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ジェオ・メトロというひと

(旧ブログより転載)

ジェオは絶対にイーグルが自分より先に死ぬとは思ってなかったと思うんですよね。
俺の命はお前のもんだ、って公言して憚らないくらいだから、戦闘においては絶対に守ると決めていただろうし、そもそもイーグル本人が国で最強と言われるファイターでありコマンダーであり、だし。

だからセフィーロ攻略に於いても、たとえ御伽噺のような未知の国でも、イーグルならやってみせるだろうときっと思っていた。
そして万が一の時には自分が盾になってでも守るんだと。
まさか病気に奪われるなんて可能性は微塵も考えたことはなかっただろうと。

危険な任務だと解っていても、イーグルがいるから大丈夫だって、どこかで楽観してた部分が少なからずあるんじゃないかな。
だから34話でイーグルが抱えていたものを知った時、初めて「喪うかもしれない」という恐怖が実感として襲ってきたんじゃないかと。

軍人なんて仕事に就いてはいても、やっぱり当たり前に続くと漠然と思っていた未来が、そこに当然いると思っていた存在が、あと一つ衝撃を加えたら粉々に砕け散ってしまうガラス細工みたいな状態になっていたことを思い知らされてしまった。
守ると決めていた、守れると思っていた人が、およそ自分の手の届かないところで壊されてしまうんだって。

それと同時に、イーグルはそれを一人で抱えたままここまで来たんだということを、自分達に一切そんなことは気取らせずに、いつも通り笑って、毅然と前を向いていたんだということも思い知って、そりゃ「腹ん中煮えくり返ってんだ」ってなりますよね。

でも今更どんなに後悔しても、自分を責めても、何で言ってくれなかったんだと怒っても、二人とももう引き返せないところまで来てしまっていることも解っているから、だからジェオは全部飲み込んで、せめて今だけでも、1分でも長くイーグルが休めるよう取り計らうことに努めた。

扉の前で監視してたからな、って38話で言ってたの、もちろんその通りではあっただろうけど、ジェオにとってもあの6時間しか気持ちに整理をつける時間がなかったんですよね。
あの6時間、きっと扉の前に座り込んで、どうして、何でイーグルが、って、行き場のない怒りと後悔と、これからどうするべきなのか、折り合いのついてくれない現実と感情に挟まれて、泣いたんだろうな・・・

恐ろしいのが、34話のラストシーンから47話のラストまで、どう計算してもせいぜい昨日の今日、くらいの時間しか経ってなさそうなんですよね。
47話で「ザズ!ハッチを開けてください!」の後に血を吐くところ、脚本集だと「口を押さえるが、今度は押さえきれないほど大量の血を吐く。」って書いてあって、ジェオが「・・・イーグル・・・」って呆然と呟くじゃないですか。
あれ、視聴者的には34話から47話までおよそ3ヶ月くらい挟んでるから違和感ないですけど、ジェオにしてみたら昨日は手の端から滴り落ちる程度だったのが、翌日には「手で押さえきれないほど大量の血を吐く」姿がそこにあるわけですよ。
そりゃ愕然としますよね。
たった1日で、イーグルの体はどれだけ病魔に食い荒らされてしまったのかって、そりゃ無駄だと解ってても医務室行けって言いたくなる。

ジェオは今ここで止められなければイーグルはもう帰ってこないって解ってて、でも本当は止められやしないことも解ってしまっているじゃないですかきっと。
行かせたくないし死なせたくないし、1秒でもいいから長く生きていて欲しいけど、でもイーグルの気持ちもきっと解ってしまうから、もう好きにさせてやりたいとも思う部分が恐らくあって、その鬩ぎ合いが本当に察するに余りある・・・

だって自分の感情だけで言うなら力尽くでも止めて医務室に押し込みたいわけでしょう?
だけどそれはわずかに彼の死を先延ばしにするだけで、決して助けてやれないことも解ってるのに、エゴにしかならないその願いを押し通すには優しすぎるんですよジェオという人は・・・

そんでイーグルはそういうの全部解った上で「最後まで、我儘ばかりで、すみませんでした」とか言う・・・

ひっどい男じゃない??(天を仰ぎながら)

あまつさえ「この艦で、セフィーロを守ってください」ですよ?
ねぇ、ジェオが守りたかったのは、ランティスでも魔法騎士でもセフィーロでもなかった筈なのに、一番守りたかったものを手放させて、そんな・・・・・;;;;;
でもそれはイーグルがジェオに残せる最後の優しさだったのかもしれなくて、だけどそんなのあまりにも残酷な優しさでは・・・?
そりゃちょっとは救われるかもしれないよね、気付くことも助けることも守ることもできなかったけど、代償行為に過ぎないかもしれなくても、最後の願いは叶えてやれたんだって。
悲しむ暇もくれねぇのかよって、記憶の中の笑顔に毒づきながら、本当に我儘なやつだなって、しょうがねぇなぁって。

叶えたぞって伝える術はもうないのにね。

もう本当、49話の直後、晴れ渡ったセフィーロの空の下で、ジェオとザズはFTOの残骸とイーグルの遺体をどんな想いで回収したのかとか、考えるだけで胃が痛いです。
更にオートザムに帰って大統領に何と報告するのか、あの最期の映像とか記録として残ってんのかなとか、もし残ってて報告資料として大統領が見たとしたら、とか。

地獄しか残ってない・・・・・

私にはもう「せめて遺体が残っていますように」と祈ることしか出来ない。
あんなにも愛していた国に、せめて遺体でくらい帰らせてあげて欲しい・・・。
だけどあんな爆発で残された遺体がどういう状態か、考えなくてもだいぶ悲惨なので、それをジェオが回収するとかもう勘弁してやってくれとも思う・・・

最近本当に思うんですけど、レイアースって少女漫画ですよね??

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