看護師が双子の乳児期の育児を終えて思うこと
初めまして。
4歳の双子の男女を育てている、看護師です。
双子を育てるってどういうことなのでしょうか。自分自身の経験を振り返りつつ、書いてみました。
私自身小さなころから双子の友人がいました。同じ年の兄弟っていいな。学校で忘れ物しても借りられるなーなんて憧れていました。
就職してからもその方自身が双子の同僚にも出会いました。仲が良くて友達みたいで本当にうらやましかったです。
また、私より1年先に双子を出産した同僚や、実は周囲の人の兄弟、親戚が実は双子、という声もたくさん集まってきて、今や双子は珍しくも何ともないのだ、ということを肌で感じました。双子はなんだか楽しそうだ、という感覚だけで、彼ら彼女たちが生まれた時、そのお母さま方がどのような状態であったかまでは想像することもありませんでした。
私自身、双子の妊娠は晴天の霹靂でした。ですが知った時にはやっぱり嬉しさが大きかったです。1人でも授かれたら……と思っていたので。
妊娠当時は子育てをそんなに不安には思っていませんでした。これまでやってきた看護師という仕事以上に大変なことが、今後自分の人生に起きるとは思っていなかったからです。夜勤という勤務体制や、緊急入院、急変、不穏になった患者さんの対応、ナースコール、人間関係等々といった病院ならではではありますが、修羅場をくぐってきた自負がありました。「赤ちゃんが夜起きる?かわいいじゃない。オーケー付き合いましょう」みたいな気持ちだったのです……。
しかし実際は……。とんでもなかった。
まず夜勤は明けます。明けない夜はないんです。
緊急入院、急変、場合によりますが、たいていチームで協力します。医師に相談し、指示のもと動けます。不穏になった患者さんには、スタッフで相談し、より良い環境づくりに努めますし、何より対応は自分の勤務時間に限られます。
転じて双子新生児~乳児期の育児。
朝も夜もなく泣き続ける。授乳、授乳、授乳、おむつ、おむつ、おむつ、抱っこ、抱っこ、抱っこ。哺乳瓶洗って消毒、消毒から出してミルク作って抱っこ。ミルク。おむつ……。
沐浴して授乳。おむつ。
自分が24時間の間、まとめて眠れる時間は2時間あればよいほうです。
1日中、部屋の中で小さな赤ちゃんの生命維持に努めています。
一番の責任者は自分です。小さくてへにょへにょの我が子をそっと抱いて、呼吸、脈拍を感じます。同時に泣いても同時に抱けず、愛情が足りていないような気がして自分を責めます。
帝王切開した傷は、じくじく痛んで鎮痛剤の効果も気を紛らわす程度だし、大きく伸びた子宮が戻っていくのってこんなに痛いんだ、と涙して。双子を育てたお腹はもとに戻るのに時間がかかるようで、尿意を感じるようになるまでに数か月かかりました。
初めての授乳で乳首は擦り切れ、保護クリームを塗ってこらえる。
眠い、痛い、疲れた。眠い、痛い、疲れた。
家の中にいるのに休んでいる状態ではありません。常に気を張っています。
もう夜勤どころではではありません。終わりが来ない勤務です。
しかも手術後の傷を負った身体です。十分な睡眠をとらず、産後のホルモンバランスが崩れている状態で他者の面倒を見るのです。2人も。
おかしくならないわけがない!!!!
一通り授乳やおむつ替えを済ませても、泣き続ける我が子を前に、あー、これ…口おさえたら泣き止むよね…。と、ぼんやりする頭で思ってしまったことも事実です。
とはいえこれでも母や、義母の助けを借りていたのです。それでも、それでも大変でした。
手伝ってもらっていてありがたいのに、自分の思うような育児が出来ず歯がゆいこともありました。実の母と大喧嘩してしまったこともありました。相当に張りつめていたんですね。
後に子供が10か月の時に、5か月間夫が育休をとることになりました。1歳3か月で育休が明けると同時に、私は看護師の仕事を再開し、「院内保育所」という助けを借りることが出来て、この切羽詰まった状態は脱していったのですが……。
私は何とか、この時期を脱しました。何とか助けがあったから。
でもギリギリでした。今、もしかしたら一人でかんばっているお母さんがいるかもしれないと思うと気が気ではありません。
3年以上前のこの大変だった時期を、あの時は赤ちゃんでかわいかったね、双子ちゃんだから一気に育ってよかったねで終わらせたくない。一気に育てるってとても大変な事なんですよ。
仕事だって超過勤務したら、超勤届出さないと現場の大変さは伝わりません。
何かヒヤリ、ハッとした、危ないことがあったのなら、インシデントレポートを出さないと、また同じような事が起きる可能性があります。
仕事に絡めてしまいましたが、そんなレポートのつもりで、書いてしまいました。
私は双子の育児、自分一人では無理でした。家族のサポートがあっても、大変な事が多くありました。
多胎が珍しくない今、家族だけではないサポートの必要性を強く感じています。
もちろん多胎に限らず、すべての子育てしている人に必要ですが。
頑張ってハイリスクな妊娠期をこえて産まれてきてくれた命です。
どうか無事にすくすく育ってほしい、と思います。微力ながら、赤ちゃんを育てるお母さんたちが、笑って過ごせる世の中を作りたいと思っています。