夢ってなんだろうと思ったので夢主と話すことにした。【前書き】
初めまして。車庫と申します。突然ですが、私は2017年夏「KING OF PRISM」というアニメシリーズの香賀美タイガくんの夢女子になりました。そしてついにその感情が爆発してフォロワーを集めて私とタイガくんのアンソロジーを制作することになる。この文章はアンソロを作る上での所信表明みたいなものだ。次の【本編】ではアンソロに掲載予定の鼎談を一部抜粋して載せていきたい。
夢女子の定義についてはいろいろな意見があるだろうが、ここではニコニコ大百科にある概要を引用する。
夢女子とは、主に二次元(架空)の男性キャラクターとアバター(自分の分身)またはオリジナルキャラクターの恋愛作品を好む女性や、男性キャラクターに夢中になっている女性のことである。
1.自身がオリジナルキャラクター(アバター)になってキャラクターと出会い、恋愛や友情などの交流を楽しむ。
2.自身ではなく、創造したオリジナルキャラクターをキャラクターと出会わせて、第三者(神)視点で恋愛・友情などの交流を楽しむ。
「夢」というジャンルについて知識はあったし、夢女子の友人もいたから何となくわかっているつもりだったけれど、実際に自分の気持ちに気づいてみるとそれは全く未知の感覚でしかなかった。意味が解らな過ぎて、その頃の私は自分を作った博士に「コレ、ガ……カンジョウ?」と尋ねるアンドロイドぐらい毎日戸惑っていた。「推し」とは、似ているようで違っていて、気づいたらタイガくんのことを考えていて、果ては大学の教授にまで恋愛相談する始末(その節は聞いてくれてありがとうございました)。キョウジュ……コレガ、コイ?ワタシハ、ユメジョシ……?
夢女子の友人と互いの夢妄想を披露していくと同時に、私はなんとなく世間で定義されている夢女子との間に違和感を覚えていくようになる。引用の1で述べられている夢女子はモブっぽいキャラクター(いわゆる「無個性主人公」)をアバターに据えるタイプで、2で述べられているものは逆にキャラクターに個性を与えることでアバターのキャラを立ててキャラクターと交流させていくというタイプを指しているのだろう。おそらく、1は携帯サイトが流行った時代、夢創作の黎明期に多いタイプで2は刀剣乱舞の「女審神者」など最近よく見るタイプ…な気がする。強く断定できないのは、私が夢ジャンルを調べ出したのがここ数年なのと、夢創作について語った文献があまりにも少ないからである。こうして、他のジャンルの夢創作なども読んでいくうちに気づいたのは私は「私」のままで夢妄想したいということだった。チョコレートが好きだけどアボカドは嫌いで国語が得意で数学が苦手で背の低い関西弁でしゃべる女性としてタイガくんと夢したい(ちなみに友人もこのタイプだった)。
ただ、ここまで書いておいてなんだけれども、正直、私は夢女子を完璧に分類することなんてできないと思っている。1,2の大まかな傾向はあったとしてもどちらの領域に重なっている人もいるし、男性でも夢的思考を持っている人もいる。私だっていくらそのままがいいと思っても、現実と作品世界との齟齬を少なくするために自分を修正しないといけない。とにかく夢創作というものは多様だ。至極当たり前かもしれないが、キャラクターをまなざすチャンネルの一つに「夢」という思考を得て、私が改めて夢創作を眺めて出た感想がそれだった。
私はべつにキャラ×「私」が「真の夢創作」だなんて主張したいわけではない。散々あらゆる場で論じられていることではあるが、あまりにも夢的思考ひいては女性の情欲が軽んじられているから、少しでも「私は恋してますけど!夢って最高ですよ」と主張するために筆を執った次第だ。
次の本編では十月に行った夢主と非夢主のオタクとの鼎談を載せていく。なぜ、ここで夢主という言葉を選んだのかというと彼がシスヘテロの男性だからだ。自分の夢創作における人脈の乏しさもあるのだけれど、女性をまなざして当然のこととする男性が多い中で(世の中には男性向けコンテンツが溢れ返っているのに男性が情欲を抱くのは「夢」と称されないことがまさにそれを表している)、あえて「夢主」を自称できる彼にならと思い協力してもらった。
以下は夢アンソロ制作にあたって参考にした文献である。