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先生! 河原和音 感想 古い作品だが絶対読んでほしいから少女漫画について語らせて。

おっはよーございまーーーーっす!
恋する乙女、647です!私は先生が好きです!!!

今恋をしていますので、超ハイテンションで行かせていただきます!

河原和音という少女漫画家をご存じですか?

有名なのは映画化もしている「俺物語!!」「青空エール」とかじゃないでしょうか?

ちなみに私は、青空エールは読みましたが、俺物語!!は読んだことないです。
青空エールは著者にしてはフツーかなって思いました。そこまでハマる感じじゃないな~。

私、河原和音先生の作品で好きなのは、「高校デビュー」なんすよね~。マジキュンです~。

私のちょうどド世代の時に連載されていた少女漫画なのでね。

持論なんですが、少女漫画って作家買いで問題ないです。

基本的に設定が異なる、ヒーローの性格とヒロインの性格が似たような作品を書いてくれるからです。
それに少年漫画よりも断然、何作も、しかも長く漫画を描いてくれる人が多いので、好きな作風の作家さんを発見したらまじ儲けものなんですよね。

で、私は高校デビューが好きだったので、「素敵な彼氏」も買ってて好きだし、「太陽よりもまぶしい星」(現在連載中)も買っています!おもしろいよ~。これね~私にしては珍しく、メインヒーローじゃなくて、友達と付き合いそうな方の男子が好きです。珍しいのよ。河原和音先生の作品ってメインヒーローがバチクソかっけーから。
昔はやった、「CRAZY FOR YOU」(椎名軽穂先生作)って少女漫画は、赤星君が好きだったけどね。当て馬代表の……(笑)

少女漫画は当て馬好きになっちゃうと出番がだんだんなくなってくるので損しかない(つまんなくなる)ため、メインヒーローが自分好みの著者を探すのが重要です。

最近当たりの少女漫画ないな~と思っていたため、著者からたどるのがいいか!ということで、河原和音先生の昔の作品である「先生!」を手に取ったのが運の尽き……。

あっここからが本日の本題です。

あのねえ………私少女漫画で一番好きかもしれん。伊藤が。

この作品1990~2000年代に連載されていた少女漫画なんですよ。
というか1990年代の作家さんが2020年代にまだヒット作を連載しているのが少女漫画作家さんのすごいところだよね。

そして伊藤でわかった、自分が好きな男のタイプが。

どこか悟って(達観して)いて、諦めているんだけど、本心は熱い人が好き。

この世の中にいい人間なんていなくてみんな自分の利益のために生きている。そんな世の中で純粋に生きていたら損を食う。だから諦めているんだけど、自分の利益とか考えない(一見おバカな)純粋な人に出会った時、心の底にくすぶっていた炎が再燃し、その人のために自分のすべてをささげる。そんな人が好きです。

ああ、はい、言われなくてもそんな奴現実にはいません。だから結婚していません私は。
いや、いるかもしれないけど、私が好きな人は、私みたいな女が好きじゃないっていう矛盾なのよ~~~~~!わっかるうう!?!!これ、分かってもらえる!?
私は「自分の利益とか考えない(一見おバカな)純粋な人」ではないからね。
むしろ世の中って6割くらいの力で生き抜ければそれでいいよねなタイプだし、社会にもまれすぎて純粋でもないから。
そんな私に、同じようなタイプの「諦めた人」を落とすようなことはできないんです。

だからいいんだ~私には伊藤がいるから(現実逃避)
とか30オーバーでいってるから未婚なんですよねえ。

話は戻って「先生!」を激押ししている私なのですが、実は先生×生徒という設定の少女漫画はそんなに好きではありません。

そもそもありえなくね?と思ってしまう悪い癖が発動。

先生と付き合うくらいなら、実はちょっと現実にもありえそうな設定なのに、少女漫画で描かれる先生×生徒って基本ありえないシチュエーションでマジで萌えないのよ。

むしろそれなら王族×使用人とか、吸血鬼×人間とかのファンタジー・シンデレラ・ホイホイ設定の方がまだ萌えるのです。

特にさあ、私は少女漫画には胸キュンハピエンしか求めていないんですけれども、先生×生徒って、それこそライバルの先生やら生徒やらが無駄に足を引っ張ってきたり(つまり校長にバラしちゃったり、脅したり)退学とか教師を辞めなくちゃいけないようなシチュエーションを迂闊にするやん?
そんな悲劇のヒロイン的展開いらんのよね~。それなら先輩とのラブラブ学園物が読みたいのよ~。

それに私上記で説明したような、諦め男(今命名しました!)が好きなので、生徒と付き合うような脳内お花畑のヒーローを好きになるなんてありえないんです。

現実を分かっている諦め男が好きなのに、前途多難、非常識、ロリコンである生徒と付き合う先生が好きになるわけないんよな。普通に考えて。

アッでも「プロミスシンデレラ」は好きだ。あれ?まああれは高校生×社会人だからまあ……逆だから許して。

ちなみに橘オレコ先生って同人誌なみのキュン描写と手癖の絵のうまさなんだけど、新作の「ホタルの嫁入り」が全然面白くなくてマジで嘆いてる。同じ人いない???なんであんなに面白くないんだろ……絵はうまいのに。。。

