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「食べる映画会」は美味しかった

NAGOYA CINEMA Week

NAGOYA CINEMA Week」とは、今年11月3日(日)から9日(土)まで開催されたスターキャット主催の映画祭である。

スターキャットとは、名古屋にあるケーブルテレビの会社なのだが、元は映画配給・興行会社でもあったヘラルドグループの関連企業であり、ヘラルドグループ解体後、伏見ミリオン座・センチュリーシネマという2つの映画館を引き継ぎ、運営している。

この伏見ミリオン座・センチュリーシネマで開催されるイベントは、なかなか意欲的なものが多く、常日頃から注目している。

そのスターキャットが主催した「NAGOYA CINEMA Week」の映画会のひとつ「食べる映画会『リンダはチキンがたべたい!』トーク&お弁当付き特別上映」に参加してみた。

参加理由は2つ。ひとつは自宅近くの映画館だったこと。もうひとつはお弁当つきだったこと。映画見て、ランチ食べられるならお得なんじゃない?という、かなり動機はライトだった。

映画館にて

映画『リンダはチキンがたべたい!』は、昨年制作されたフランスのアニメ作品。幼い頃に亡くなった父が作ってくれた「パプリカチキン」を食べたいと、主人公のリンダが強く強く望んだ結果、多くの人を巻き込んで、騒ぎはとんでもない規模にまで発展していく。流石、自由を愛するフランス人。リンダ他、登場人物たちの頑固さや奔放ぶりには、脱帽というほかない。

映画終了後、グランドフードホールのバイヤー谷直樹さんと星が丘テラスの方のおふたりによるトークショーが行われた。おふたりの食に対する熱い語りに、思わず引き込まれる。

グランドフードホール星ヶ丘店は、昨年10月に星が丘テラスでオープンしたばかりだ。開店当時にぐるっと見て回ったのだが「高くて品ぞろえが少ない」と感じ、その後、訪れたことが無かった。しかし、トークショーを通じて、この「高くて品ぞろえが少ない」のは、ひとつの品種に対してひとつの商品しかセレクトしないという、妥協しない食へのこだわりと愛情の結果なのだと理解した。

そのこだわりと愛情については、グランドフードホールの「THEORY」ページを読んだ方が良いとは思うが、正直、このページの文字を読んでも、あのトークショーで得た情熱は得られない。肉声の大切さをひしひしと感じる。

苦手な食材が美味しい

グランドフードホールの力を一番感じたのは、嫌いな食材が美味しくいただけたことだ。

例えば、トークショーの最中に提供されたトマトジュース。生のトマトは子供の頃からおやつ代わりに食べていて、とても大好きな食材ではあるのだが、トマトジュースとなると全くダメで、一口以上飲めたことがない。

なので、配布された真ん中にあるトマトジュースを見た時、「飲めるかな」と心配だったのだが、これが驚くほどフルーティーで甘くて飲みやすかった。更に驚くのが、トマトそのものがダメな夫が、隣で「美味しい」と言って飲んでいたことだ。

商品名は「トマトの中のトマト」。なんでも20年以上かけて作った土で栽培しているとのこと。トマトの品種は特別ではないらしい。農業、奥深い。

トークショー終了後は、映画館を出て、向かいにある星が丘テラス「ザ・キッチン」に移動。映画でリンダが食べたくて食べたくて仕方なかった「パプリカチキン」をメインとしたお弁当をいただいた。

ほんのり温かいお弁当のお肉は柔らかく、他の食材も含めとても上品な味付けで、美味しくいただいた。

これ以外に、試食用食品が3点、いただけた。そのひとつが、ローストビーフである。

実は、私、牛肉が苦手。独特のにおいがダメで、一口で食べられないことも多々ある。今までで美味しいと思った牛肉は、とある高級なお店の高級なステーキだけ。ローストビーフも美味しいと思うものに出会ったことが無い。

だから、こちらも提供いただいた際、密かに「ローストビーフかぁ」とちょっと身構えてしまったのだが、口にしてみたら、臭みもなく、舌触りも滑らかで、とても美味しかった。びっくりである。

牛乳もたまに臭いが苦手なものがあるのだが、今回提供いただいた生乳とお砂糖だけのソフトクリームも美味しかった。

乳化剤・安定剤を一切使っていないということで、ほんの少しシャーベット感があるのだが、味はあっさりしていて、後味すっきり。ちなみに安定剤がないので、すぐ溶ける。でも、それが口の中でとろける心地よい感覚に繋がる気もする。

試食はもうひとつ、マッシュルームとクリームスープがあったのだが、食べるのに集中してしまい、写真を忘れた。もちろん、とても美味しくいただいた。

お弁当と試食の数々ですっかりお腹がぽんぽんになった私たちは、その後、トークショーで提供された「赤いなつめ」と、冷凍食品「グラホのぶたまん」を購入して帰った。

映画を見に行ったはずなのに、すっかり食に満たされたひとときだった。タイトルは「食べる映画会」だったが、個人的には「映画鑑賞つき食事会」であった。美味しかった。

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