津軽海峡冬景色、で当社に幸が来た

~あらすじ~
20年勤めてくれていたベテランさんがおやめになる。
やべーどうすっぺと募集を掛けたら、
「え、何でこんな人が未だに職さがしてるのん。。?」
って人が来て、
色々聞いたら「もったいねー!!」と叫んだ話

私には小学1年生の息子がいる。
朝はご飯や着替えや勉強や、
「もうすぐ行く時間だよー!」
と、日々朝は大忙し。

「行ってきまーす!」と大声で彼が出かけると、
妻と二人で少しホッとする。
ある日、ホッとしてふと思った。

「あれ?来年からBさん、無理じゃね?」

Bさん
当社で20年程勤務頂いている事務の方。
2022年4月から小学生に上がるお嬢さんを持つママでもある。
毎日お嬢さんを幼稚園に預けて出勤し、
Bさんのご両親がお迎えして、
帰宅途中にご両親の家に行ってお嬢さんを引き取り、
帰宅して家の事をこなしてらっしゃる。

お嬢さんが小学校に上がったら、
このライフスタイル無理だよな。
そこで聞いてみた。
案の定、「実は。。」と切り出され、
2021年いっぱいで辞めたいと仰った。
(この時21年7月)
時短とか色々提案したが、

「あ、これ以上引き止めちゃダメだ」
そう思わされたのが、Bさんに、

「朝、娘の髪の毛を縛る時間もない」

と言われたこと。
その日一番お嬢さんを可愛くできる時間が持てない。
これは辛いだろう。

と言うわけで、豊田市にある


豊田市女性仕事テラス「カプチーノ」
に求人を掛けることにした。

豊田市女性仕事テラス「カプチーノ」
https://toyota-terrace.jp/
現在の豊田市長である太田 稔彦氏が、
「豊田市を女性が輝ける街にしたい」
との思いで設立された、女性向けの就労支援機関
セミナー等も活発だが、最大の特徴は、
求人を出した企業を、コーディネーターが必ず訪問して、
人事担当や人事権を持つ企業側の想いを
事細かにインタビューして、
生の声を求職者の方に届ける事。

一か月ほどして、コーディネーターさんから
紹介したい方がいると連絡をもらい、見学に来て頂くことにした。

ちなみに当社では、転職の方もパートの方も
面接前に必ず見学に来て頂くことにしている。
求職者の方と企業は、対等な立場であり、
こちらとしても、
会社のありのままを見て頂き、
当社を選んで頂きたいという思いから。

来て下さった方が、
今当社で勤務頂いている、Nさん。
一見して、垢抜けた人が来たなと思った。
一番Nさんに聞きたかったのが、
コーディネーターさんから事前に伺っていた、
「今は自営業なさってます」の中身。
そしたら驚いた。

何と、十数年、
ご自宅でハンドメイド品を作り、
ご自身のECサイトで結構な数販売されてたとの事
今でこそ、BASE等の個人がECサイトを持つサービスは色々あるが、十数年にはない。
その点伺ったら、
「サーバーレンタルして、ビルダーでサイト作って、ブログで集客して売っています」
とサラッと言われた。

一にも二にもなく、
「凄すぎますよ。すぐに面接させて下さい。
いやもうぜひウチで働いていただきたいんですが、
(勤務条件等明記した)オファーシート提示させて頂きますので。」
で、後日、
事務所の班長と、面接について打ち合わせしていたところ、
「PCスキル見せてほしいよね」
と言う話になった。
エクセル使ってもらおうか、どうしようかと話していて、
「タイピング出来たら、PCスキルあると判断していいんじゃない」

で、タイピングして頂いた。
【津軽海峡冬景色】の歌詞を。
(一体どこの世界に面接で津軽海峡冬景色を
タイピングさせる会社があるのか)
実際やって頂くと分かるが、
結構難しい。
私で3分、
当社のタイピング早い方で2分半、
他2名やってもらったが、皆途中で諦めた。

当日、Nさん、2分20秒
当然即採用である。

ご本人も採用させて頂くことを本当に喜んで下さり、
こちらも非常に嬉しかった。
ご紹介下さったカプチーノのコーディネーターさんに、
お礼がてら報告させて頂いた際に、
一つどうしても気になっていたことを質問した。
それは、

「昨今多くの会社がデジタル化を標榜するうえで、
Nさんってうってつけの人財のハズ。
なぜ、このような人財が未だに求職活動をなさってるのか」

「実は、、、」と教えてくださった内容に、
非常に驚いた。

実はNさん、
当社に来ていただく前は、結構な会社の面接を受け、
ことごとく不採用だったそう。
理由が二つ。
一つは年齢。
人様の年齢を大っぴらにするのも何なんだが、
4?歳。まずここで跳ねられたそう。
そしてもう一つが、
先ほどの自営の話。これが
「え、ただの趣味でしょ」
と受け取られてしまったそう。

非常にもったいないと思う。
年齢にしても、人生80年、まだまだこれからである。
また、趣味だろうが何だろうが、
自分で看板掲げて人様に一つ物を売るのがどれだけ大変か。
加えて、
Nさん、これは入社して頂いた後知ったのだが、
VBA(マイクロソフトの自動化ソフト)が
めちゃめちゃ使える。
以前派遣でVBAを日々使ってらっしゃって、
その経験も、派遣が職歴と見なされなかったそう。
#なんと勿体ない

以前、【デジタル化人財はそこにいる】と題した記事を書いた。


デジタル化のみならず、
「この方が入社してくれたら、
どんな未来が描けるか。」

そんな視点が、これからの採用には必要になるのだろう。

石川さゆりさんが歌った津軽海峡冬景色は、
冬の歌、別れの歌。
冬の次には春が来て、別れの次には出会いがある。
今まで頑張ってくれていたBさん、
新しく入社してくれたNさん、
別れと出会い、その先に、
さて、どんな春が来るだろう。



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