中国OEM 1688工場選定完全ガイド 【2021改定版】
今回は日本人セラーが中国OEMを始めるにあたって大きな障害になりがちな中国メーカーの選定の仕方について具体的にお伝えします。
特に今回は1688からの仕入れに限定して、どのように1688上で良い工場を探せばいいのかという点を書いています
皆さんの1688仕入れの参考になれば幸いです!
※2021年7月最新版へ改定しました(2021.6.30)
自己紹介
ばやし(@muraba1)
2004年~2016年 日本メーカーの中国駐在として中国市場開拓
2016年~現在 イマチュウ代表として中国向けプロモーション、中国進出サポート、上海起業家シェアハウス運営、自社ブランド品販売 等
私は中国で15年以上生活しており、中国工場からの仕入れや新商品開発にも携わっていましたのでそのやり方をまとめました。
こういう人におすすめ
今回はアマゾンOEM等で中国仕入れを行っている方に向けて工場発注前の段階で良い工場をどのように選べばいいのかお伝えできればと思います。
以下のような人には参考になる部分もあるかと思います
中国OEMの流れは大きく以下のようになりますが、今回はその中でも仕入れ先リサーチの部分(1688からの仕入れ)についての詳細説明ですね。
既に1688から仕入れている方は自分の取引している工場がどのようなレベルか理解するのにも役立ちます。
中国OEMをされている方の多くは1688から仕入れているケースが多いと思いますが仕入れ先の選定や良い工場を探すのに苦労しているという話はよく聞きます。
実際に1688で商品リサーチをしてみると分かると思いますが同じ商品画像で販売をしているメーカーが何社も出てきます。
同じ写真を使用しているケースが多いので、このなかからどのメーカーが品質レベル、管理レベルが高く、発注先として最適なのかを判断することは困難です。
ですので写真以外の部分(製品の情報、工場の情報)から判断する必要があるのですが、1688ではそのあたりの情報が網羅されていますのでしっかりと分析することで良い工場を選ぶことが可能になってきます。
一番失敗するパターンは
・画像検索で出てきたメーカーで一番安い所に発注する
これはかなりの確率で失敗することになるので注意が必要です。
では具体的にどのようなポイントを見ればいいのか?
今回の本題の部分になりますが、今回は5つのポイントについて説明をしていきたいと思います。
【1688工場選び5つのポイント】
①1688の会員ランクで選ぶ
②店舗取引額を確認する
③工場詳細情報を確認する
④他店舗との比較データから調べる
⑤チャットツールを使って確認する
1688の仕入れにおいては100%確実な方法というのはありませんが、今回お伝えする内容を総合的に判断して仕入れ先を決定する。というやり方が失敗しない工場選びになってくると思います。
では早速5つのポイントについてまとめていきます
①1688の会員ランクで選ぶ
1688では会員ランクに応じてマークが表示されるようになっています。
会員ランクは
・実力商家(牛マーク)
・誠信通(誠マーク)
・無料会員
という3段階で分かれています
1688の商品ページを見ると左下に牛マークや誠マークがついているのが分かるかと思いますがそれらが会員ランクを表します。
・実力商家は会員レベルでは最上級で安心感高い
1688で実力商家になりたいと思ったらプラットフォームの定める基準に達していないと実力商家になることはできません。
つまり購入する側から見ると、それらの一定基準をクリアしているのが実力商家であり、そういった意味では他のマークの工場と比べても安心感があるといえるでしょう。
・実力商家は年会費約60万円払って会員になっている
実力商家の店舗は年会費をプラットフォームに支払っているのですが日本円で約60万円の年会費を払っています。
年60万円払っても採算がとれるほど売上、利益を上げていると考えることができるのでそういった意味でもある程度の売上規模、実績があり良い店舗が多いと判断することもできそうです。
・誠信通会員は年間約11万円支払っている
誠信通会員だと約11万円の会費となります。一概に実力商家の方が良い店舗が多いとは言えませんが、プラットフォームに払っている年会費に差があるということは理解しておくと良いでしょう。
・部品や資材関係は工業品牌を選ぶと良い