脱線しましたが、じゃあなんで私が「先生!」を、いや、伊藤を好きかなんですけどね。

河原和音先生は、伊藤を諦め男のまま生徒と付き合わせたから天才なの。

生徒に手を出す非常識な先生ではなく、常識的ないい奴のまま生徒とくっつけてしまったから、私がほれ込んだんです。

こちら、文庫版で多分最終巻前、10巻くらいからの切り抜きなのですが……。

「俺も意外だ 自分が生徒と付き合うとは思ってなかったから」

あっ黒髪の方が伊藤先生です!(そりゃ見ればわかる)
眼鏡でものぐさ、ぼさっとしているので、気づく人こそ気づく、隠れイケメン的な感じです。高身長なのがイケメン度UP要素!

で、ライバルの藤岡くんとの会話である、ここの台詞。
そう、伊藤本人ですら、生徒は相手にしていなかった、だけど主人公の島田に惚れたんですよね~~~。

人物描写がやはりうまくないと、恋愛漫画なんて書けないからね。
まあファンタジー恋愛漫画ならかける(キャラクターキャラクターしている恋愛漫画)だろうけど。私はそれも普通に好きだけど。

やはり登場人物が、生きているかって、娯楽漫画ではなく名作漫画になる重要要素だよね。

それではどれだけ魅力か、登場人物について説明しよう!

伊藤

(メインヒーロー、先生、27歳くらいの設定だったはず)

・女嫌い、競馬・野球好き、ヘビースモーカー(職員室で普通に煙草吸っているのが平成初期漫画っぽいね……)。
・隠れイケメンなので生徒にも、先生にもモテるんだけど、本人が恋愛脳ではないので、来るもの拒まず去る者おわずで、女性をあんまり信用していない。
口が悪く、口数も多くないが、要所要所でちゃんと「好き」だとかほしい言葉を言ってくれるまじでいい男!!!!!!!

これとかね、やばくね?口悪いくせにキスしてくれるんだ~。マジで暴れたからここ読んだとき。キュン死にすぎて。
この右下の、呆れたような体制からの「いいよ」はやばいんですわ。性癖ぶっささり……。

・主人公の島田に猛烈アタックされ付き合うけど、ちゃんと真摯な気持ちを受け止めて考えた結果である。そうなんです、

伊藤って、世間を穿っているくせに、生徒だからってその気持ちを無視したり、蔑ろにできない純粋さはあるのよ。

・そして付き合ってからもあんまり「生徒だから」っていう風に差別せず、「恋人」扱いしてくれる上に、「ばれたらそん時だ」って腹くくっている男らしい責任感の強さもある……本当に少女漫画のヒーローにふさわしいいい男なんです!!!

島田

(本作のメインヒロイン、伊藤が初恋、素朴で大人しめな女の子、高校2年→3年)

・口数少な目、常識人
・伊藤の生徒を差別せず、同じ目線に立ってくれる優しさに惚れる(めちゃくちゃ見る目あるよ……)
・伊藤が初恋、初彼氏。純粋素朴に、剛速球ど真ん中ストレートで伊藤を仕留める。
・純粋だが馬鹿じゃない。伊藤への気持ちには割と素直。勉強も運動も「普通」
・高校生にしては我儘をあまり言わなかったり、我慢できるいい子(伊藤のため)
・恋愛は悩むことが多いがネガティブではない。

個人的には島田がメインヒロインであることが本作のすごいところだと思います。
島田は冷静で、高校生にしては大人びて見えますが、恋愛初心者であり、自分の「好き」の気持ちに従って行動します。

一方、伊藤は27歳なのかよってくらい悟っており、恋愛と距離を置くのも女性が面倒だと思っている位のひねくれっぷり。
なぜそうなったのか、私は伊藤にも原因があると思います。
伊藤は基本的に自分から好きにならず、女性からアプローチされるタイプ。言われるがままに付き合って、でも根はやさしいので彼女には優しくして、だんだん助長してきた女の方に飽きられて振られる。といったことを繰り返してきたのでしょう。
で、もちろん肉食女子なわけなので、伊藤に新しい女ができると、元カノが「やっぱり伊藤がよかった」(新しい女にとられるのは気に入らない)とか言い出すような女ばっかなのでしょう。ああーーーこの見る目の無さ(つーか誰でもいいだけなんだろうけど)

こーんな苦い恋愛経験しかしてこなかった伊藤にとって、純粋にど真ん中にストレートを投げ込んでくる島田ってある意味、珍しかったんじゃないかなあ。
その純粋さに心動かされたんじゃないかな。
捻くれている自分になくなってしまったストレートという球種に、魅力を感じたんじゃないかな。

