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妊娠とキャリアの狭間、距離ができてしまった友人。
さきちゃん(仮名)とは、ずっと仲が良く、10年以上喜びも悩みもたくさん共有してきた。
月に1回程度、仕事帰りに会い、担任している子どもたちのこと、授業づくりのこと、取り組みのこと、恋愛のこと、パートナーのこと、休日の過ごし方、これからやりたいこと、話題は尽きなかった。たくさん話をしてきた分、お互いの性格や好みなど熟知して理解しあっていたし、これからも変わらずその関係性は続くのだと疑ったことはなかった。
しかし、彼女とは距離ができてしまった。
決して、喧嘩したり仲違いしたりして仲が悪くなったわけではない。
けれど、以前に比べ確かに開いてしまった距離を考えると、何だか心に隙間風がふくような心持ちになる。
なぜなのか。いつからか。
わたしの中でその答えははっきりしている。
わたしが妊娠してからだ。
わたしのお腹に命が宿ったことを報告したとき、眉尻を下げたいつもの人当たりの良い笑顔で「良かったやん!」と喜んでくれたさきちゃん。
「妊娠できるように何か、していたことある?」
最近はまっていることはある?というような、明るいテンションで彼女は聞いてきたっけ。妊娠した身としてマウントにならないように、少しでも不快な気持ちにさせないように、
「葉酸と鉄がいいらしいからサプリを飲んでいるよ」
と健康のためにビタミンCをとってるよ、みたいな何でもない調子で返した。
もしかすると、表面上の言葉以上に彼女の中で深刻な意味をはらむものだったのかもしれないな、なんて後から思ったけれど真偽のほどは分からない。
ちょっと思いの外、センシティブな内容になってしまったかつ、結構わたしの個人的なことも含むのでここから有料とします……。
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