紫金山・アトラス彗星撮影記-1 太平洋編
待ちに待った大彗星 紫金山・アトラス彗星
紫金山・アトラス彗星は2023年1月に中国の紫金山天文台が、その後南アフリカ共和国の小惑星地球衝突最終警報システム アトラスが発見、私がその情報を目にしたのが今年の3月のことでした。
その頃私は70年の周期彗星、ポンス・ブルック彗星を追い求めていました
この彗星は1812年にポンスさんが、さらに1883年にブルックさんが発見した事からポンス・ブルック彗星と名付けられているそうです。
ポンス・ブルック彗星は残念ながらあまり明るくはならず地球から遠ざかっていきましたが、今回の紫金山・アトラス彗星はかなりの明るさになるという予想だったので、とても心待ちにしていました。
ポンス・ブルック彗星
2024年4月に撮影した「細い月とポンス・ブルック彗星」を載せておきます。
9月 紫金山アトラス彗星 無事に近日点通過
彗星は「汚れた雪だるま」という異名を持ち、太陽の近くを通過する近日点(2024.9.28)を境に熱で崩壊する可能性があり、7月時点で崩壊してしまったという情報を目にして、ガッカリしました…
幸いこの情報は間違いだったらしく、順調に地球(地球最接近の近地点は 2024.10.13)への旅を続けているとのことで一安心。
2024.10.1 初対面‼️
記録的な大雨と激暑が続き、秋になっても雲が多く、天候に恵まれることの少ない空模様が続きましたが、日の出直前のわずかな時間、東の空(太平洋側)にその姿をとらえるチャンスが到来❗️
2024.10.1 日の出前、ついに初対面を果たしました。
「汚れた雪だるま」から放出されるチリが太陽の光を浴びて輝くダストテイルをカメラのモニターで捉えることができ感動しきりで寒さも忘れるように夢中でシャッターを切りました。
私の彗星撮影歴
・2013年11月 アイソン彗星
私が初めて天体写真と言える写真を撮影できたのは2013年のアイソン彗星の時でした。
その2年前、あの東日本大震災の津波により自宅を流されて、これから先の生活再建のために必死だった頃のことでした。
そんな中で、目に飛び込んできたのが大彗星になると予想されるアイソン彗星の情報でした。アイソン彗星は、史上最も明るくなった1680年のキルヒ彗星と軌道が似ている事から、2013年11月には満月の明るさを超える大彗星になるということで、被災した私にとっては密かな希望の光でした。
そもそも私は風景写真専門で、星の撮影方法は適当、ピントを合わせるのに精一杯でしたが、カメラのモニターで、その姿を確認できた感動は今でも忘れられません。
マニュアルで大きめの星にピントを合わせて、望遠レンズ300mmで真東の空を撮影しながらモニターで確認すること数枚。運良く尾を引くアイソン彗星を見つけることができた時は寒さもぶっ飛んて、一人で大興奮していました!
・2021年12月 レナード彗星
2021年12月には肉眼で見える明るさまで明るくなり、4等級前後まで明るくなると予想されていたが、実際はカメラモニタでさえ探すのがやっとでした。
うしかい座のなかの一等星アクトゥールスの近くにあるという情報を元になんとか発見しましたが思いの外、高度が高く小さすぎて気分も上がらず、ひたすら寒かった記憶が残っています。
次回の彗星チャンスに備えて
2024年の天文界隈を大いに賑わしてくれた紫金山・アトラス彗星は、「天の川も撮影できるほどカメラの性能UPがアップしたスマホ」と「肉眼での観測できるほどの明るい彗星」が出逢った彗星でした。
今は日毎に地球から遠ざかりスマホでの撮影は難しいと思いますが、天候が良ければ今夜も天の川と紫金山・アトラス彗星のコラボを撮影に出かけようと思っています。
私の2012年からの彗星撮影歴を振り返ると、彗星撮影のチャンスはこれからもそれほど遠くない3,4年周期で訪れるのではないかと思います。
今回逃してしまった方も、今後の彗星情報にアンテナ張っておきましょう。私は4年前のネオワイズ彗星の時はアンテナ不足で自然風景ばかり追いかけていたことを後悔しています。
それから明るくなる彗星は太陽の近くを通るので、日の出と日の入りの低空を望める眺望の良い場所を日頃からチェックしながら星空撮影に慣れておく事もポイントだと思います。
次回、西の空編につづきますのでよろしくお願いします。