「変化球は来るとわかってれば打てるけど 直球は来るとわかってても打てないからな」

これは、変化球(美人の中島先生)と直球(島田)を比較した台詞です。

ここ、平成初期漫画っぽさがあって好きなのが、たとえが少女漫画誌にしては(先生の性格現してて)結構シャバいところと、野球だってところなんですよね。

令和の少女漫画じゃあやったってつたわらないだろうな~。
ってか「先生!」は単行本だと20巻なんですけど、つまり人気だったってことだよね?伊藤って口悪くて、趣味がオッサンで、あんまり女子受けよさそうじゃないので、少女漫画のヒーローとしては力不足そうなんだけど、私みたいな女子に受けたのかな?(笑)

っとぉ~話は戻りますが、直球を「うてない」という伊藤に愛を感じますね~。生徒である島田に手を焼いているのがよ~~っく分かります。変化球ならうまくミートできる先生が、じゃあなんで手を焼くかって、そりゃ本気で好きだから、それ以外にないでしょうけどね。

島田は先生を好きになるんだけど、伊藤の元カノたちみたいな戦略的に攻略してくる女じゃなかったんですよね。

たまたま初恋が伊藤だったという奇跡……。

あ~今気づいたけど、私は、

島田が伊藤を救ったから、この作品が好きなのか。

そういう話まじ好きだな。自分の性癖を理解できてうれしいよ……。

諦めモードの奥底にある炎にまた火をつけてくれたのが島田なんだよね。

恋愛だって捨てたもんじゃないとおもわせたのが島田なんだもんな。

私ね、「先生!」を読んでいるときずっと切なくて、ヒヤヒヤしてた。

もちろん、二人がラブラブな時はキュンキュンしまくっていたけど、でも文庫版11巻を通してずっと、ざわざわして、どうにか二人がうまく行くように願っていた。

まるで自分が恋愛をしている最中のような不安が、ずっと胸から離れなかった。

それくらい感情移入させられるということは、この作品は、人物・感情描写がとてもうまいんだと思う。

「怒ってないよ 島田も お前くらい不満を言ってくれればと思うよ」「いやみ!?」「いやみじゃないよ」

伊藤と島田の親友である千草の会話です。
彼氏だから頼ってほしい伊藤なのですが、生徒だという負い目から、迷惑をかけたくない島田はあまり我儘を言わない。
頼ってほしいなんて幼稚な不満をそのまま本人にぶつけるほど、伊藤もガキではない。
この辺、島田は聞き分けのいい女すぎるし、伊藤はいい男すぎるんだよな。
この二人似た者同士だよね!!!

しかし「いやみじゃないよ」のコマの伊藤の気だるげな色気えぐいわ~色気あるんだよな伊藤……。これで27かよふざけんな!

あと2回読み返して気づいたのが、島田は伊藤を「先生」と呼ぶのですが、他の先生のことは「中島(先生)」などと呼び捨てor呼び捨て+先生なのです。

島田にとっての「先生」は、伊藤だけなんだろうね。

あと私の性癖の問題ですが、名字よびが好きなので、同級生はみな島田の事を響という名前で呼ぶにもかかわず、付き合っている伊藤は「島田」と呼ぶのもぶっ刺さりでして……。
(そりゃ伊藤のキャラ的に、付き合っていると言えど、ほかの生徒を差し置いて響と呼ぶわけないんだけど、むしろそこも神)

長くなってきたから最後に一番の萌えポイントを伝えます。
こちら!

「好きな女の気持ちが少しずつ離れていくのを側で見てろと?」

っか~~~~~~~!
言わせて言わせて言わせて!!!!!!!!

私が!伊藤を好き!なの!は!

付き合っていると言えど、10歳近く年下の生徒である島田のことを、他人に何と思われようが構わず

「好きな女」だと他人に言えるその男っぷりなんだよ!!!!!!!!!

10歳も年下に本気になっていてきもいと思われることが分かっていてなお、それでもかまないという本気度が伝わってきてだな!!!!

しかも普段無口でこんな非常識なことは言わなさそうなのが余計にだな!!!!

生徒と付き合うリスクを冷静に理解しながらも、彼女にするその情熱と覚悟が私は本当に好きだ。

しかも先に好きになったのは島田なのに、そこにマウントが一切ないのも……本当泣ける……泣けてきた。

さらに自分は今まで女性経験があるのに対し、島田は初恋・初彼氏だから、それを慮る姿勢とかさ……。

もはや神様なんですけど……。

あと友達の千草、男友達の浩介、美人の中島先生など、主要キャラもかなりよい……。

長すぎるのでこの辺でたたむけど、

『名作』少女漫画であると思いますし、少女漫画というカテゴリでは1位ですと言いたかった。

ただ、「BANANA FISH」が少女漫画であるため、惜しくも2位としたいです。

『恋愛』漫画カテゴリではまごうことなき1位をささげたいと思う。

公衆電話と固定電話、先生は教室で煙草を吸い、暴力なんか普通に描写される、平成初期感満載の本作ですが、今読んでもあせない魅力。
何度でも読み返したくなる魅力。

『名作』という冠は、時代や回数に縛られないからこそそこに掲げてよいのだと私に教えてくれました。

少女漫画、恋愛漫画好きの人はもちろん、日本の漫画が好きな人は絶対に読むべき。後悔はさせません。

少女漫画のイメージが変わりますよ。
どうか騙されたと思って、読んでください。


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