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忘却バッテリー 感想 設定とキャラが卓越した良作漫画。野球漫画と敬遠せずぜひ読んで欲しい……。

どうも!647です。
久々にフルヒットした漫画がありまして、大人買い&一気読みしたので感想を!!

アニメから入り、即、漫画を全巻大人買いしました。

今期アニメは展開がクソ化してしまった「無職転生」や「転スラ」、出版社プッシュされまくっている「怪獣8号」なんか目じゃないね。

覇権は「忘却バッテリー」でしょうが!と言いたい。

連載中のジャンプ+の漫画では一番面白いのでは?
個人的には、漫画購入に至らなかった怪獣8号よりも推せます。
なぜ同じジャンプ+である、怪獣8号よりもプッシュされていないんだろう…?野球漫画だからだろうか?

そうなのよね。スポーツ漫画って読まない層がいるのよね。対してアクションSFである怪獣8号はミーハー層も取り込みやすいっていうのはわかる。
分かるけどひとこと言わせてほしい。

野球漫画(アニメ)は野球を読むんじゃなくてヒューマンストーリーを読むんです。野球はその題材でしかない。だから「野球が分らない」ひとでも楽しめるんです。

後述するけど、碁のルールが全く分からない人が大半である中、「ヒカルの碁」が大ヒットしたように……。
そしてこの「忘却バッテリー」は「ヒカルの碁」の設定の卓越さに似ているうまさがあります。感動すらしました。

私は野球漫画といえば「おおきく振りかぶって」「ダイヤのエース」世代ではありますが、令和の野球漫画は間違いなく「忘却バッテリー」だろうなあ。青春スポコン漫画で非常~~~~によい!そして令和らしい一ひねりした設定があるんだけども、複雑化していなくて非常にシンプルなんです。シンプルイズベスト、を体現したかのような卓越した設定だと思っています。

「忘却バッテリー」の面白さを3つに分けて語りたいと思う。

簡単なあらすじを説明すると

記憶喪失になってしまったキャッチャーと、天才ピッチャーが強豪校推薦を蹴って弱小野球部しかない高校に入学し、なんやかんやあって甲子園を目指すチーム作りを始める話。

れ、令和の漫画なのにあらすじが非常に説明しやすい……。素晴らしすぎる……。それほど設定がシンプルかつ卓越しているということ……。マジで褒めるとこしかない。

じゃあ褒めるところを3つに分け語っていくぜ。

①キャラの引き
②設定の妙
③構成(視点)のうまさ

①キャラの引き

私は最近Youtubeのまんがわん編集部にはまっているのですが、編集者が漫画は「キャラ」が一番大事だと言っているシーンがあります。そして私は確かにキャラの引きっていうのは1話→2話を継続視聴させるのに必要な力だと思っています。

例えば、〇巻から面白くなる漫画、などありますがだいたいそういう漫画は〇巻から出てくるキャラの魅力が大きいことがほとんどだからです!
特にわかりやすいのはスポーツ漫画ですよね。敵である強豪校のキャラに魅力があると、そのVS〇〇編がめちゃくちゃもりあがったりします。
ハイキューの白鳥沢編とかね!わしゃ白鳥沢推しなんじゃ~!

んで忘却バッテリーはどうかというと、かなり序盤(アニメだと1話からじゃないかな?)で、語り手&バッテリー&二遊間のキャラが出てくるのですが、なかなかキャラが立っていて魅力的なのですよ!

昨今複雑設定キャラが多い中非常にさっぱりした設定でこれまた説明も容易!ただし、キャラ名にあまり特徴がなく覚えにくいのは難点ですね。この辺は作者の好みなんで仕方がないのですが……。

語り手(ファースト)=山田:兎に角平凡。いわば読者目線のキャラ。
キャッチャー=カナメ:常にすべっているあほキャラ。記憶喪失。
ピッチャー=ハルちゃん:天然&天才野球馬鹿。
遊撃手=藤堂:元ヤン。守備うまい。スラッガー。
二塁手=千早:頭脳・技巧派。守備うまい。

私は遊撃手の元ヤン藤堂が好きです~いつものことですが同担拒否な~!(おい)

