病床六尺舌先三寸胸一寸8
よく「人を憎んで罪を憎まず」
などといいます。
何をおっしゃるのやら。
例えば、『正しい偏見』というものがあるわけです。
塗装工、とび職はチンピラだ!
この職業の方々、また家族にいらっしゃる方は火がついた勢いで怒る言葉だ。
だが事件で『よく見かける』ご職業だ。
以前ここで書いた話の繰り返しで申し訳ないのだけれども
中学の時にギターとドラムを買うために建設会社でバイトをした。
ある日、仕事の都合で当時建設中だった町の団地の現場に回されたのです。
普通は5人組で塀を作ったり、庭を造ったりするチームにいたので勝手がわからず、
とにかく真面目に指示通りに手伝い、掃除をしゴミをゴミ捨て場に出しに行ったのです。
朝その現場が始まったときから
(やたら怖い人が多い現場だな・・・・)と思っていたんですよ。
暑くなって腕まくりすると和彫りがのぞき、タバコはポイ捨て・・・・みたいな人がね。
ゴミと言っても大きな材木や鉄骨を一人で担ぎ運んでゴミ捨て場へ持ってゆくと、
みんな放り投げていくので山が崩れてとんでもないことになっている。
それを綺麗に積みなおしてゴミが崩れないようにしていたところ
体の横数センチを突然何本もの鉄パイプや足場用の鉄板が落下してきた。
ヘルメットはしていても当たっていたら冗談抜きで死んでいたような量だ。
事故か?と思い上を見上げるととび職の兄ちゃんが
「おー悪ぃわりぃ、あはははは」
と言って謝りもせず建物の中に消えていった。
今なら考えられないようだろうけどね。
つまりのところ罪を犯す『器としての人間』も汚れるんですよ。
人を殺していたかもしれない物体を面倒がって5階ほどの高さから下へ投げたわけだ。
これでその人間は悪くない!罪だけが悪い!なんて絵空事はとても言えません。
私は人が好きです。
あまり人前が好きではないのですが、人間を愛しています。
しかしみな『善人』ではないのです。
そして『俺は善人ではありません』と自己紹介してくれる獣がいるわけです。
そいつらに人間の掟を適用する必要などありましょうか?