少し会員ランクから逸れますが工業品牌というマークも1688には存在します。
商品紹介の左下に黒色の牛マークがついているのが工業品牌です。
これは部材や資材関係の店舗の会員ランクを表すマークなんですが、実力商家と同じく年会費は約60万円必要となります。
完成品ではなく、製品に使うネジや接着剤、部材や材料等のメーカーを探す時はこの「工場品牌」を目印にすると外れが少なくなると思います。
工場品牌は1688内のトップページ以外に工業品牌独自のサイトがあるので、1688で検索しても出てきますし、工業品牌で検索しても出てきます。
ですので仕入れ先を探す際にも、部品を探す時は工業品牌で探すのが便利ですよ。
会員ランクで選ぶ時のまとめ
・実力商家(工場品牌)・誠信通・無料会員のランクで規模を判断
・実力商家(誠信通)基準に達している店舗かどうか
②取引額を確認する
1688のサプライヤーレベルというのを見ることで店舗の取引金額が分かります。これを見るとその店舗が月間どの程度売上があるか分かりますので購入の際の指標になるかと思います。
取引額が増えるにつれて表示されるマークも変化していきます。
マークでみるのはこの2つの部分
交易勋章と供应等级のマークを確認しましょう。
簡単に説明すると
①供应等级は店舗の累計売上額
②交易勋章は最近30日の売上額
が分かります
※実力商家は交易勋章マーク出ません
①供应等级の見方
供应等级マークは累計取引額が大きい方から順に
王冠マーク
ダイヤモンドマーク
星マーク
とランクが上がっていきます
例えばダイヤモンドが3つついている店舗だと、月間の取引金額が50万元(約800万円)~120万元(1900万円)あるということになります。
店舗運営実績が長いにもかかわらず極端に売上規模が少ないような店舗は避けた方が無難かと思います。
②交易勋章の見方
交易勋章マークは下図のようにA の数で表示されます。
30日の取引金額は以下の通り分かります
A1個‥‥1万元以下
A2個‥‥1万~10万元
A3個‥‥10万~30万元
A4個‥‥30万~100万元
A5個‥‥100万元以上
30日間の売上がどの程度あるかでその店舗の規模が分かります。誠マークのメーカーで比較する際にこのマークで売上規模比較するのが良いでしょう。
取引額で選ぶ時のまとめ
・供应等级マークで累計売上を把握する。星、ダイヤ、王冠マークで累計取引規模が分かるので、取引額が多い方が安心感がある。
・交易勋章で30日の売上を把握する。Aマークが多い方が売上規模が多く人気店舗と分かる。
③工場詳細情報を確認する
1688では実力商家の店舗情報であれば詳細情報がかなり細かく掲載されています。また工場内の写真や過去裁判履歴や商標の件数等も載っていますのでこの部分はしっかりと確認しておいた方がいいでしょう。
1688の店舗情報タブから下図の「査看認証報告」ボタンを押すと詳細報告が確認できます
または商品ページに「験場報告」のマークが付いていればそちらからも確認できます
見ることのできる情報は多いのですがその中でもポイントをいくつか紹介します。
・アリババの企業信用調査ランクで企業調査
このようにアリババ独自の指標(企業基本情報、経営能力指数、取引履歴、サービス対応能力)で判断され企業の信用度が1000-2000点で数値化されます。
5段階評価で評価の高い方から順に以下のように表示されます
AAA ‥‥ 評価最高ランク 1688同業種で上位10%以内に入っている
AA ‥‥ 評価ランク良い 1688同業種で上位30%以内に入っている
A ‥‥ 評価ランク普通
BBB ‥‥ 評価ランク良くない
BB ‥‥ 評価ランク悪い
商品仕入れする際に取引する上で会社としての信頼度評価も重要となりますので長く取引できる企業をこういった指数を見ながら探すのが良いでしょう。
・工場取引データを確認することでその工場の実力が分かります
「信用記録」のボタンからその店舗の取引数、販売数、リピート率、出荷速度、返品率、トラブル発生率等が分かります。
この指数は実施に取引を行っている指数なので参考になるでしょう。
返品率が多すぎる店舗だとやはり品質が不安定だったり、出荷速度が速い店舗だと取引がしやすいなどイメージがしやすくなるでしょう。
・顧客レビューは重要な確認ポイントになります
アマゾンと同じように1688もバイヤーがその商品の評価をすることができます。その統計データを実際に見ることができますのでこのレビューは是非チェックしておきましょう。
