匂いの記憶
私はネコアレルギーである。愛猫・チャ太郎を飼い始めた当初は、目はかゆいし、鼻水は止まらないし、鼻のかみすぎでファンデーションはのらなくなるし、もう気が狂うかと思うぐらい大変だった。あまりに辛すぎて誰かとこの大変さを共有したいと思い、つい、mixiで「ネコ好きbutネコアレルギー」というコミュニティーを作ってしまった。今も存在はしている。ほったらかしだけど。
チャ太郎と生活し始めた頃は大変だった症状も、何故か次第に少しずつ軽くなっていき、やがて目のかゆみや鼻水はさほど気にならなくなった。ただし、なめられたり、爪先があたったりすると、蚊に刺されたようにぷっくり膨らむのは最後まで治らなかった。
そんなわけで、ネコを飼っている人がモフモフのネコに顔をうずめる「猫吸い」は、自殺行為な気がして一度もしたことがない。だから、ネコの匂いというのも感じたことが無かった。
ところが、昨年秋からチャ太郎が介護状態に入り、毎日そそうで体が汚れてしまうので、このままの状態で死なせるわけにはいかないと思い、毎朝キレイに体を拭くようになってから、チャ太郎から甘い匂いがするのに気が付いた。体調が悪い時はあまりいい匂いはしないのだが、体調が良い時は心地よい匂いがした。
そうか。ネコって、こういう匂いがするんだ。その匂いは体調のバロメーターにもなって、いい匂いがする時はとても安心した気持ちになれた。
でも、匂いって、記憶ができないものだ。言葉として「甘い匂いだった」と覚えているだけだ。具体的な香りは既にわからなくなっている。
11月に入って、友達から喪中はがきが届くようになって、我が家も今年は家族を失ったなぁと思った時に、ふと思い出したチャ太郎の匂いの記憶である。
トップのイメージ画像は我が家に来た時のチャ太郎である。ちっちゃかった。耳が大きかった。