全員のキャラの掴みが非常に自然であり、それでいて被っていないんですよね。
野球を題材とする漫画の利点として守備位置・打順で性格を決めやすいというのはあるかも。セオリーがあるんですよね。
大体ピッチャーは天然ノー感情天才型or性格は明るいが実は努力型。とかね。極端なのが多い。
ピッチャーがポンコツだとキャッチャーを天才型にするパターンも多く見られますね。野球漫画だと捕手目線で試合を描いた方が描きやすいというのもあるんでしょう。

アニメ入りなのですが、常に滑っているあほキャラ、ほぼ主人公であるといえるキャッチャーカナメ、彼のキャラクターが非常に惹かれました。
あほキャラなのでギャグが滑っていると、キャラ自体すべりかねない非常に危険な性格設定なのですが、

この漫画女性作者のわりにギャグが滑ってないんですよ!!!!

滑り芸が非常にシュールで笑える!!私の令和らしからぬ偏見発動ですみませんが女性作者のギャグセンってだいたいおわっているんで……。
声出して笑えるレベルのギャグでなかなか面白いので、この滑っているカナメってキャラが魅力的なんですよね。突込み担当の山田がモノローグ担当しているのもうまく機能している!
カナメなんて見た目イケメンで絶対狙っているキャラなので、拗らせオタクの私は「こんなやつにはまるかよ~」って穿った目で見るのですが、なかなかいいキャラで惹かれてしまいました。
2話目をすぐにみよっかな、と思えるのはこのような強烈なあほキャラみたいな引き、絶対必要なんですよね。

カナメが魅力的なのは間違いなく、継続視聴していると、そのあとに深堀される藤堂が私好みキャラでした。
口悪くて、あきらめているくせに熱いキャラってやつですね。ハイ俺好み~!藤堂は主人公と同学年、ずっとレギュラー登場するに決まってるんだからキャラ読み層を取り込めるわけですよ。↑で説明した序盤キャラの誰かさえ好みに当てれれば継続視聴確定なわけだから、キャラが重要なのは納得ですよね~。

②設定の妙

これは漫画18巻までよんで「マジですげえこの設定」って思いました。
私はなんとなく編集的目線でマンガを読んでしまううざい癖があるんですが、

この漫画の設定ってすごく話を広げやすいんですよ!!

どういう設定だよ?っていうのはね。

キャッチャーカナメはもともと天才ピッチャーハルとバッテリーを組み強豪校からオファーをもらうくらいの秀才選手だったわけです。ですが、記憶喪失設定にして、野球知識ゼロのアホキャラになっているんですね。しかし練習してきた彼の体はプレーを覚えており、たまにその能力を発揮して好プレーを繰り出すことがあるんです。

初めは野球なんてダサいからやらない!というマインドなのですが、だんだんと野球の面白さに気づいていき、入部までするのです。

この設定は「ヒカルの碁」と似た設定の妙があります。
ヒカルの碁の設定のうまさというのは、碁の初心者ヒカルに、平安時代の最強碁打ちサイが憑依することで、スポーツ漫画などで見られる序盤のもやもや感(修行パートのだるさ)を解消しているところにあります。

そう、超絶強豪校に天才ピッチャーしてしまうと成長を描きづらい。しかしへぼピッチャーにしてしまうと序盤に負けがこんでしまい、物語的な山場を作りづらく連載を続けづらい……。
このトレードオフを解消する設定が「ヒカルの碁」の素晴らしき設定にあるのです!!!!ちなみにこれは私が考え付いたのではなくどこかで誰かが解説していました!今でも素晴らしい着眼点だと思っています。