上の店舗レビューをみると、過去31.8万件のレビューを獲得しており、その平均が4.9と高い数値になっていますので店舗としての信頼度は高いと判断できそうです。
・工場の中を360度カメラでみることができます
生産現場の様子が360度カメラでみることができます。1688では商品ページを見ても実際にどういう所で作っているのか見ることができずに不安に感じることも多いですが、こういった生産現場の写真を見ることで工場の規模間、作業環境、保有設備、管理体制等を理解することができます。
工場詳細情報を確認する時のまとめ
・アリババの企業信用調査で企業としての信頼度チェック
・実際の取引データから判断
・レビューから判断
・現場写真から判断
工場詳細情報は第三者機構によるチェックになりますので信頼性高いですし、詳細情報もわかるので取引を進められる際には事前にしっかりと確認することをおすすめします。
④他店舗との比較データから調べる
これは商品紹介ページに出てくる4つの指数についてのポイント説明です。1688でOEM生産をしようとしたとき、画像検索をかけたら同じような商品を取り扱っている店舗がたくさんありすぎてどこに発注したらいいかわからない。というケースが多いです。
その際にはこの4つの指数で最初の比較をすることがおすすめです。そしてその中で何店舗か選んだあとで、前述した工場詳細や取引データなどを見て比較していくのが良いと思います。
見る比較数値は4つで以下のようになります
中でもリピート率やステータス一致率が高いと商品が良いと評価されているケースが多いので参考材料になると思います。
%で表示されているのは同業他社と比べての評価なのでこれらの評価が全体的に高い店舗を選ぶのが良いでしょう。
多店舗との比較データから調べる時のポイント
・同業他社と比べて相対的に良い%になっているかどうか確認する
⑤チャットツールを使って確認する
1688についているチャットツールはOEM仕入れにおいてもすごく役立つので是非まだされていない方は挑戦してみてください。
下図の商品右下に出る水滴のようなマークがチャットツール「アリワンワン」になります。
このツールを使うと店舗担当者と直接チャットのやり取りが可能となります。
相手が中国の方なのでハードルは若干ありますが、翻訳ツール(DeepLがおすすめ)等を使えばやり取りは可能ですし、仕様の説明やサンプル入手等のスピードはかなり上がると思います。
多くの店舗ではチャットの返信はとても早いので気になったことがすぐに解決できるケースが多いでしょう。
その他のポイント
その他に工場選びの参考になるポイントとしては
・検索時に実力商家(工業品牌)に絞る
画像検索ではなくキーワード検索の際には会員ランク別の検索も可能なので実力商家だけを選んで検索することも可能です。
・返品保証している店舗にする
購入した商品が気に入らない、問題があったときに返品、返金対応はスムーズに行いたいですが、1688では店舗によっては7日間の返品保証を約束している所もあります。
ただし、返金保証ではなく返品交換保証なので返金等については別途相談となるケースが多いです。
・自社工場での生産品にする
1688の商品は自社工場で作っているものもあれば、商社のようなところが仕入れてきて販売しているケースもあれば、個人で販売しているケースもあります。
上の図の「生産加工」と書かれている店舗は自社生産という意味になりますので仕様変更やOEM等も対応してくれるケースが多いです。
ただ生産加工と書いてあっても実際は外から仕入れているだけのケースも多いのでその見極めは今まで説明した工場選択のポイントを組み合わせて確認した方が良いでしょう。
失敗しない工場選び まとめ
OEMを取りかかるにあたり1688で仕入れをするケースが多いですが、仕入れ先選びに苦慮されている方のために自分が実践している工場選びの方法をまとめました。
今回紹介した内容はどれか一つだけ見ればいいというのではなく、これらを相対的に見て判断するというのが良い工場を探すポイントになってきます。
OEM生産において中国側で良い工場と出会うのは成功と失敗を分ける大きなポイントになってきますので是非良い工場選びができるように実践してもらいたいです。
中国仕入れをされている方の参考になれば幸いです!