんと気づいて抱きしめてあげないと、狂ってしまうから。
律せない人間はただただ壊れていってしまうから。
この世界が生きづらいんだと嘆いたら終わりだから
気づいた上で自分なりの方向を見つけていくしかない。たまに、甘えた声出して男に抱かれたりして、ゆるふわっと生きてゆけばよろしい。
私は憂さ晴らしするんじゃなくて、毎日自分のこと問い続けて模索して生きる
お前らが飲み会で媚び売ってる間に私は自分のやりたいことやる