そしてそれと同じ設定の妙が、この「忘却バッテリー」にあるんですよ!
主人公が記憶喪失でへぼ野球選手なんだけど、フィジカルは覚えていて好プレーをするんですよね。だから試合でもしかしてこれ勝てるかも!?的展開を序盤から作れるのです!
そしてバッテリーはシニア時代ではかなり有名だったのもあり、二遊間の選手は強豪シニアの選手をはじめから入部させられているので底辺雑魚選手しかいない野球部ってほどでもない、という補正まで効いています。そんなうまい選手が弱小野球部しかない高校になんで来てんだよっていう理由付けも、バッテリーに起因するんですが、なかなか自然でうまいんですよね~~~。
違和感がない、これって重要。令和の漫画って設定やキャラが死んでる(持っていきたい展開にするために強引すぎて人間味がない)ことが多いので、その辺忘却バッテリーは非常に自然。違和感ゼロです。安心できますね~。

そしてわりと序盤の方で、一度キャッチャーの記憶が戻る展開があります。

その時の彼のキャラは「知将」と言われていたにふさわしい超絶クールキャラなんですよ!おもしろすぎるだろ!?
モテたいから野球なんてしたくない、一発ギャグも滑りまくりのかっこつけ野郎が、記憶が戻ったら女子がキュン時にするくらいきりっとしたイケメンになってクールにチームの司令塔になるわけですよ。なんなら女子からの告白も野球を理由に断るようなクールビューティ。おもろい。おもろすぎる。べたすぎるのに普段のキャラとのギャップが過ぎておもろい!

知将になったときのチームはかなりうまく回るため、読者は勝てる!という爽快感も味わえます。

そして物語が進むにつれて、記憶が断片的に戻る→「知将」との二重人格となっていきます。
まるでヒカルとサイのように脳内で試合の相談をし始めるんです。

こうなってからがめちゃくちゃおもしろくなる!

この展開確かに読めるんだけど、設定がうまいから、作者も書きやすいんだと思う。
二重人格ルートは私的にはかなりあり◎
そして今の物語の流れだと、知将が消失して、野球レベルが上がったカナメが残りチームが優勝するという流れです。

これは本っっ当にうまいな~と思いました。

天才ハルについていくために努力を惜しまなかった知将カナメは自分を押し殺して野球を楽しめていなかった。
野球を楽しみつつ強くなる(知将カナメの知識を入れる)成功例を今のカナメで作る。
それはカナメ自身の成長を描くことになる。

この漫画の面白さの神髄はここでしょうね。

天才の横に並ぶ、あくまで秀才であるカナメの葛藤

過去の自分自身がライバル、それを超えること=自身の成長……この作品では、それを分かりやすく二重人格を通して描いているけど、これってみんなそうだよね。常に成長し続けることって人間だれしもそうではない?

まじで野球漫画と侮るなかれです。

そしてスターというのは、もちろん才能ありきではありますが、周りに作られるといいますよね。天才であるハルをスターにしていたのは紛れもない知将のカナメだった。

そのカナメを失ってしまった(記憶を喪失した)ことによって、自分で考え成長しようとするハルすら描いているんです。

まじで成長を描くのがうますぎるんやって……。

そしてこの記憶喪失設定、例えば二重人格にしなくとも、徐々に記憶を取り戻してアプデしていくカナメにもできたんですよね。記憶喪失って広げようがいくらでもあるすごい良い設定だと思うだよな。

(そうそう、きめつのぜんいつが目を瞑っているでしょ?私なら目を瞑るのをやめる覚醒展開を作ったな~とか、そういう広げられる良い設定って意味です。きめつはそういう展開を作らなかったらしいですが。)

しかし広げられるとはいえ、忘却バッテリーが選んだ、二重人格設定はかなりいい選択と思います。作者すごいよなあ。ほぼベストな√ではないでしょうか。だってサイが消失したとき号泣だったから多分私知将が消えたら涙止まらんし……。

藤堂推しではありますが、私「知将」推しでもあるんだよね。頭いいキャラ好きだから。知将は諦めキャラでもあるし……。

③構成(視点)のうまさ

これ、新しいと思いました。
二重人格カナメが登場するまでは、この漫画の視点は山田なのです。ファーストで主将となる山田ですが、平均的な選手。突込み・モノローグ担当。普通なのが特徴。つまり読者視点です。

「涼宮ハルヒの憂鬱」でいうところのキョン(語り手)ですね。しかしキョンは主人公であるのに対し、この物語の本来の主人公はカナメ(とハルちゃん)。

読者すら気づかないうちに視点が二重人格カナメに移行されてるんすよ。

序盤のカナメは記憶喪失なので野球試合の語り手としてかなり役不足。
センスは平凡ですがプレイルールを知っている山田視点を序盤に取り入れているのは非常に新しいし、序盤のつまらなさを解消しているいい工夫だと思います!

