引っ越しを機に車を手放した
年間利用20回
コロナ前は車通勤だったのでほぼ毎日車に乗っていたのだが、2020年秋から在宅勤務となり、車に乗ることがぐっと減った。夫が昨年の自家用車利用頻度を調べたら、なんと、たったの20回。前々から漠然と維持費が勿体ないなぁと思っていたのだが、驚愕の少なさである。
調べる前までは引っ越し先でも駐車場を借りるつもりだったが、敷地内の駐車場がいっぱいで、借りるなら場所が少し離れることもあり、検討の結果、売却することにした。敷地内の駐車場が空いていたら、そのまま車を持っていったかもしれない。
オークションサイトに出品
売ることを決めたものの、さて、どうするか?なのだが、引っ越し業者からいただいた沢山の広告の束の中に車買取のチラシが入っていた。どうやらオークションで車を売る仕組みらしい。特にこだわりがない私たちは、そこで車を売却することにした。
手続きはすべて夫がしたので、詳細はよくわからない。私が立ち会ったのは、車の査定の時。買取価格を少しでもよくするために、事前にガソリンスタンドで洗車し、指定日時に指定場所へ車を持ち込んだ。査定時間は30分ほどだったと思う。オークション用写真も業者がその時撮影した。商品撮影ってとっても大変なので、それは楽でいいなと思った。
翌日にはオークションサイトに出品された。時間は7時から18時。入札の状況はネットで確認できるとのこと。16時頃、夫がチェックした時は最低価格を数千円下回っていて、夫はちょっとしょんぼりしていた。それを聞いて昔ヤフオクしてたことのある私は、終了間際に怒涛の入札で価格が上がるのを経験していたので、最低価格は超えるんじゃないかなとぼんやり思った。結果、最低価格を超え、引っ越し費用が賄える金額で落札された。
さよなら、私たちの車
落札された日は、引っ越しより2週間以上前。車は引っ越しの際に使うかもと思い、引き渡しは引っ越し翌日を予定していた。しかし、この車は今や商品だ。せっかく引っ越し費用が賄えるのに、傷をつけられたり事故ったりしたらその価値が無くなる。引っ越し先は地下鉄で一駅だし、自家用車が無くても何とかなると判断した私たちは、予定日を繰り上げて、落札の翌週に車を引き渡すことにした。
当日は生憎の雨。落札した会社の従業員の方がひとり、公共交通機関でやってきた。夫と必要事項の確認をしている間、ぼんやりその様子を見ていた私の頭の中では、何故か童謡「ドナドナ」が流れていた。
やがて引き取り業者は、私たちの車に乗って走り去っていった。見えなくなるまでiPhoneで動画撮影していた夫が、「ドナドナされていったね」とつぶやいた。どうやら夫の頭の中でも「ドナドナ」が再生されていたらしい。
車の維持費が勿体ないから手放せばいいとずっと思っていたのに、いざ引き取られるとなると少し寂しかった。約9年間、乗った車だ。もちろん思い出は沢山ある。その思い出を積んだ車が無くなるのが寂しいのか、それとも車を所有しなくなることが寂しいのか、そこはよくわからなかった。
そして、車のない生活が始まった
車は売却したが、免許証はある。車を運転することまで放棄したわけではない。
先日はレンタカーを借りて、明治村まで花見に行ってみた。走行中、車線はみ出しアラートが鳴った。手放した車には無かった装備だ。レンタカーで用意されるのは3年以内の車らしい。車の安全面に対する機能は年々向上している。古い車を乗り続けるより、新しい車を借りる方が安心かもしれない。
レンタカーは車検だ、故障だと頭を悩ませる必要もない。室内の清掃はいつでも行き届いている。他人の車を運転する緊張感はあるが、コスト面でもメンテナンス面でも安全面でもメリットは大きい。
以前「スーツケースひとつの理想」でも述べたように、私は出来る限りモノを持たない生活を理想としている。引っ越しを機に車を手放したことで、また一歩、理想に近づいたなと思った。
イメージ画像は、ドナドナされた車が納車された頃に撮影した写真。車の左側でピラーに手を掛けて立っている私がいたが、Photoshopで消してみた。人物を消しただけなので、フロントガラスやボンネットにある私の影はそのまま残っている。ある意味不気味。後ろの車や白い屋根は、言われてもわからないぐらいよく補われている。数年前まで、こうした作業って、とっても大変だったのに。AIすごい。