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BANANA FISH オフィシャルガイドブック REBIRTH 感想・いじめられても泣かない子
一通り目を通しましたので、忘れないうちに項目ごとに所感を書いておきます。
オール扉絵ギャラリー
とにかくセンスあふれる永久保存版。アッシュが美麗すぎる。涙出る。一枚絵の構図が秀逸すぎる。吉田先生に欠点はないのか??
人物解析
誕生日とか年齢とか分かる。あとは本編読んでりゃ分かることがキャラ別にまとめられている。
ストーリ紹介
本編読んでいれば分かることだけ。でもかなり分かりやすくあらすじがまとめられているからこれ読めばBANANA FISHのストーリーが理解できる。
吉田秋生&歴代担当者座談会
作者インタビューみたいな感じ。思ったより新事実とかはない。ブランカ女設定が意外過ぎて……みてみたい感じもある。
あと先生がアッシュ掴めないって言ってたのは意外だった。先生はアッシュ理解しすぎてるでしょって思うんだけどな~。アッシュは死ぬべきは私もここでは共感したんだけど……この後の「完全分析」読んで落ち込んだ。先生も編集に噛んでいるなら、アッシュに対して、厳しすぎんか……って思った。
完全分析
正直この本買う意味はこの章……。私全巻の感想書く前に読んでしまって、問題解く前に答え見てしまった感が否めない。
まず、麻薬に関して、アメリカの歴史に関して、かなり詳しく書かれており普通に勉強になる。
オーサー、ユーシス、英二たち登場人物とアッシュに関する分析に関してはほぼ私の見解と一致していてうわぁと思った。しかしここまでわかりやすく解説されると悔しい…。しかし見解一致ということは、作者の意図が正確に読者に伝わっているということで、先生のその手腕はやはり筆舌に尽くしがたい。
私の見解が至らなかったのはアッシュに関する分析で、アッシュが自責の念にとらわれている理由の論理的な納得がうまくできていなかったんだけどこの章を読んで理解できた。性的虐待をうけた少年のトラウマと書かれていた。私は心理学やトラウマに関してあまり知見がないので、そこに思い至らなかったけど、かなり理論の筋が通っていて納得できた。
しかし、英二がいるときに気を抜いてしまうアッシュの心理、アッシュが無になって人を殺す心理は、トラウマに気が狂わないための防衛本能だというのは少しショックだった。
さらに言えば、英二と日本で暮らせば(平和的な環境では)アッシュは緊張が解け、PTSDに悩まされるだろうとも書かれておりそれは酷すぎるよな……と辛くなった。(ちなみにその傷も英二が癒せるかもとは書かれていた)でも、治るとしても、PTSDに悩まされる地獄がその後も少しでもあるなら、やっぱりアッシュは死んでよかったのかも。
作者に「アッシュ生存if」のファンレターが届きすぎて、先生怒ってるんじゃないか?と思わなくもないくらいの断定的な説明で少し笑えた。私もアッシュは死ぬことにより救われたし、ハッピーエンドだと思っているから、生存if否定派なので、(コードギアスのルルーシュ生存ifくらい不躾だと思う)分からんくもないけどね。
ただ、生きていてほしいという読者の気持ちもまた、分からなくもないんだよな。生きて英二と日本で暮らすアッシュを想像するくらい私達にも許してほしい。アッシュが私たちの勝手な妄想に怒っても、許してはくれると思う。優しいからさ。
多分みんな勘違いしてしまうのはさ、アッシュは恵まれた人間だと思ってしまう事。ちがうよ、アッシュは幼いころからずっと被害者なんだよ。だから私たちはアッシュを見て泣くんだよ。
いじめられても泣かない子がいて、
「泣いてないじゃん。じゃあいじめじゃないね。」
ってそう言う事じゃないでしょ。