そして覚醒しつつある二重人格カナメだと、心の中の二人の対話形式で試合の状況を説明できるうえに捕手視点。本格野球漫画と同じ(いや対話しているからそれ以上の)構成にでき、現在の最新刊18巻あたりの試合はかなりヒートアップしていて面白い!内野手(ファースト)である山田視点だと心理描写はできますが試合中継は野球だとすこし難しいですからね……。バッターと相まみえる捕手か投手視点で描きたいところですよね。投手ハルちゃんは天才型なので思考しません(こら)ので、この場合やはりカナメ視点が妥当。

この構成のうまさはほかの漫画にはないんじゃないかな。
「スキップとローファー」では漫画表現のうまさをかなり褒めましたが、

この「忘却バッテリー」では設定と構成のうまさをほめたいな。

もちろん前提として表現やストーリー、キャラが十分うまいうえで、ですよ。突出して素晴らしいということが言いたいです。

他にも例を上げますと、ハイキューはスキロ―のような漫画表現がうまい漫画だと思いますし、設定や構成でいうとヒカルの碁や忘却バッテリーになるんでしょうね。

ハイキューは漫画なのに時間を止められたような緊迫感のある画力とコマ割りがすばらしい。アニメもクオリティが高いですがぜひ漫画で呼んで欲しい作品なんです。白鳥沢編の見開きを見たら、ページを捲る手が止まりますよ。

次が読みたいのに、思わず止まってしまうページを捲る自分の手、それを感じる瞬間こそが漫画の神髄である。

↓これとか読んでみてね。

どちらもうまいのはハンターハンターですので本当まじで天才よな。
ハンターは画力があり、漫画表現がうまい躍動感のある画面になっています。その上に設定すらも卓越している。
例えば呪術廻戦が「縛り」でオマージュしている、ハンターの「制約と盟約」や、呪術廻戦が「術式開示」でオマージュしている、念能力「命の音(カウントダウン)」などです。
特に術式開示、に関しては意味もなくモブキャラに戦況を説明させなくても威力が強まるので自分の術式を自分の口で開示する、という意味のある行為にさせるいい設定だと思います。ボマーの念能力「命の音」のオマージュと言われていますね。つまりハンターが原案。富樫は本当にすごい。

最近富樫のXが更新されているんですが連載再開するのかな?ならジャンプ買うけど?なアラサーオタクです。学生のころからこれやってるよwマジモンのオタクやでw

ちなみに例にもれず蜘蛛が好きなので今のハンターハンターはめちゃくちゃ続き気になっているんです……。富樫死なないで……。いくら休んでもいいから……。

↓私のハンター評はこれかな。

対して呪術は落書き隔週連載になっていますが、そこまで富樫先生のオマージュはしなくていいかと……。(こら)
今のジャンプ本誌の展開をネタバレで見てしまったのですが、五条をコケにしすぎだろさすがに……と怒りでため息すら出ませんわ……。私は乙骨や五条先生が最推しだったわけではないのですが、さすがにひどいよね……。
空港で五条の死体蹴りは終わったと思ってた、さすがにここまでしちゃうと芥見先生の五条への恨みが透けて見えちゃうよ……。そんなに人気出たのが解せなかったんでしょうか……。でも自分が生んだ最強キャラやんか……。下手すりゃリヴァイ兵長よりひどい扱いで草も生えん。

呪術に関しては恨み節がさく裂しそうなのでこの辺で……。
↓気になる方はこちらの記事どぞ~。

話が逸れまくりましたが、とにかく忘却バッテリー、スポーツ漫画という偏見を捨てて絶対に読むべきです。

今ジャンプ+で無料で20話読めるらしいしぜひ!!!

アニオタはアニメでいいから見ろ!絶対後悔はさせねえから!


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